「越境する言の葉」を読んでみようか・・・! | マンボウのブログ

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ということで、こんな本を図書館から借りてきた。チョキ

 

 

   越境する言の葉

 

本日本比較文学会編「越境する言の葉 --- 世界と出会う日本文学 」(彩流社 2011)

 

 

「日本比較文学会学会創立六十周年記念論文集」と謳われていて、二段組500ページ近い大冊である。

 

<内容紹介>

グローバル化時代、日本文学は海外でどのように読まれているのか、というわれわれ日本人にとって絶えることのない関心事を、比較文学研究の方法をもって、多様な切り口で分析。30人以上の豪華執筆陣による最新の研究成果を盛り込んだ、比較文学会の集大成。研究に役立つ貴重な年表付。

 

<目次>

「序文  井上 健
<総論>
はじめに
文学的想像力へのみち ―日本比較文学研究の状況と課題 ― 中川成美
「翻訳の距離」と比較文学の前線 稲賀繁美
アジア語圏
中国における日本文学 劉 建輝
近代韓国における日本文学の翻訳と文化政治 尹 相仁
東南アジアにおける日本文学 平松秀樹
欧州語圏  
フランスにおける日本文学 倉智恒夫
ドイツ語圏における日本文学 イルメラ 日地谷= キルシュネライト
スペインにおける日本文学 マリア=へスス デ・プラダ=ビセンテ
ロシア語初訳の宮沢賢治集Миядзава Кэндзи Звезда Козодоя
(よだかの星)サンクトペテルブルク2009年 柳 富子
英米語圏 
英語圏における日本文学受容の昨今 榊 敦子
イギリスにおける日本文学 — ステレオタイプの功罪 新井潤美
日本SFその受容と変容 巽 孝之
世界のなかの日本文学
『万葉集』とその海外での理解 中西 進
世界の中の歌舞伎 ― 海外公演にみる普遍と特殊 ― 河竹登志夫
海外における日本文学の受容 武田勝彦
日本語文学の越境的な読みに向けて 西成 彦
<各論>
アジア語圏
中国における日本近代文学の初期受容 ― 翻訳集『現代日本小説集』(魯迅・周作人共訳)について 李 雪 
『源氏物語』の中国語訳 ― 豊子愷訳の成立を中心に― 呉 衛峰
中国における芥川龍之介文学の翻訳 ―『支那游記』を中心に― 姚 紅
欧州語圏  
フランスにおける「詩」概念の変革と日本古典詩歌受容 金子美都子
フランス語の井原西鶴 ―『浮世の月』における試み― 畑中千晶
フランスにおける谷崎潤一郎  大島眞木
フランスにおける江戸川乱歩と横溝正史の受容  間瀬玲子
1930 年代フランスに於ける二冊の日本詩翻訳アンソロジー 佐藤伸宏
ドイツ・オーストリア・ガリチアにおける『寺子屋』劇受容の概観 田中徳一
ドイツにおける森鷗外の受容と反響 ―『舞姫』の翻訳を中心に― 金子幸代
ドイツにおける村上春樹 ― その受容と評価 ― 野村廣之
ヨーロッパの少女マンガにおける「日本」―Yonen Buzz とPink Diaryを例として― 平石典子
スペイン語圏における俳句受容 太田靖子
ロシア日本学の父 ニコライ・コンラドの『源氏物語』紹介 ― 手法の
分析から世界文学的観点の評価へ ― 土田久美子
ロシアが見た『坊っちゃん』― 「橋」をわたり、「橋」をかける― 溝渕園子
英米語圏 
英米における能楽愛好者たち ― エズラ・パウンドの創作能「トリスタン」を中心に ― 児玉實英
ゲーリー・スナイダーの宮沢賢治受容 鈴木瑠璃子
E・G・サイデンステッカーと日本文学 ・日本文化 小田桐弘子 
アメリカにおける村上春樹の受容 芳賀理彦
海外における「忠臣蔵」― 翻案と研究 佐伯順子
あとがき  私市保彦
索引
日本文学翻訳史年表(1904 ~ 2000 年)水野太朗/西田桐子/友田義行/泉谷瞬

 

 

煩瑣になるけど、目次を挙げてみた。どんな人がどんな論文を書いているかが総覧できるだろう。

なので、気になる論文だけに目を通すことが可能だ。

 

 

ということで、目に留まったのは、

 

むらさき音符「ドイツにおける森鴎外の受容と反響 --- 「舞姫」の翻訳を中心に ---」(金子幸代)

 

   メモ・・・この四都市での留学体験は、帰国後発表したドイツ三部作に反映されている。『舞姫』(1890.1)はベルリンを舞台とし、『うたかたの記』(1890.8)はミュンヘン、『文づかひ』(1891.1)はライプツィヒ郊外とドレスデンが舞台となっている。

  (中略)

 現在、ドイツでは、ドイツ三部作にとどまらず鴎外の短編や歴史小説も翻訳出版されている。鴎外作品の翻訳の増加はドイツでの鴎外研究の進展につながっている。他方フランスでは夏目漱石の作品がほとんど翻訳され、読者も多くなる。フランス人の漱石好き、ドイツ人の鴎外好きというのは、国民性と関係しているかもしれない。こうした国による読まれ方の違いは、文学の受容の問題となる。・・・(p.275)

 

 

ふむふむ。

ドイツ人の鴎外好きは何となく分かる気がするけど、フランス人の漱石好きは如何なる理由によるのだろうか。漱石はロンドン留学しているので、英国人なら分かるけどなあ。。。

おそらく、漱石の描いた心情の機微のようなものが、フランス文学やひいてはフランス人の心に親しいのかも知れぬ。ニヤリ

 

 

特筆すべきは巻末に置かれている「日本文学翻訳史年表(1904 ~ 2000 年)」である!

45ページもの細かい表が、どの作品がどんな言語で誰によって翻訳され、どこで出版されたかが詳細に辿れるのだ!びっくり

 

これは、日本文学の翻訳という視点で考えるにはうってつけの資料である。グッ