こちら↑の記事に引き続いて、2023年オーリアリス賞のショートリストをご紹介します。今日はYA部門です。



Borderland
by Graham Akhurst


ジョノは大都会ブリスベン生まれの先住民のティーン。卒業してアボリジニ舞台芸術センターで職を得た彼と親友のジェニーに、大きなチャンスが巡ってきた。クイーンズランドの砂漠での政府の掘削プロジェクトを取材するドキュメンタリーチームに、インターンとして参加することになったのだ。
しかし彼らが小さな田舎町ガンバリに滞在をはじめると、ジョノは不気味な死の気配や夢に現れる悪の精霊ウーダンにおびやかされるようになった。このガス掘削プロジェクトの裏にはどんな真実の物語があるのか?ドキュメンタリーの取材班はジョノに何を隠しているのか。精霊ウーダンは侵略に立ち向かう土地からの使者なのか。

クイーンズランドに暮らすアボリジニの新人作家グラハム・アクハースト(Graham Akhurst)のデビュー作品。あらすじだといまひとつ方向性がわかりませんが、ホラーゴシック小説だそうです。

 

 

 

 

When Ghosts Call Us Home
by Katya de Becerra


ソフィアは12歳のときに、姉のレイラの自主制作ホラー映画「ヴァーミリオン」に出演した。昔住んでいたカリフォルニアの海辺の家カショア・ハウスで、姉さんがでっち上げたホラー場面に反応する彼女のリアルなリアクションを撮ったファウンドフッテージ風作品だ。
公開から数年後、映画には隠れたメッセージを解読しようとする熱狂的なファンたちがついており、監督のレイラは名声や禁じられた知識と引き換えに悪魔に魂を渡したのだという噂が立っている。ソフィアはただのゴシップだと気にしていなかった。レイラが失踪するまでは。

「ホーンティング・オブ・ヒルハウス」+ファウンドフッテージホラー映画なスリラー小説だそうです。ロシア生まれペルー在住たまにオーストラリア暮らしのYA作家カーチャ・デ・ベセッラ(Katya de Becerra)の作品。

 

 

 

 

Archives of Despair
by Caleb Finn


きみは記録保管所の奥深くに埋もれていた秘密のファイルの閲覧を許された。日の目を見るはずではなかった不穏な物語たち。
邪悪な祖父母と気味の悪い宿題の物語。無関係に見える死の連続の物語。生きているようにうごめく壁の物語。現実になった呪わしい願いの物語。家族や親友も含め、奇妙な行動をとるようになった普通の人々の物語。
この物語たちには共通の結末がある。すべて悲劇に見舞われる子どもたちの物語なのだ。

TikTok、インスタ、YouTubeなどで短編ホラーを配信しているオーストラリアの人気インフルエンサー・ケイレブ・フィン(Caleb Finn)の書籍デビュー作品。都市伝説系ホラーを得意とする人で、版元ペンギンブックスの紹介文によれば「オーストラリアで最もフォロワーの多い男性コンテンツクリエイター」だそうです。オーストラリアの雨穴みたいな感じでしょうか。

 

 

 

 

The Weaver
by Melanie Kanicky


森と終わらない冬に隔てられた田舎の村で、サーチャは父の鍛冶屋の屋根裏に暮らしている。
父の体が悪くなって働けなくなり、サーチャは炉を動かし続けるために自分が仕事を引き受けた。
でもある真夜中にふたりの盗賊が現れて、サーチャは連れ去られ、彼女が持っていた魔法のつながりは手から滑り落ちていった。

オーストラリアの新人メラニー・カニッキー(Melanie Kanicky)の長編デビュー作品。

 

 

 

 

The Spider and Her Demons
by sydney khoo


高校生活を生き延びながらメイ叔母さんのお団子屋さんでも働くジーが欲しいものは友だちとの時間…それと自分が蜘蛛の妖怪だと誰にも悟られないこと。
でもうっかり学校一の人気者女子ディオールの目の前で男を殺して食べてしまった彼女は、自分よりも危険かもしれない存在が闇に潜んでいることを知る。

マレーシア系中国人の両親を持つオーストラリアの新人シドニー・コー(sydney khoo)のデビュー作品。

 

 

 

 

The non-magical Declan Moore (Winterthorn Saga #1)
by Nathan Taylor 


17歳のデクラン・ムーアは魔法の天才になっていたはずだった。なのに彼のずばぬけている唯一の点はその家名だけのようだ。絶望し、嫉妬し、デクランはその分野では最高の権威を持つキングズカレッジで魔法を学ぶために出願した。
ところが、その出願が拒否されてすべてがひっくり返った。彼が魔法を使えないことが理由ではない。教育するにはあまりに魔力が強大だという理由だった。

オーストラリアの新人YA作家ネイサン・テイラー(Nathan Taylor)のデビュー作品。シリーズ1作目。

 

 

 

以上です。