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フラヌールの視界から、さまざまな事象に遊ぶ

それでは、ポーの原文も紹介しておこうか!チョキ

 

 

  本「Thou Art the Man」(Penguin Books)

 

 I will now play the CEdipus to the Rattleborough enigma.  I will expound to you --- as I alone can --- the secret of the enginery that effected the Rattleborough miracle ---the one, the true, the admitted, the undisputed, the indisputable miracle, which put a definite end to infidelity among the Rattleburgers, and converted to the orthodoxy of the grandames all the carnal-minded who had ventured to be skeptical before.

                             (p.490) 

 

 

 

さらに、翻訳者の御大である丸谷才一訳を載せておくことにしたい。右差し

 

 

  本「お前が犯人だ」丸谷才一訳(「ポオ小説全集 4」 創元推理文庫 1974)

 

 ぼくはこれから、ラトルバラーの謎に対してオイディプスの役を演じようと思う。ラトルバラーの奇蹟----唯一の、真実の、誰しもこれを認め、異議を唱えない、明白な奇蹟----を生み出した、からくりの秘密を解明しようと思う。それができるのは、ぼく一人だけなのだ。この奇蹟の故にラトルバラーびとは不信心を決然として捨て、かつて敢然として懐疑論を奉じていた現世的な人々はみな、祖母たちの正統思想へと改宗したのである。

                              (p.107)

 

 

 

冒頭から、いきなりオイディプスが登場するのは、いかにも奇々怪々ポーらしいと言えるかな。びっくり

 

 

なお、タイトルの「Thou Art」は、古風な英語で、意味するのは「you are」ということであり、このあたりもポーの諧謔味が漂っているようにも思えるけど。グラサン

 

 

 

 

   <エドガー・アラン・ポーを読む・・・!>・・・69

それでは、この奇怪なる作品キラキラ「犯人はお前だ」の翻訳比較を戦後生まれの精鋭たちのマッチアップで!チョキ

 

 

  デニム巽孝之(1955-  )

  デニム河合祥一郎(1960- )

  デニム竹内康浩(1965- )

    リボン桜庭一樹(1971- )

 

 

なお、原題はキラキラ「Thau Art the Man」という直訳しにくいタイトルだ!おばけくん

 

 

翻訳者の皆さんは冒頭部分をどう始めているか・・・右差し

 

 

  本「おまえが犯人だ」巽孝之訳(新潮文庫 2009)

 

 わたしは今回のラトルボロ事件に対してはオイディプス王の役割を演じるだろう。これからご説明するのは-----わたしにしか不可能なのだが-----いかなる秘密のからくりがラトルボロの奇跡を実現したかということだ-----唯一絶対にして公然たる真実、誰一人否定したこともなければ、そもそも否定しえないこの奇跡は、ラトルボロの住人たちを蝕む不実の幕を下ろし、かつて神を疑ってやまなかった俗物たちをひとり残らず、祖母たちの正統的信仰へと回心させたのだった。

                              (p.139)

 

 

 

  本「おまえが犯人だ」河合祥一郎訳(角川文庫 2022)

 

 このラトルボロで起こりました謎につきまして、これより私が務めますのは、オイディプス王さながら、犯人をつきとめる役まわりでございます。ご説明いたしましょう-----説明できるのは私だけなのですから-----ラトルボロの奇跡を起こしたからくりの秘密を。そう、ラトルボロ市民に無信仰をきっぱりやめさせ、神を疑っていた不届き者らを祖母たちが奉じる由緒正しい信仰へと回心させた、真正にして疑いのない、正真正銘まぎれもない、あの奇跡のお話でございます。

                              (p.99)

 

 

 

  本「犯人はお前だ」竹内康浩訳(「謎ときエドガー・アラン・ポー」竹内康浩(新潮選書 2025))

 

   

 あのオイディプスよろしく、私はこれからラトルボローの町の謎を解いていきましょう。ラトルボローの奇跡を実現した策略の秘密を皆さんに説明できるのは私しかいないのですから。あの本当の、明白な、誰も疑わない、疑問の余地のない奇跡を見たラトルボローの住人たちは、不信心をきっぱり止めました。かつては大胆に懐疑派だった世俗の連中全員が、ばあさんたちの集う正統派の信仰へと改宗したほどの奇跡なのです。

                              (p.16)

 

 

 

  本「お前が犯人だ! -----ある人のエドガーへの告白-----」(「E.A.ポー」集英社文庫ヘリテージシリーズ 2016)

 

 おお! では、聞いていただけるのですね。ありがたいことです! 貴方のような高名な作家がこのホテルにお泊りと知って、いてもたってもいられなくなり、こうして訪ねてきてしまいました。・・・・いえ、どうか私の名前は聞かないでくださいまし。とにもかくにも、ポーさん、今からお話したいのは、この町----アメリカ東部にある信心深いちいさなラトルバラの町で三年前に起こった奇怪な殺人事件のことなのです。・・・・おぉ、新聞でお読みになった? では話が早い! そう、かの有名な”死者による復讐劇” "「お前が犯人だ!」殺人事件"の真相についてです。

 じつは私は、この事件において、え----、ギリシャ悲劇でいうところの、オイデ・・・オイド・・・デ・・・。オイディプス王? そう。あ---、つまりはああいった役を演じた重要人物なのですよ。

                              (p.245)

 

 

最後の桜庭一樹による訳は、翻案と記されている。流れ星

 

 

四者四様だけど、何となく、書きにくい(訳しにくい)気配が漂っている感があるなあ。うーん

 

ポー独特の前置きの雰囲気によって、最後の種明かしに辿り着く道筋をしかと見極めないといけないので、訳者も苦労しそうだわい!グラサン

 

 

 

 

   <エドガー・アラン・ポーを読む・・・!>・・・68

それでは、コラム記事の最後となるポー作品の紹介に移ろうか。チョキ

 

こんな面白い本を図書館から借りてきたのだった。ウインク

 

 

 

ww.shinchosha.co.jp/book/603923/

 

 

これは、ポーキラキラ「犯人はお前だ」を読み解く書物である。

 

裏表紙には、こう記載されている。右差し

 

 米文学史に名を刻む天才作家にして「推理小説の始祖」ポーは、なぜある時から突然、推理小説を書くのをやめたのか? 世界最高峰のミステリ賞<エドガー賞>(評論・評伝部門)で日本人初の最終候補、『謎ときサリンジャー』で小林秀雄賞の稀代の<文学探偵>による「世紀の発見」とは。作家解釈をも揺るがす震撼の論考。

 

 

<目次>

 まえがき

 序章-----「犯人はお前だ」全文訳

 第一章 挑発

 第二章 矛盾

 第三章 未解決殺人事件

 第四章 鏡像

 第五章 もう一つの完全犯罪

 第六章 デュパンの誕生

 第七章 アナリシスとアナロジー

 第八章 謎のカギをひねり戻す

 あとがき

 註解

 解説----メタ物語の楽しみ 巽孝之

 

 

<著者>

デニム竹内康浩(1965- )

 

 

引用・紹介したい部分は多々あれど、キリがないので、敢えて引用は避けておこう。

ポーによる「犯人はお前だ」の仕掛けが存分に味わえる読書の醍醐味を味わってもらいたい(ネタばれ防ごう)!グー

 

 

 

 

 

   <エドガー・アラン・ポーを読む・・・!>・・・67