それでは、「アッシャー家の崩壊」から、「幽霊殿」と題された六連のバラードの第一連を順に紹介してみよう!![]()
わが谷間(たにま)、緑濃き中に
天使(あまつかい)らの住みなれし
美(うる)はしの、巨大(おおい)なる宮殿(みやい)----
輝きの宮殿(みやい)----
「思想」なる王の統(くらい)す国に
高々(たかだか)と甍聳(いらかそび)えし。
かの大翼天使(セラフ)の翼(つばさ)すら
未(ま)だ、かくも美(うる)はしき宮殿(みやい)を知らず。
(渡邉啓助訳:p.384)
縁色濃き谷間に、
良き天使らの住み馴れし、
美わしき、崇高き宮殿の----
輝やくばかりの宮殿の----甍そびえぬ。
「思想」の君の王国に----
そは立てり!
天使もいまだかく美わしき宮殿には
翼かかげしことぞなき。
(谷崎精二訳:p.36)
善き天使らの住える、
縁いと濃きわれらが渓谷に、
かつて美わしく宏いなる宮殿----
輝ける宮殿----そびえ立てり。
王なる「思想」の領域に
そは立てり!
最高天使もまだかくも美わしき宮の上に
そが翼をひろげたることなかりき。
(佐々木直次郎訳:p.138)
ここでは、「思想」という訳語が三つとも使われている。
「アッシャー家の崩壊」という作品の中で、こういうバラードが挿入されているという工夫がポーらしいかな!![]()
<エドガー・アラン・ポーを読む・・・!>・・・23

