こちら↑の記事に引き続き、2024年に見られる(かもしれない)YA文学映画化作品をご紹介します。

 

 

ヴェロニカ・コッサンテリ原作「The Extincts」(原作未訳)

 

 

原作は「このすばらしきスナーグの国」の児童書作家ヴェロニカ・コッサンテリが2013年に発表したデビュー作品。
新しい自転車を買いたくて、ドードー鳥や恐竜、伝説上の生物などを飼育している森の中の秘密の農場の手伝いのバイトをはじめた少年ジョージ。仕事も楽しいし友だちもできたけど、ある日バシリスクが逃げ出してしまって…
という農場ファンタジーのようです。


2017年の時点では「ガーディアン伝説の勇者たち」の原作者ウィリアム・ジョイスが監督に起用される予定でしたが、すでに降板。現在は「ピーターと象と魔術師」のアニメ映画化で監督デビューしたウェンディ・ロジャースが起用されています。

脚本は「スペースインベーダー」のデヴィッド・リップマン(David Lipman)。


2022年10月22日アメリカで配信開始予定でしたが、延びたようです。

 

 

 

ジョージ・オーウェル原作「Animal Farm(原作邦題「動物農場」)」

 

 

原作はジョージ・オーウェルが1945年に刊行した彼の代表作。
人間の農場主を追い出して理想の国を作ろうとした動物たち。ところがやがてリーダーの豚たちが独裁者化して、農場は恐怖政治が行われる専制国家と化していく…
という、スターリン時代のソ連をモデルに書かれたディストピア寓話です。タイムリーというか…
KADOKAWA、早川書房など複数の版元から邦訳が出ています。


映像化はこれが初ではなく、1954年と1999年にイギリスでそれぞれアニメと実写で映画化されています。今回は2度目のアニメ化企画です。


アンディ・サーキスによる今回の映画化は少なくとも10年前の2012年から企画が存在しており、最初は動物たちを俳優がモーション・キャプチャーで演じる企画でした。
これがサーキスの初監督作品になる予定でしたが、なかなか製作に至らないまま10年が経過してしまいました。(その間にサーキスは「ブレス しあわせの呼吸」で監督デビューしました)


監督は「モーグリ:ジャングルの伝説」のアンディ・サーキス。声優として出演もします。
脚本は「ザ・マペッツ」シリーズのニコラス・ストーラー。

製作は「アダムス・ファミリー」(アニメ版)を手がけたイギリスのVFX&アニメーションスタジオCinesiteなど。


2022年春ごろ製作がスタートしています。Netflixの配信映画になると思われます。

 

 

 

ジャン=クロード・グランベール原作「The Most Precious of Cargos(原作原題「La plus précieuse des marchandises/原作邦題「神さまの貨物」)」

 

 

原作はフランスの児童書作家で「サンドイッチの年」などを手がけた映画脚本家でもあるジャン=クロード・グランベールの2018年の作品。
第二次世界大戦中、ユダヤ人強制収容所へ向かう列車から放り投げられた赤ん坊を拾って守ろうとするポーランドの木こりの夫妻と、彼らに子どもを託した列車のユダヤ人一家を描いた物語。
2021年ドイツ児童文学賞青少年審査員賞最終候補作品です。
日本では本屋大賞の翻訳部門2位にランクインするなど好評です。

アニメーション製作は「シチリアを征服したクマ王国の物語」などに参加している3.0 Studio 。

3DCGではなく、初期ディズニー映画、20世紀初頭ロシア絵画、日本の版画(浮世絵?)などの雰囲気を持ったクラシックなテイストの2D作品になるそうです。


監督&脚本はアカデミー賞作品賞受賞作品「アーティスト」や「カメラを止めるな」のリメイク版「キャメラを止めるな」のミシェル・アザナヴィシウス。これが彼の初アニメーション作品になります。

共同脚本に原作者グランベール。

出演(声優)は「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャン、「仮面の男」のジェラール・ドパルデュー、「太陽と月に背いて」のドミニク・ブランなど。


現在製作中。2024年公開見込み。

 

 

 

アンダース・マテセン原作 「Ternet Ninja 3」(原作未訳)

原作は、デンマークの有名なコメディアン・アンダース・マテセン(Anders Matthesen)が2016年にスタートした小説家デビュー作の児童書シリーズ
デンマークの13歳の少年アスキが叔父さんからもらったタイ製の忍者のぬいぐるみには実は正義を求めるサムライの心が宿っていて、アスキの学校での諸問題を解決する手助けをしてくれるようになる。そのお返しにアスキは、自分を作ってくれたタイの工場の児童労働者が殺害された事件を解決したいと願っている忍者の復讐に付き合うことになって…

という、忍者のぬいぐるみと少年の冒険を描いたコメディ作品。
2018年に公開された1作目の映画化がデンマークで記録的な大ヒットになり、シリーズ化。これが3作目の映画化となります。

現在製作中。

 

 

 

チャールズ・ディケンズ原案「Humbugged!」(原案邦題「クリスマス・キャロル」)

 

 

ロンドンを拠点にするGFM Animationによる3DCG&ストップモーションのハイブリッドによるアニメーション映画。
原案はディケンズの名作「クリスマス・キャロル」。
同作に登場する主人公スクルージのビジネスパートナー・ジェイコブ・マレー(故人)を主人公に、死後7年目の幽霊になった彼がスクルージを善人にしようと奮闘するさまを描く、原案作品の裏話的ストーリーのコメディ作品のようです。


監督は「リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?」のトッド・エドワーズ&新人ティモシー・ホーテン(Timothy Hooten)。

2021年に製作が開始されたようです。



ボジェナ・ニェムツォヴァー原作「Pyšná princezna」(原作未訳)

 


原作は、日本では長編「チェコのお婆さん」と絵本「十二の月たち」が訳されている19世紀チェコの国民的作家で、チェコの女性解放運動の先駆者でもあるボジェナ・ニェムツォヴァーが1845年から48年にかけて出版したチェコの民話集「Národopisné a cestopisné obrazy ze Slovenska a Maďarska」シリーズ(未訳)の収録作品「Pyšná princezna」。

悪賢い相談役たちによって高慢でわがままに育てられ、彼らが権力をキープしたいがために軟弱な王と結婚させられようとしているお姫さまが、庭師に変装して働きに来た隣国の王子さまといつしか本物の恋に落ちてしまう、という物語のようです。

これはチェコではとても有名な作品で、この童話を原作に作られて1952年に公開された白黒の実写映画版はチェコ映画史上でもっとも見られている国民的映画なんだとか。


監督&脚本はチェコの人形劇映画「Malý pán」を手がけたレデク・ベラン(Radek Beran)。

現在製作中。



キャロル・ウィルキンソン原作「Dragonkeeper(原作邦題「ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍」)」

 

 

 

原作は、オーストラリアで活動する人気児童文学作家キャロル・ウィルキンソンが2003年からスタートした彼女の代表作のシリーズ作品。
漢時代の中国を舞台に、龍と心を通わせることができる奴隷の少女ピンの成長と冒険を描いた歴史ファンタジー小説。

1作目「Dragonkeeper(邦題「ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍」)」は2004年オーストラリア児童図書賞児童書部門&2003年オーリアリス賞YA部門受賞と高い評価を受けました。
原書は全6巻+外伝2作が出ており、2017年に完結しました。
うち、本編シリーズの最初の3作の邦訳が金の星社から出ています。


この映画化は中国&スペイン合作による3DCGアニメーションです。


監督は「ブニュエルと亀甲のラビリンス」のサルヴァドール・シモ(Salvador Simó)&新人?リ・ジャンピン(Jian-Ping Li)。

脚本は、「しわ」のイグナシオ・フェレーラス&ロザンナ・チェッキーニ、いくつかの短編映画を手がけているらしいパブロ・カスティロ(Pablo Castrillo)、中国ドラマ「宮廷の諍い女」のワン・シャンピン(Xiamping Wang)、そして原作者キャロル・ウィルキンソン。

主演(声優)は新人メイリーン・グリフィス(Mayalinee Griffiths)。
ほか出演(声優)はビル・ナイ、「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!」のビル・ベイリーなど。

2024年公開予定。

 

 

コリン・メロイ原作「Wildwood」(原作未訳)

 

 

原作は、アメリカのフォークロックバンドThe Decemberistsのボーカル・コリン・メロイ(Colin Meloy)が2011年に発表した児童書作家デビュー作品。
カラスにさらわれた赤ん坊の弟を探して友達の少年カーティスと一緒にワイルドウッドと呼ばれる深い森に踏み込んでいくヒロイン・プルーの冒険を描いたファンタジー小説で、ファンタジーの古典作品や民話に影響を受けた作品とのこと。
なかなか好評で2012年と15年に2作の続編が出ており、3部作で完結しました。

映画化権は出版されたばかりの2011年の時点ですでにライカ・スタジオが取得していましたが、それから10年経ってようやく製作に向けて動き出しました。

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」や「コララインとボタンの魔女」を手がけたライカ・スタジオによるストップモーションアニメーション映画です。。

監督は「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」、「バンブルビー」のトラヴィス・ナイト
脚本は「パラノーマン ブライス・ホローの謎」のクリス・バトラー。

出演(声優)は「プロミシング・ヤング・ウーマン」のキャリー・マリガン、「グリーンブック」のマハーシャラ・アリ、「アンディ・マック」のペイトン・エリザベス・リー、「ワンダー 君は太陽」のジェイコブ・トレンブレイ、「クレイジー・リッチ」のオークワフィナ、「ヘイト・ユー・ギブ」のアマンドラ・ステンバーグ、シンガーのトム・ウェイツなど。


2021年に製作がスタートしています。



コリン・トンプソン原作「Being Betty Flood(原作タイトル「The Floods」)」(原作未訳)

 

 

原作はオーストラリアの児童書、絵本、 YA作家でイラストレーターのコリン・トンプソン(Colin Thompson)による2005年スタートの児童書ファンタジーのシリーズ。両親と7人の子どもたちがいてみんな魔女と魔術師で、裏庭には親戚の墓、家は蜘蛛の巣だらけ、朝ご飯はナメクジという色々不気味な仲良し家族フルード一家を描いたダークコメディ&ファンタジーのようです。
現在までに12巻が出ています。

映画は家族の中で唯一普通の人間ぽい見た目の12歳の末っ子ベティが主人公。
魔法の王国に暮らす音楽の才能を持つ彼女が、過保護な両親と自分の夢との間で悩んでいるところへ、両親を追う悪の王が現れる、というストーリーのようです。


製作はドイツの100 Film、オーストラリアのPop Family Entertainment、アイルランドのTelegaelという3ヶ国の3つのスタジオ。

監督は「Casper's Scare School」のマーク・グレイヴァス(Mark Gravas)。
脚本は「ペンギンが教えてくれたこと」のハリー・クリプス(Harry Cripps)&「ビートバグズ」のクレオン・プリニーズ(Cleon Prineas)。


2024年公開予定。

 

 

 

ジャン=ミシェル・ダルロー&ヨハン・ピレ原作「NINN」(原作未訳)

 

 


原作はフランスの作家ジャン=ミシェル・ダルロー(Jean-Michel Darlot)ストーリー、ベルギーのアーティスト・ヨハン・ピレ(Johan Pilet)作画によるフランスの人気グラフィックノベルシリーズ。
赤ん坊の頃に鉄道員2人にパリの地下鉄で拾われ、地下の世界を自分の庭のように育った女の子ニンが、本物サイズのしゃべる虎に変身できるオリガミの虎ストライピー(縞々)と一緒に旅に出る、というファンタジー作品のようです。
2016年に刊行が開始され、現在までに6巻が出ています。


アニメーション製作は「アバローのプリンセス エレナ」などに参加しているフランスのアニメーションスタジオTeamTO。


監督は新人と思われるシャローム・シャトラン(Salomé Chatelain)。

脚本は「パパはバウンティハンター」のシャキーラ・プレスリー(Shakira Pressley)。


現在製作中。

 

 

まだ続きます…