こちら↑の記事に引き続いて、2024年オーストラリア児童図書賞低学年向け部門の優秀作品リストをご紹介します。



Running With Ivan
by Suzanne Leal


13歳のレオ・アーノルドは人生を憎んでいる。新しい学校も新しい家も新しい家族も欲しくなかった。そして絶対に自分の部屋を新しい義理の弟クーパーとシェアしたりなんてしたくなかった。
レオが求めるのはどこか遠い別の場所。それで古いオルゴールを見つけてキーを回した彼は仰天した。彼は気がつくと第二次世界大戦についての噂と恐怖が蔓延するプラハにいたのだ。何十年も前に終わったはずの大戦。
そのプラハでチェコ人の少年イワンと友達になったが、ついに大戦が勃発して想像もつかないようなことが現実になると、レオとイヴァンは投獄されてしまった。

これまで大人向けの歴史小説などを執筆していたオーストラリアの作家スザンヌ・リール(Suzanne Leal)の初児童書作品。

 

 

 

 

Saving Charli
by Di Walker


自分の半身を失った自分は誰なのだろう?12歳のチャーリーは双子としての生き方しか知らない。でも双子の妹フレイヤが生まれてからずっと戦い続けた病に敗れ、チャーリーは悲しみに疲れ果てて裏庭のテントの中に逃げ込んでいる。
家族も友だちも締め出して、チャーリーは自分の半身だけでなく自分自身も失いかけている。双子の片割れがいないのに、チャーリーを救える誰かがまだいるのだろうか。

オーストラリアの児童書作家ディー・ウォーカー(Di Walker)の作品。

 

 

 

 

Scar Town
by Tristan Bancks


12歳のウィル・ハッドンとその友だちで双子のダールとジュノは、史上最悪の水不足で干上がった湖から現れた古い家で大金と人骨が入った金庫を見つけた。骨の身元を探る彼らの行動は、自分たちの町の歴史と自分たちの人生の物語を書き換えるような秘密にたどり着いてしまう。

ドラマ「ホーム・アンド・アウェー」などに出演していたオーストラリアの元俳優でYA&児童書作家トリスタン・バンクス(Tristan Bancks)の作品。日本Amazonにはオーディブル版しかありません。

 

 

 

 

Scout and the Rescue Dogs
by Dianne Wolfer


ついに夏休みがやってきて、スカウトは父さんとトレーラーで冒険に出るのが待ちきれなかった。ふたりの仕事は、国を横断して寄付されたドッグフードを保護動物シェルターに届けること。
旅にはたくさんの音楽と父さんのジョークと夏休みの友だちを作るための最高の計画が準備された。
でもスカウトと父さんは契約以上のものを受け取ることに。山火事のシーズンに助けが必要なのは犬だけではなかった。

動物ものを多く書いているオーストラリアの児童書作家ダイアン・ウルファー(Dianne Wolfer)の作品。この本は日本Amazonにないようです。著者のHPの紹介ページを貼っておきます。

 

 

 

 

So that Happened... But Maybe You Already Knew That
by Tami Sussman


ナタリー(ナッティ)は12歳になるというのが大ごとだとわかっている。変化はまったく好きじゃないものの、次のことについては心の準備をした。
a)誰もやったことがないようなバト・ミツバのパーティをする
b)小学校の卒業
c)できれば彼氏を作る
でもナッティのゆくてには、何もかもを変えてしまうかもしれないものがさらに待っている。たとえば両親がお金がなくて家を売ることになるとか。親友がもう自分を女の子と思わないようになって、バト・ミツバに一緒に参加してくれなくなるとか。家族も友情もパーティも、破滅から救えるのはナタリーだけのようだ。

ユダヤ教徒の女の子の成長物語のようです。オーストラリアの児童書作家タミ・サスマン(Tami Sussman)の作品。

 

 

 

 

Sunshine on Vinegar Street
by Karen Comer


母さんと一緒にメルボルンに引っ越して、フレヤの世界はひっくり返った。今は彼女は新しいアパートの11階に詰め込まれて、エレベーターを怖がっている。新しいスター選手を喜ぶ子ばかりじゃないバスケットボール部に詰め込まれ、フレヤが人工授精で生まれた子どもだと誰も知らないクラスに詰め込まれ、町の高いところに設置された看板みたいに動けないでいる。
転校生でいるのは、自分が晴れた夏の日の黒い雲になったような気分。ビネガー通りになじむ方法は見つけられるのだろうか。

別の作品で高学年部門でも優秀作品リスト入りしている新人作家カレン・コーマー(Karen Comer)の作品。

 

 

 

 

The Great Gallipoli Escape
by Jackie French


1915年の11月、ガリポリの戦いは敗戦に終わった。ガリポリの16歳の少年ニッパーは、完璧に計画された3晩で半島から全軍を撤退させる秘密作戦を任されたわずかな人間のひとりだった。

第一次世界大戦のガリポリの戦いで、15万人の兵士と馬と装備を船に乗せて避難させ、一人の犠牲者も出さなかったというオーストラリア軍の秘密の撤退作戦の目撃談をもとにして書かれた歴史児童書。
ジャッキー・フレンチの作品が2作目の選出。

 

 

 

 

The Mud Puddlers
by Pamela Rushby


12歳のニナは面白くない。科学者の両親が1年間南極に行くため、ニナはロンドンのビーおばさんのもとに送られることになった。おばさんは考古学者で、テムズ川に浮かぶ改造した荷船に住んでいる。おばさんはまた情熱的な「泥ひばり」で、川の泥をさらっては価値のある古い時代の品物を探す。
地元の「泥ひばり」のグループのリーダー・モリーはニナを古い川とその中に隠された宝の魔法と謎に引き込んだ。

オーストラリアの児童書&YA作家パメラ・ラシュビー(Pamela Rushby)の作品。

 

 

 

 

The Odds: The Power of Being Odd (The Odds #3)
by Matt Stanton


キップは騒がしい町に住む物静かな女の子。彼女の静かな生活はある日突然断ち切られた。彼女が好きな架空のキャラクター10名が現実世界に出てきてしまったのだ。
ドラゴンハンターのウサギが漫画から出てきて、おじいさんが絵本から出てきて、TVドラマから忍者が出てきて、カーレーサーがゲームから出てきて、夜に見る悪夢から恐竜が出てきてしまったら、何が起きる?

「これはボール」のマット・スタントンの作品。シリーズ3作目。(上のあらすじは1作目のものです)

 

 

 

 

The Sideways Orbit of Evie Hart
by Samera Kamaleddine


ママと義理の父のリーが離婚することになって、12歳のエヴィーの世界は覆された。エヴィーにとっては自分が知っている唯一の父さんのリーは遠くへ引っ越し、母さんは生活のために星座占いのコラムを書き、新しい本を出そうと一生懸命。孤独で不安な気持ちは、クラスメートのニコールの意地悪でさらに悪化する。
そんな時に、オーウェン先生の授業で宇宙の中の地球の位置について習い、エヴィーは世界の中での自分の位置や、自分が属する場所について考えはじめた。

シドニー在住のジャーナリストでYA作家サマラ・カマレディン(Samera Kamaleddine)の初児童書作品。

 

 

 

 

The Unlikely Heroes Club
by Kate Foster


11歳のオリーは休日を「ヒーローズ・クラブ」で過ごす。子どもたちが友だちを作り、自分の感情について学ぶ場所。でもオリーはただ家に帰りたい。家は慣れ親しんだ場所で、こんなに退屈じゃないし、大好きなゲームもできる。
でもオリーとクラブの子どもたちが、野良犬がどんどん姿を消し、取り壊し間近の建物に連れていかれているのに気が付いたとき、オリーと4人のヒーロー仲間たちは犬たちの大胆な救出計画を立てた。

イケイト・フォスターの作品が2作目の選出。

 

 

 

 

Uncle Xbox
by Jared Thomas


ダスティは多くの時間をオンラインゲームをして過ごしている。ふだんのプレイ相手は義父のマーカスだ。でもある土曜日の朝、マーカスは荷物を車に積んで家を出て行ってしまった。XboXも。
ダスティは自分のXboXを買うと決め、いくつかのおかしなバイトに挑んだが、うまくいかない。でもそれはリックおじさんが現れるまでの話だった。おじさんはダスティにサーフィンを教え、文化や地理についても教えてくれた。ダスティは少しずつ、人生にはゲーム以外のものがあると気づきはじめる。

アボリジニのヌクヌーの児童書作家で劇作家ジャレッド・トーマス(Jared Thomas)の作品。この本はAmazonにないようです。出版社のページを貼っておきます。

 

 

 

以上です。