こちら↑の記事に引き続いて、2024年ブランフォード・ボウズ賞のロングリスト作品をご紹介します。


Steady for This 
by Nathanael Lessore
edited by Ella Whiddett and Ruth Bennett 


ショーン(またの名をMCグロウル)はラッパー志望の少年。親友シャンクスと一緒に最高のbarsとsmashをラップの大会「ラップトロジー」に持っていく準備ができている。そうしたら今度こそ片思い相手のタニーシャもチャンスをくれるはず。
ところが練習動画の配信をミスって、グロウルの汚い洗濯物が文字通り世界に公開されてしまった。ネットでバズるという夢をついに叶えたわけだ。良い意味ではなく。
今やタニーシャはこっちを見てもくれないし、学校のネタとなり、「ラップトロジー」に顔を出すのも無理だ。この危機から抜け出すことはできるのか?

イギリスの新人YA作家ナサニエル・レソール(Nathanael Lessore)のデビュー作品。barsとsmashはたぶんヒップホップ用語かと思うんですが、違ったらすみません。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

The Swifts: A Dictionary of Scoundrels (The Swifts #1)
by Beth Lincoln, Claire Powell (Illustrator)
edited by Ben Horslen and Julie Strauss-Gabel


スウィフト家の子どもたちは、生まれたその日に一族の神聖なる辞書の前に連れていかれ、そこから単語を選ばれて運命にふさわしい名前を与えられる。
親戚一同の集まりで、姉さんのフェノメナ(現象)とフェリシティ(至福)と一緒に古く大きなスウィフト館にやってきたシェナニガン(愚鈍、いたずら)・スウィフトは、ならず者の見本市のような親戚たちに会うのを楽しんでいた。ところがシャーデンフロイデ(悪意の喜び)おばさんが何者かに階段から突き落とされて死んでしまった。
仲良くなったいとこのエルフ(誤差関数)と姉さんたちと協力し、シェナニガンは犯人を見つけようとする。

珍名一族が登場する児童書ミステリのようです。イングランドの新人作家ベス・リンカーン(Beth Lincoln)のデビュー作品。シリーズ1作目。
2023年ネロ文学賞児童書部門受賞作品。現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

You Think You Know Me 
by Ayaan Mohamud
edited by Sarah Stewart 


ハナンは常に良い子で物静かで揉め事を起こさない女の子でいるよう求められてきた。クラスの子たちに人種を理由にいじめられても、先生たちに典型的な「ムスリムの女の子」としてポスターに使われても、ニコニコして口を閉じてきた。みんなスカーフの下の彼女を見ようとしないが、ハナンは彼らに見えているよりずっと大きな自分が存在するのを知っている。
ある日、地元で男性が殺されて緊張が一気に高まり、ムスリムは攻撃の対象になってしまった。酷い襲撃の後、ハナンは自分の声が聞かれるべき時、世界を揺さぶる時が来たと心を決めた。

イギリス在住のソマリア系新人YA作家アヤーン・モハマド(Ayaan Mohamud)のデビュー作品。「ザ・ヘイト・ユー・ギブ」のファンにおすすめだそうです。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

The Kingdom Over the Sea 
by Zohra Nabi
edited by Ali Dougal


「この手紙を読んでいるということは、何か恐ろしいことが起こっていて、あなたはひとりきりになっているはず。ザハイラの街に戻るには、この手紙の最後にある言葉を読みなさい。幸運を祈っています、わたしの勇敢な娘」
母さんが1通の手紙と奇妙な指示書を遺して亡くなり、12歳のヤラは慣れ親しんだ家を出て、地図にない街ザハイラへ旅をすることになった。魔術師と錬金術師と沸き立つ魔法の街。
だがそこはかつてのザハイラとは変わってしまっていた。魔法を学ぶことは違法となり、スルタンの錬金術師が恐ろしい計画を企んでいる。ヤラは勇気のすべてを奮い起こして母さんの過去と自分自身に関する真実を見つけ出そうとする。

ロンドン在住の新人作家ゾーラ・ナビ(Zohra Nabi)のデビュー作品。「アル・シャーと時の終わり」+「千夜一夜物語」な冒険ファンタジーだそうです。

 

 

 

 

Last Girl In
by Cheryl Diane Parkinson
edited by Sonya McGilchrist 


ケリー=アン・テイラーはクリケットが大好きだ。クリケット好きは彼女の血の中に流れている。1950年代にジャマイカからイングランドに来たおじいちゃんは、たったふたつのものだけを持ってきたのだ。レコードとクリケットバット。
でも問題が発生した。新しいクラブのルールでは、来年の夏から13歳以上のチームは完全に男子部員のみの受け入れになるという。つまりケリー=アンの居場所はない。
ケリー=アンは友だちとクリケットを続けることを心に決め、そのための大胆な計画を立てた。

カリブ系イギリス人の作家シェリル・ダイアン・パーキンソン(Cheryl Diane Parkinson)の作品。

 

 

 

 

City of Stolen Magic 
by Nazneen Ahmed Pathak
edited by Natalie Doherty and India Chambers 


1855年インド。英国に支配され、国全土からインドの魔法が根絶されていた時代。魔法を持って生まれた人々は家から連れ去られた。噂によれば、悪の大企業によって海の向こう、イングランドへ送られるのだという。
チョンパの家も襲われて、母さんが連れていかれた。強力で危険な魔法を持って生まれながら、それを使うことを禁じられて生きてきたチョンパは、母さんを探すためにイーストロンドンにやってきた。

バングラデシュにルーツを持つイギリス在住の新人ナズニーン・アーメド・パタク(Nazneen Ahmed Pathak)のデビュー作品。

 

 

 

 

The Destiny of Minou Moonshine 
by Gita Ralleigh
edited by Lauren Atherton 


美しいムーンラリー女王国は帝国の支配に屈した。女王は死に、「黒の女神」の信仰は禁じられ、街を守っていた流星のかけらの黒ダイヤは失われた。
気の強い孤児の少女ミヌー・ムーンシャインは、人生が思いがけずめちゃくちゃになって、将軍を打倒しようとする反逆者の集団「緑の蘭」に加わった。秘密と地図を武器にして、ミヌーは仲間と機械の象とともにインドのジャングルへ入り、女王と女神、そして自分の運命を探すことになる。

インド移民の両親を持つロンドン出身の新人作家ギタ・ラレイ(Gita Ralleigh)のデビュー作品。

 

 

 

 

The Witchstone Ghosts 
by Emily Randall-Jones
edited by Rachel Leyshon 


オータム・アルバートには死者が見える――困ったことに。だが父が奇妙な状況下で亡くなると、その幽霊は現れなかった。父の遺した奇妙な指示書に従い、オータムは嵐に襲われるインバー島にやってきた。口の重い島民と、奇妙に積まれた魔女の石、わずかな幽霊がいる島。潮位が上がって歴史が悲劇を繰りかえす前に、オータムはインバー島の暗い過去を解き明かせるのか。

フランシス・ハーディングのファンにおすすめのゴシック冒険小説だそうです。イングランドの新人エミリー・ランドール=ジョーンズ(Emily Randall-Jones)の作品。

 

 

 

 

Influential 
by Amara Sage
edited by Alice Swan


アーモンド・ジョーンズにリアルの友だちはひとりもいない…が、ネット上に3500万人のフォロワーがいる。彼女が生まれる前から、母さんは家族の話をSNS上に上げていた。一家はインフルエンサーとしての見返りを喜んでいたが、この人生はアーモンドが自分で選んだものじゃないし、常にステージの上にいるような生活は不安で落ち着かない。そしてインターネットのいちばん暗い部分に脅かされるようになると、アーモンドは自分が何もかもを失いつつあるように感じはじめるた。

イングランドのYA作家アマラ・セイジ(Amara Sage)の作品。

 

 

 

 

Yomi and the Fury of Ninki Nanka 
by Davina Tijani, Adam Douglas-Bagley (Illustrator)
edited by Mattie Whitehead and Karelle Tobias 


ヨミと弟のカヨデはオルー叔父さんと一緒に生まれて初めてガンビアに行く予定だった。ンカラ(ドラゴン)の学術調査をする叔父さんとの休日はものすごく退屈だったけれど、ドラゴンの王ニンキ・ナンカが空へ連れ去らてしまうのを目撃するとと、すべてはぐっと刺激的になった。彼を救うと決めたヨミとカヨデは秘密を解き明かし、たくさんの偉大な幻獣たちに出会う。でもそれでニンキ・ナンカを救えるのだろうか?

「ビーストクエスト」+「ポケモン」なアフリカ神話を題材にしたファンタジーで、「ヒックとドラゴン」のファンにおすすめだそうです。イングランドの児童書作家ダヴィーナ・ティジャニ(Davina Tijani)の作品。

 

 

 

 

Greenwild (Greenwild #1)
by Pari Thomson
edited by Emma Jones 


11歳のデイジーは逃亡中だ。大きな秘密を抱えていた母さんは失踪してしまった。彼女を探し出すのは自分しかいないとわかっていた。ただし、ロンドン中を探してデイジーを追い、彼女が真実を解き明かすのを止めようとしている何者かがいる。安全な逃げ場を求めて謎めいた隠し扉をくぐったデイジーは、ロンドンから緑の魔法が実在する異世界グリーンワイルドへ行ってしまう。

ペルシアとイギリスにルーツを持つイギリスの新人児童書作家パリ・トムソン(Pari Thomson)のデビュー作品。シリーズ1作目。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

The Sleeping Stones 
by Beatrice Wallbank
edited by Janet Thomas and Rebecca F. John


グラフと新しい友だちのマチルダはウェールズの岸辺のむこうの小さな島に住んでいる。そこでは伝説がざわめきはじめている。
島の人々は自分たちがどうしようもなく「眠り石」に引き寄せられているのに気が付いた。海を渡るために置かれているような一列の岩だ。グラフとマチルダは古い時代の魔法の怒りから発生する嵐からお互いとこの地域を守るため、すべてを危険にさらす必要があると気が付いた

ウェールズの新人ベアトリス・ウォールバック(Beatrice Wallbank)の作品。

 

 

 

 

Never Trust a Gemini (Never Trust a Gemini #1)
by Freja Nicole Woolf
edited by Non Pratt


星座占い大好きの14歳キャット・フィリップスは頭から恋に飛び込む準備ができていた。でも問題は、片思いの相手が男子とおしゃべりするのが何より好きな親友アリソンだということ。これはアリソンをあきらめたほうがいいということなのかもしれない。
気分を変えるために彼氏を作ってみてうんざりしてしまったキャットの前に、緑のメガネに謎めいた笑顔と才能を持つかっこいい女の子モーガンが現れた。でもモーガンは双子座で、キャットの星座とは相性が最悪。キャットはついに理想の彼女を手に入れられるのか?

イングランドの新人フレイヤ・ニコール・ウールフ(Freja Nicole Woolf)の作品。星座オタクのレズビアン女子を主人公にした青春ラブコメのようです。シリーズ1作目。

 

 

 

 

以上です。