THE BRANFORD BOASE AWARD 2024 LONGLIST【BBA】
https://branfordboaseaward.org.uk/2024-longlist/

 

 

イギリスの児童文学賞ブランフォード・ボウズ賞の2024年のロングリストが発表されました。

ブランフォード・ボウズ賞は、癌で亡くなった作家ヘンリエッタ・ブランフォードと、彼女を見出した編集者ウェンディ・ボウズの名を取って2000年にスタートした賞。
前年にイギリスで出版された、新人作家によって書かれたすぐれた児童書の作者と編集者に贈られます。

ロングリスト発表(20~30作程度/1~2月ごろ)→ショートリスト発表(7作程度/5月ごろ)→受賞作品発表(1作/7月ごろ)のスケジュールです。


今年のロングリストは以下の通り。数が多いので記事を2回に分けます。


Murder at the Museum (Montgomery Bonbon #1)
by Alasdair Beckett-King, Claire Powell (Illustrator)
edited by Gráinne Clear


ボニー・モンゴメリーは世界最高の探偵。彼女の名前を聞いたことがある者は誰も(バンクスおじいちゃんを除いて)いないが、まるで(帽子と口ひげがないと)10歳の女の子みたいに見える、身なりのよい紳士探偵・偉大なるモンゴメリー・ボンボンのことは知っているだろう。
最新の事件は、ホーンヴィル美術館での極めて不審な死にまつわる謎を解くことだ。ボニーとモンゴメリーは一緒に証人たちに話を聞き、神経を尖らせて手がかりを追い、そしてふたりが同時に同じ部屋にいることが絶対にないのを誰にも気付かれないことを願っている。

成人男性のふりをして活動する見た目は大人中身は子供の少女探偵モンゴメリー・ボンボンを主人公にした児童書ミステリのようです。シリーズ1作目。だいぶ無理があるけど面白そうですね。
イギリスのコメディアン・アラスデア・ベケット・キング(Alasdair Beckett-King)の児童書作家デビュー作品。

 

 

 

 

Glow Up, Lara Bloom: the secret diary of a teenage catastrophe! (Lara Bloom #1)
by Dee Benson
edited by Ruth Bennett


かっこいい転校生のケイデンに出会ったララ・ブルームは、彼の心を掴むには自分が成長することだと思いはじめた。でも友だちはそれに賛成してない。成長は男の子のためにするものじゃない、自分のためにするもの!
友だちグループと一緒にエンパワメント&自分を愛するプロジェクトにのりだしたララは、その気持ちをオンライン日記に綴りはじめた。

イングランド在住の新人児童書作家ディー・ベンソン(Dee Benson)のデビュー作品。シリーズ1作目。

 

 

 

 

Gwen & Art Are Not in Love
by Lex Croucher
edited by Hannah Sandford


アーサー王の治世から数百年後。その子孫で放蕩者で未来の王のアーサーは、賢く気が強いイングランドの姫君グウェンドリンと生まれた時から婚約している。ふたりの意見が合うのは相手を軽蔑しているという1点のみだ。
婚姻の予行練習としてその夏をキャメロットでともに過ごすことを強要されたふたりだが、24時間も経たないうちにグウェンはアーサーが男とキスしているのを目撃したし、グウェンの日記を盗み見たアーサーは彼女が王国唯一の女騎士ブリジットに夢中なのを知ってしまった。
ふたりはお互い敵でいるより協力した方がいいと気がついた。

中世イングランドを舞台にクィアな男子と女子の恋を描くヒストリカルコメディのようです。イングランドの作家レックス・クラウチャー(Lex Croucher)の初YA作品。
2023年ネロ文学賞児童書部門ショートリスト作品。現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

Finding Phoebe
by Gavin Extence
edited by Chloe Sackur


自閉症のフィービは自分が安心できる範囲にいることを選ぶ。犬と散歩すること、ファンタジー小説を書くこと、トラブル最小限で学校生活を生き延びること。でも親友(であり唯一の友だち)が反抗期になって秘密の彼氏を作ると、フィービはしかたなく秘密を隠すのに協力することに。
それからは、フィービはやりたくないあらゆることに取り組むことになった。うそをつくこと、おしゃれなジャケットを着ること、学校のチェス部の内部を引っかき回すこと。

イングランドの新人YA作家ガヴィン・エクステンス(Gavin Extence)のデビュー作品。

 

 

 

 

Digging for Victory
by Cathy Faulkner
edited by Leonie Lock


1941年デヴォン。12歳のボニーは戦争に重要な貢献がしたくてしょうがない。家族の野菜畑の世話では物足りない。英国空軍のパイロットの兄ラルフみたいな英雄になりたい。
でも謎めいた兵士フィッシャーさんが彼女の家に滞在するようになり、ラルフが任務中に消息不明になったと伝えられると、ボニーは本当に必要な英雄的行動とは何だろうと疑問を感じはじめる。

イングランドの新人児童書作家キャシー・フォークナー(Cathy Faulkner)のデビュー作品。ブリストルの大学の英語の先生で、過去に日本の大学で教えていたこともあるそうです。現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

Crossing the Line 
by Tia Fisher
edited by Emma Matthewson supported by Tia Albert


父さんが亡くなってからエリクの生活は粉々だ。新しい男の人が家で暮らしはじめると、宿題や学校で良い子でいることは大事に思えなくなった。エリクの問題行動は良くないグループを惹きつけ、彼はドラッグ取引と暴力の世界に引きずり込まれてしまった。
金を稼ぐのは気持ちがいいが、エリクはすぐに、わずかな好意の代償が巨大な負債になりうると気がついた。そして妹たちの身が危険にさらされるようになると、エリクは彼女たちを救うためにより危険な一線を越えることになる。

イングランドのYA作家ティア・フィッシャー(Tia Fisher)の作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

The Final Year
by Matt Goodfellow, Joe Todd-Stanton (Illustrator)
edited by Lucy Pearse


小学校最後の年には受けなきゃらならないテストや中学校の準備がある。ネイトはその心構えはできていたし、保育園からずっと一緒の親友PSがそばにいてくれると思っていた。でも2人のクラスは分かれ、PSはいじめっ子のターナーと友だちになってしまい、ネイトの世界はひっくり返った。
なんとか事態を理解しようとしつつ新しい友だちを作ろうとしている時に、一番下の弟ディランが病院に担ぎ込まれた。新しく来たジョシュア先生はネイトの読むことや書くことへの情熱に気がついて、物事を受け入れるためにそれを使うといいと教えてくれたが…

イングランドの詩人で児童書作家マット・グッドフェロウ(Matt Goodfellow)の作品。

 

 

 

 

How Far We've Come
by Joyce Efia Harmer
edited by Lucy Pearse


時々、自分が人間で、当然受け入れられている存在だと空想するのが好きだ。白人みたいに。
バルバドスのプランテーションで奴隷として働くオバーは自由を夢見ている。叛乱の相談が彼女がいるビッグハウスの周りで囁かれるようになると、逃亡を夢見た。そんな彼女の前に、この世界をあきらめていない不思議な少年が現れた。彼を信頼すると決めたオバーだが、その少年ジェイコブは実は21世紀から来た存在だった。オバーを助けるため、ジェイコブは彼女を未来へ連れて帰ろうとするのだが…

ガーナ人の両親を持つロンドン生まれの新人ジョイス・エフィア・ハーマー(Joyce Efia Harmer)のデビュー作品。

 

 

 

 

Vivi Conway and the Sword of Legend 
by Lizzie Huxley-Jones
edited by Eishar Brar 


その湖はヴィヴィを呼んでいた。ふたりのママと一緒にロンドンからウェールズに越してきたその日、ヴィヴィはこっそり抜け出して、何が自分を呼んでいるのか調べに行った。そこで彼女が見つけたのは聖剣エクスカリバー(想像より小さかったけど)に、有名なモンスター(リアルだと神話の本で見るより怖かった)、新しい友だち(友だちは全然ほしくなかったけど)のダーラ、そして幽霊犬(でことばをしゃべる)のゲラルトだった。

ロンドン在住の児童書作家リジー・ハクスリー=ジョーンズ(Lizzie Huxley-Jones)の作品。

 

 

 

 

The First Move 
by Jenny Ireland
edited by Ruth Knowles with Sara Jafari


ジュリエットは関節炎を持つ恋とは無縁の女の子。友達づきあいの端っこにいて、パーティをサボってハンドルネーム以外何も知らない世界中のプレイヤーとオンラインでチェスをする。そこでは「松葉杖の子」じゃない自分でいられるから。
ローナンは転校生。ハンサムで賢くて問題児で、弟のキアランに起きた出来事への罪悪感を抱えている。チェスは彼の逃げ場で、そこでは「弟と一緒にいる子」じゃない自分でいられる。
お互いに関わることはないと思っていたふたりだが、ネット上で知っていた以上の相手を少しずつ知っていくうちに、思ったより自分たちには共通点があると気がついて…

アイルランドの新人YA作家ジェニー・アイルランド(Jenny Ireland)のデビュー作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

The Detention Detectives 
by Lis Jardine
edited by Katie Sinfield and Millie Lean


ハンブリッジ校で殺人事件が起こり、7年生のはみ出し者3人が事件の謎を解こうとしている。
転校生のジョノは探偵役を引き受けることで、両親にここに転校してきたのは間違いだったと知らしめたい。
学校新聞の記者リディアは自分のニュースが一面を独占できると考えている。
ヤングケアラーのダニエルは自分の母さんのため、警察に正しい犯人を逮捕してほしいと思っている。
3人は友だちじゃないが、今から居残り探偵団になろうとしている。

イングランドの新人児童書作家リス・ジャーディン(Lis Jardine)の作品。シリーズ1作目。

 

 

 

 

Safiyyah’s War 
by Hiba Noor Khan
edited by Eloise Wilson 


パリの街に戦火がやってきて、サフィヤの人生は変わってしまった。親友は家族と一緒に逃げ、サフィヤは空爆で自分が住むモスクを去らなければならないかもしれないと不安になった。秘密のレジスタンス活動をしていた父がナチスに連行されると、街での危険な任務はサフィヤに任されることになった。何百人ものユダヤ人が隠れ家を探してモスクに来たのは最近のことだ。サフィヤはパリの地下のカタコンベに入ってユダヤ人たちを安全に導く勇気を持てるか?

第二次世界大戦中に1600人のユダヤ人を匿ったパリの実在のモスク「グランド・モスケ・ド・パリ」の物語をもとに書かれた歴史フィクション。パキスタン系イギリス人の作家ヒバ・ヌール・カーン(Hiba Noor Khan)の小説デビュー作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

ロングリストはまだありますが、続きは明日にでも。