こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのしし座土星(観念、現実性)のお話です。
土星は具現化・現実化のパワーがある天体です。土星が存在するハウスは現実的な取り組みを要求され、その取り組みの経験は自信となって残ります。なぜ、経験が自信に転換されるかといえば、その経験によって作られた現実に立ち向かう思考回路が定着するからです。
「Aが起きたときはBをすればうまくいった」という過去の記憶の集積が思考回路として定着すると観念になります。本来土星は現実を生きるために守らなくてはならない、自分自身の「譲れないルール」です。
でも、そのルールが外の世界と不協和音を起こすことがあります。外の世界と自分の「譲れないルール」を調和させる経験が観念を作り出します。そのため、本来の土星の働きを鈍くして外の世界側のルールの方に傾くこともあるのです。
今回はしし座土星を神話と数秘から読み解いて、しし座土星が作りやすいネガティブな観念について探ってみます。
しし座神話
ヘラクレスは12試練リストの2番目のティホーン(怪獣)である「人喰い獅子」退治に出かけました。「人喰い獅子」は何でも貫く牙と爪を持ち、その身体は鉄より強い鎧のような皮膚で覆われているという最強の猛獣でした。
ヘラクレスは、家族全員を「人喰い獅子」に殺された男、モロルコスに出会いました。
ヘラクレスが「人喰い獅子」退治に向かう途中だと知ったモロルコスは、家族と共に食べるはずだったこの羊を今から料理するので、戦闘前にヘラクレスに食してもらいたいと願い出ました。
ヘラクレスは「その羊は、わたしが人喰い獅子を倒し神様にご報告するときの祭壇のお供え物にしたいと思うので、まだ殺さないでください」といい、「もしも、わたしが30日しても戻らなかった場合、わたしが人喰い獅子との戦いに負けて死んだことをあなたが代わりに神様にご報告してください。羊はそのご報告のときのお供え物としてください」とモロルコスに約束を取り付けてから出かけました。
やがて「人喰い獅子」を見つけたヘラクレスは棍棒で挑みますが真っ二つに割れてしまい、素手で戦うしかありませんでした。ヘラクレスは死にもの狂い形相で襲いかかり、その気迫に怯んだ「人喰い獅子」は洞窟に逃げ込みました。
ヘラクレスは「人喰い獅子」を洞窟の壁に押し付け、3日3晩首を絞め続けて窒息死させました。
ヘラクレスが帰還したのは30日目で、ちょうどモロルコスが神様にヘラクレスの死を報告する準備をしているところでした。
ヘラクレスを遣わして「人喰い獅子」を退治してくれたことにモロルコスが感謝を捧げ羊を屠ると、ゼウスはヘラクレスの活躍を褒め称え、その功績が残るように「人喰い獅子」を獅子座として天に上げました。
ヘラクレスはこれを喜び、戦利品の「人喰い獅子」の毛皮と爪を生涯身につけ、最期のときもこれを身につけたまま炎に包まれました。
この神話から浮かぶキャラクターのイメージは、ゼウスやモロルコスの期待を追い風にして闘志を燃やすヘラクレス(注目や脚光をパワーに換えられる)、負けて死んでも神に報告してもらう約束をモロルコスに取り付けたヘラクレス(勝ち負けではなく、勇者として戦ったと報告される安心感でプライドを守った)、鋼鉄のような皮膚と何でも貫く牙と爪を持つ「人喰い獅子」(頑固さ、完璧主義)、洞窟に逃げ込む「人喰い獅子」(臆病風に吹かれると簡単に戦意喪失して逃げる)、素手で死に物狂いで戦い勝利したヘラクレス(情熱に火が点くとすべてを注いで奇跡的な力を引き出す)、戦利品の「人喰い獅子」の爪と牙と毛皮を生涯身につけたヘラクレス(過去の成功体験を心の支えにできる一方、その成功体験に囚われて保守的になる傾向がある)。
これらのキャラクターのイメージで現実を生きるために土星が働くとどんなことが起きるのか?
理想的なセルフイメージ(プライド)が燦然と心の内で輝くとき、「わたしは望むものになる(I will )」になるために全身全霊で打ち込み、具現化するのパワーがしし座土星にはあります。
過去も現在も未来も含めた最高の自分の状態をイメージすることに優れていて、理想的なセルフイメージをまだその状態に到達していないときから思い描くことができるからです。
その一方で、ネガティブな感情に支配されているときのしし座土星は、すでに持っている理想的なセルフイメージ(プライド)が傷つくことを怖れて、変革やチャレンジに出ることを制限してしまいます。
「望むものになりたい」のに「望むもの」になるための変革やチャレンジを封じてしまうのですから具現化には至らず、フラストレーションばかりが強くなります。
土星は現実を生きるための強力なツールです。しし座の土星を持つ人は「望むものになる」ための「理想的なセルフイメージ」を活き活きと思い描き、そこで生まれるモチベーションをパワーに変えて変革に挑むことで力強い現実を生きることができます。
しし座土星であれば最高の状態で周囲の期待に応える活躍を実行しようとしますが、現実のシーンでは活躍のチャンスや成功や称賛は必ずしも約束されているわけではありません。失敗や批難を浴びて「理想のセルフイメージ(プライド)」が傷つく可能性もあります。
そのリスク回避の経験から、変革を拒み、過去に成功したワンパターンな手法にしがみつくネガティブな観念(ネガティブなルール)が密かに思考回路に組み込まれます。
不動サインの性質上、観念に囚われた手法にこだわると、新たな情報も解決策も受け取れず身動きできなくなり、不安が増幅します。それゆえしし座のネガティブ観念が働くと、
現実問題に遭遇する→失敗の恐れから保守的な定番の行動・選択しかしなくなる→変革を拒む以上「望むもの」に至らない&最高の結果を求めるプレッシャーが葛藤を起こす⇒望む行動・選択ができないジレンマがさらに不安が増して安全圏から出られなくなってしまう・・・という、状況を変えたいのに変える行動・選択に至らない状態にハマります。
その状態に消耗し冷静さを欠くと、それを実行てしも結果が変わらないのがわかっていても、パターンを繰り返す苦しみが続きます。こうした事態を避けようとして、ネガティブな事象やトラブルを遠ざけ、王道だけを選択しようと保守的な観念を持つようになります。
しし座土星の持ち主は、変革を試みることは進歩であり、突破口になることを忘れてはいけません。たとえ失敗したとしても、何がダメなのか?前進のための情報は得られるのです。飛躍的な成功への過剰な期待こそ、大きな失望を招く元凶です。
しし座の「理想的なセルフイメージ(プライド)」を外側の世界(物質界)の未来の成功ではなく、過去の経験で培った精神性の輝きに置き換えれば誰とも比べられず、燦然と輝くことができ、失敗の不安が発生するとき役立ちます。
しし座は数秘5の影響を受ける星座なので、変革にチャレンジして新しい世界に踏み出すフレッシュな体験こそ、真に「理想的なセルフイメージ(プライド)」の輝きを増強させ、奇跡的なパワーを具現化へ導くことになるのです。
12星座で1番のエンターテイナーであるしし座は、定番は飽きられ、変化は刺激になり注目を集めることを誰よりもよく知っていはずです。人々の注目や称賛でパワフルになり、批難や無関心で傷つくしし座の特性を知って土星を使うことが鍵となります。
チャプリンもヒトラーもゼレンスキーも、しし座月で解説したエバ・ペロンも、しし座土星の持ち主です。この人々に共通するのは、映画や演説やラジオ放送やインターネットなどで大衆の心を掴み、「望むものになる」チャンスを得たことです。
変革にチャレンジして新しい世界の希望を垣間見せることで大衆を喜ばせ、批難や無関心を遠避け、注目や称賛を追い風にして「理想的なセルフイメージ(プライド)」の輝きを得た人々です。
次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。