こんにちは、リブラです。

今回はジル・ボルト・テイラー博士の「ホールブレイン」の第3章の解説です。

 

第3章「脳を支えるチーム」

 

左脳新皮質の<考えるキャラ1>の特性

 

・直列プロセッサ(1つ1つの操作を順番に実行し処理する)

・言語で考える

・順序立てて考える

・過去→現在→未来の時系列にもとづく

・分析的

・細部に注目

・違いを探す

・手厳しい

・時間を守る

・簡潔/正確

・固定した

・「わたし」を重視

・意識的

 

右脳新皮質の<考えるキャラ4>の特性

 

・並列プロセッサ(複数のセクションの操作を同時に実行し処理する)

・絵で考える

・経験にもとづて考える

・現在の瞬間にもとづく

・運動感覚/身体的

・総合的に大局を見る

・類似点を探す

・思いやりがある

・時間の流れに没入する

・柔軟性/弾力性

・様々な可能性に柔軟

・「わたしたち」を重視

・無意識

 

左脳辺縁系の<感じるキャラ2>の特性

 

・抑圧された

・融通が利かない

・用心深い

・恐怖心にもとづく

・条件付きで愛す

・猜疑

・正義を求める

・操る

・定石や王道を貴ぶ

・利己的

・批判的

 

右脳辺縁系の<感じるキャラ3>の特性

 

・おおらか

・オープン

・危険を厭わない

・好奇心・冒険心にもとづく

・無条件で愛す

・信頼

・感謝する

・流れに任せる

・創造的/革新的

・分かち合う

・優しい

 

さらに、ユング心理学の元型を4つのキャラに当てはめると・・・

 

左脳新皮質の<考えるキャラ1>はペルソナ

 

ペルソナは、社会の中で他人に見せている仮面のような自己イメージ。

 

右脳新皮質の<考えるキャラ4>は「真の自己」

 

「真の自己」は、意識と無意識を統一する心全体の中心で、自分自身の存在に意味を与える。

 

左脳辺縁系の<感じるキャラ2>はシャドウ

 

シャドウは、他人に見せたくない否定的・消極的な自己イメージ。

 

右脳辺縁系の<感じるキャラ3>はアニムス/アニマ

 

アニマは、男性の中(心の中)の女性的要素。

アニムスは、女性の中(心の中)の男性的要素。

 

そして、わたしたちの4つの脳キャラの統合は、キャンベル神話学の「英雄の旅(ヒーローズジャーニー)」に例えることができます。

 

主人公は、身体の外の現実を処理する理性的な自我(エゴ)を置いて行くように、という要求を聞き入れたところから、「英雄の旅」が始まります。

 

右脳の無意識領域に入るために、左脳新皮質の<考えるキャラ1>の自我(エゴ)にもとづく意識から、外に足を踏み出さなければならないのです。

 

主人公は喜んで自分の所有物や世俗的知識を手放し、自我(エゴ)という「個」の死を受け入れなければなりません。

 

主人公が左脳の理性的で、エゴの強すぎる個性を捨てることを選ぶと、右脳の無意識領域に入ることができ、そこで、魂の両性具有の本質であるアニムス/アニマと出会うのです。

 

支配的で正義の分別を求める左脳のキャラ1・キャラ2と慈悲深い右脳のキャラ4・キャラ3の自分を同じ瞬間に体現することはできません。

 

英雄が、左脳の正義を追求する姿勢と自我(エゴ)の剣を置くとき、左脳の「個」から解放され、万物の源である宇宙意識へ再び溶け込むのです。

 

水滴が海に戻るように、英雄は一瞬にして、自分の魂が生まれる前に知っていた、永遠の愛の幸福感に包まれます。

 

死への恐怖や、日々の暮らしの中でしがみついてきた左脳の怪物たちとの戦いを手放した主人公は、幸福感に満ちた右脳の叡智に包まれながら、自由に英雄的な冒険の旅から洞察(気づき)を得るのです。

 

「ホールブレイン」より引用ー

 

わたしたちが生きる社会は、左脳の機能(特にキャラ1の機能)を重視した社会です。

 

ですからわたしたちは生まれた瞬間から、

・言語で考える・順序立てて考える・過去→現在→未来の時系列にもとづく

・分析的・細部に注目・違いを探す・手厳しい

・時間を守る・簡潔/正確・固定した

・「わたし」を重視・意識的

という左脳新皮質(キャラ1)の特性を使うことに慣れ親しみ、

 

自分を守るために

・抑圧された・融通が利かない・用心深い

・恐怖心にもとづく・条件付きで愛す・猜疑

・正義を求める・操る・定石や王道を貴ぶ

・利己的・批判的

という左脳辺縁系(キャラ2)の特性をフル稼働させます。

 

その結果、無意識領域の右脳の機能は出番が減り、自由な時間でさえ左脳モードであり続けてしまうのです。

 

しかし、わたしたちの意識の95%は潜在意識(無意識)が占めています。

 

左脳の機能に特化することは、意識全体の5%にしか活躍のチャンスを与えていないことになります。

これは非常に非効率的です。

 

現代社会が心の病を生み出すのも、左脳を酷使し過ぎるアンバランスが原因のひずみなのでしょう。

 

こんな左脳優位社会の中で、右脳の働きに価値を置くことは、前人未到の冒険に挑む「英雄の旅(ヒーローズジャーニー)」の主人公のように勇気あることなのだと思います。

 

でも、「英雄の旅(ヒーローズジャーニー)」は、子どもが大人になるため「恐れ」と戦う通過儀礼(イニシエーション)であり、「個」としての可能性を追求する成長ストーリーです。

 

テイラー博士は、左脳から右脳への旅を「英雄の旅(ヒーローズジャーニー)」に例えましたが、わたしは「ヒロインズジャーニー」に例える方がぴったりに感じました。

 

なぜならそれは、左脳の「個」の追求から右脳の「すべてとつながる旅」だからです。

 

「恐れを乗り越え、外側の世界の敵と戦うことで自分を見つける旅」ではなく、「傷ついたインナーチャイルドを迎えに行き、すべてとつながる『真の自己』に還る旅」だからです。

 

左脳の分離意識から右脳の統合意識にシフトする旅だからです。

 

テイラー博士自身も「ホールブレイン」の出発点は、自分から喜んで飛び込んだ死のリスクではなく、目覚ましい活躍の最中突然起こった左脳の出血で、命以外のすべてを失ったことが始まりでした。

 

そして、左脳主導の「戦って勝ち取る旅」ではなく、右脳主導の「内なるキャラとつながることで自分を取り戻す旅」で「ホールブレイン」にたどり着いたのです。

 

「ヒーローズジャーニー」名物通過儀礼(イニシエーション)ではなく、「ヒロインズジャーニー」名物冥界下りからの蘇りをテイラー博士はそのまま経験したのです。

 

テイラー博士の冥界下りからの蘇りは、右脳新皮質(キャラ4)が主導権を握り、右脳辺縁系(キャラ3)と連携することで、身動きもできず、言葉も理解できない「大人の赤ん坊」状態からの蘇りで、元通りになるまで8年間を要しました。

 

そこで驚くべきは、再びアルファベットから言語を覚え直すまでの間は、左脳新皮質(キャラ1)と左脳辺縁系(キャラ2)がずっとなりを潜めていたことでした。

 

キャラ1のペルソナとキャラ2のシャドウがない、生まれたての無垢な赤ちゃんみたいな精神状態でいられたのです。

 

そのおかげで、人に世話してもらってばかりで恥ずかしいとか、なかなか言葉が覚えられなくて不安になることはなく、慈愛に満ちた右脳新皮質の<考えるキャラ4>「真の自己」が見守る中、「今この瞬間」の新しい刺激に夢中になる右脳辺縁系の<感じるキャラ3>はアニムス/アニマはワクワクしながら言葉を覚え、身体が動く喜びを感じたのです。

 

テイラー博士は、右脳新皮質の<考えるキャラ4>「真の自己」右脳辺縁系の<感じるキャラ3>のアニムス/アニマだけのときは、ずっと多幸感に包まれていたといいます。

 

言葉を使えるようになると左脳新皮質の<考えるキャラ1>ペルソナが主導権を握ろうしゃしゃり出てきて、将来の不安に怯える左脳辺縁系の<感じるキャラ2>シャドウも復活したそうです。

 

左脳キャラ1とキャラ2の復帰で常時続く多幸感は打ち破られましたが、テイラー博士に「個」としての自分の意識が戻ってきたのです。

 

自我(エゴ)が復活したからこそ、4時間かけて左脳の機能を失う特殊な体験と8年かけてすべてを取り戻した奇跡の体験をテイラー博士は著作や講演活動で世に知らせる自己表現ができたのです。

 

このように、左脳新皮質の<考えるキャラ1>ペルソナも左脳辺縁系の<感じるキャラ2>シャドウも、この社会で生きていくには必要不可欠な存在です。

 

それを右脳新皮質の<考えるキャラ4>「真の自己」右脳辺縁系の<感じるキャラ3>はアニムス/アニマが仲良くつなげる役目を果たすとき、わたしたちは「ホールブレイン」に導かれます。

 

テイラー博士は、脳キャラたちの性質を理解し、脳キャラたちの「作戦会議」を演出することでかれらの意見を尊重し、すべての脳キャラが快適に人生を営めるように配慮して、「ホールブレイン」で生きる今の状態にたどり着いたそうです。

 

脳キャラたちの理解から、元型のペルソナ、シャドウ、「真の自己」、アニムス/アニマを活かす技が「ホールブレイン」の旅で身につくのです。

 

脳キャラと潜在意識の元型は、「ヒロインズジャーニー」の冥界下りの突破口の最強アイテムになり得るとわたしは観ています。

 

次回もジル・ボルト・テイラー著「ホール・ブレイン」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。