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マンボウのブログ

フラヌールの視界から、さまざまな事象に遊ぶ

こんなハードカヴァーの図録がある。美術書としても充分な貫録だ!チョキ

 

 

 

 

 

今を去ること、12年程前に国立西洋美術館で開催された展覧会図録だ。口笛

 

 

ジャック・カロの名を知ったのは、確かマーラーのヘッドフォン「交響曲第1番」でだったと記憶している。

 

それはさておき、先ずはこの部分を引用しておこう。図版カタログの前に3つの論稿が載せられているが、そのうちの一つだ。

 

 

  「カロ対レンブラント-----17世紀エッチングを代表するふたりの版画家」 保井亜弓

 

 ジャック・カロ(1592-1635)は、レンブラント(1606-1669)と並ぶ17世紀エッチングの代表者である。このような記述を目にして戸惑いを覚える方も多いかもしれない。少なくとも日本において、カロはレンブラントほどには知られていない。しかしながらカロのエッチング作品は、レンブラントのそれと同様に、17世紀を通じて、そしてそれ以降も常に称賛されてきた。

 

 

 

このように始まる文章は、まさに日本の状況を喝破している。つまり、レンブラントを知らない人はいないだろうけど、カロを知っている人は少ないだろう、と。これは、日本における美術史の扱いに偏りがあることを示している。ガーン

 

だから、レンブラントの展覧会なら大勢の人が詰めかけるだろうけど、カロの展覧会は宣伝したとしても観覧者は少ない。しかし、私は、この時とばかりに出かけてみたのだった!ウインク

 

 

当然ながら、図録(2400円)もゲット(展覧会に行っても図録を買うことは稀だ)。

 

何と言っても、革製のヌメリ感のある手触りが素晴らしい。ハードカバーでこれだけのハイレベルな展覧会図録は珍しい。

巻末の年譜や参考文献も充実しているし、日本ではそれほど詳しいカロについての書物が少ないだろうことを鑑みると、この図録は手放せないわ!拍手

 

 

 

 

 

 

    <わが本棚逍遥!>・・・5

それでは、広範にわたる見聞録のなかから、この部分を翻訳比較してみたい!チョキ

 

 

それは、流れ星「ノアの箱舟」についての言及だ。

 

 

 大アルメニアの中央部に非常に高いコップ型の山があって、その頂上にノアの箱舟が止ったといわれ、この山を「ノアの箱舟の山」と呼んでいる。この山は大きな山で、とても二日では一周できない。頂上は万年雪に覆われて登ることもできない。ところがこの雪から流れる水のおかげで、麓に近い斜面は草が生い茂り、夏になると隣接の諸地方から家畜を連れた人々が集まってくる。(① 「三大アルメニアの話」p.23)

 

 

 

 この国にはまたその中央部にコップ型の高山があって<<ノアの箱船山>>と称せられているが、その理由はこの頂上に箱船が安着したという伝説に基づく。この山は山体がすばらしく広大で、周回するには二日以上かかるし、深い万年雪に覆われているため、まだ山頂を窮めた者はだれもいない。この雪どけ水に潤されて、山麓の緩い傾斜面には草の生育が旺盛で、夏になると近隣の各地からこの牧草を目あてに多数の人々が家畜を連れてやってくる。 (② 「二二大アルメニアについて」p.77)

 

 

 

 さて、アルジロンからさらに東方にある国境の町ドゥバヤジッドまでは、氷雪に輝くアララト山(標高5115メートル)の美しい姿が見える。

 マルコ・ポーロはこの山について、次のように述べている。

 

 <<大アルメニアの中央部に、非常に高いコップ形の山がある。その頂上に「ノアの箱舟」が止まったといわれ、この山を「ノアの箱舟の山」と呼んでいる。この山は山体がすばらしく広大で、とても二日では一周できない。頂上は万年雪におおわれて登ることもできない。ところがこの雪どけ水のおかげで、麓に近い斜面は草がよく茂り、夏になると近隣の各地から大勢の人々が家畜をつれて集まってくる>>

 

 つまり、この山は『旧約聖書』の創世記に書かれているノアの箱舟が、たどり着いた山だというのだ。 (➂ 「アルメニアの旅」p.32-3)

 

 

 

 さらに、この大アルメニアのある高い山 [ アララト山 ] の上にノアの箱舟がある。 (④ 「大アルメニアについて」p.23)

 

 

 

こうして、4つの訳を並べてみると、①と②は似たような叙述で、原典も同じかなと推測される。

 

訳注・解説などで「旧約聖書」の創世記にも言及していて最も詳細なのは、➂で、もしどれか翻訳を一つ選ぶなら、これがベターかと思われる(文庫本で購入した)。拍手

 

④はあまりにも簡潔すぎる気がするなあ。。。グラサン

 

ちょっと趣向を変えて、こんな書物を・・・!チョキ

 

 

 

  ①本「全訳 マルコ・ポーロ東方見聞録」(校倉書房 1960)青木一夫訳

 

        わが国最初のリッチ版の全訳。

 

 

  ②本「完訳 東方見聞録」(平凡社 2000)愛宕松男訳注

 

        平凡社ライブラリー 326・327 (元は「東洋文庫」)

 

 

  ➂本「東方見聞録」(角川文庫 1996)長澤和俊訳・解説

 

 

 

 

 

  ④本「マルコ・ポーロ 東方見聞録」(岩波書店 2012)月村辰雄・久保田勝一訳

 

 

 

たくさん翻訳が出ているなかで、代表的な訳は上記の4つだろうか。口笛

原書の版もいろいろあるけど、それは看過することに。

 

なお、④は仏語からの翻訳である。

 

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AD#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Travels_of_Marco_Polo.png

 

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AD

 

 

 

次回は、一つ気になる箇所を紹介してみよう!グラサン