こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのしし座の月(インナーチャイルド)のお話です。
月は太陽の光を受けて満ち欠けをする天体です。月が太陽に重なる新月のときは全く見えなくなります。このように月は太陽から多大な影響を受ける天体です。
ですから、月は親の保護なしには生育できないと感じる子ども意識(インナーチャイルド)のイメージと重なります。
0~12歳くらい(丸暗記ができるくらいまでの年齢)の脳細胞はまだ未熟なので、情報を鵜呑みにして覚えます。傷つく言葉・考え方から心を守る防御機能が不完全なのです。
そして、ダイレクトに感情を受けとめてダメージを負い、トラウマの記憶として刻まれます。このとき生まれる意識がインナーチャイルドです。
インナーチャイルドは感情で傷ついた記憶の中で生まれた子なので、感情でしか癒されず、感情でしか満たされません。
月の星座やハウスを観ると、その人の感情がどんなことに欠乏感を覚え、どんなことに充実感を覚えるのかがわかります。
ホロスコープで月の星座とハウスを観ると、自分のインナーチャイルドのウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころがわかるのです。それは同時に自分自身のウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころを知ることにもなります。
今回はしし座の月を神話と数秘から読み解いて、インナーチャイルドのウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころを探ってみます。
しし座神話の主人公のヘラクレスは我が子を殺した罪を贖うために12試練を挑むことになり、9つ頭の海蛇ヒドラを倒した後、鉄より硬い皮膚と何でも貫く牙と爪を持つ「人喰い獅子」と対決することになりました。
「人喰い獅子」を探す途中で、モロルコスという家族を「人喰い獅子」に皆殺しにされた男と出会いました。モロルコスは連れていた羊をヘラクレスに食べさせようと申しでますが、ヘラクレスはその羊を「人喰い獅子」を狩り獲ったときの報告か、30日して戻らなかったときの死の報告の神への供えものとすることを、彼に約束させてから戦いに向かいました。
「人喰い獅子」の鋼鉄の鎧のような皮膚にヘラクレスの武器は太刀打ちできず壊れてしまい、素手で戦うことになりました。ヘラクレスが死に物狂いで襲いかかると、「人喰い獅子」はその気迫に怯んで洞窟に逃げ込みました。ヘラクレスは「人喰い獅子」を壁に押しつけ、首を3日3晩絞め続けて殺しました。
ヘラクレスがモロルコスのところに戻った日はちょうど30日目で、彼が祭壇を備え羊を捧げ神にこれからヘラクレスの死を報告しようとしているときでした。ヘラクレスが「人喰い獅子」を狩り獲ったことを伝えると、ゼウスはその功績を褒め称え、「人喰い獅子」を星座に上げました。ヘラクレスはそれを誇りに思い、戦利品の「人喰い獅子」の爪と牙と毛皮を生涯身につけました。
この神話から浮かぶキャラクターのイメージは、ゼウスやモロルコスの期待を追い風にして闘志を燃やすヘラクレス(注目や脚光をパワーに換えられる)、負けて死んでも神に報告してもらう約束をモロルコスに取り付けたヘラクレス(勝ち負けではなく、勇者として戦ったと報告される安心感でプライドを守った)、鋼鉄のような皮膚と何でも貫く牙と爪を持つ「人喰い獅子」(頑固さ、完璧主義)、洞窟に逃げ込む「人喰い獅子」(臆病風に吹かれると簡単に戦意喪失して逃げる)、素手で死に物狂いで戦い勝利したヘラクレス(情熱に火が点くとすべてを注いで奇跡的な力を引き出す)、戦利品の「人喰い獅子」の爪と牙と毛皮を生涯身につけたヘラクレス(過去の成功体験を心の支えにできる一方、その成功体験に囚われて保守的になる傾向がある)。
かに座神話のときに、メンタルケアが必須なことに気づいた武骨者のヘラクレスは、羊の生贄をいつ神に捧げるかを話題に挙げ、モロルコスにヘラクレスが死んでも「勇敢に戦ったことを報告してもらう約束」を取り付け、「勇者」としてのプライドを誰にも傷つけられないところに設定しました。
こんなメンタルケアをやってしまうヘラクレスの振る舞いから、どれだけしし座にとってプライド(自分の中の尊厳、誇り、最も崇高に輝くセルフイメージ)が大切なのかがわかります。
このプライドを守るためにすべてを注いで戦いに挑む勇敢さが引き出され、このプライドが傷つく恐怖に怯えると、戦わずに逃げ出してしまう臆病な性質も現れるのです。
そこに子ども意識を象徴する月のイメージが重なると、自身の信じる世界を守るために腐海の中でもオームの群れの中でも飛び込んでいく「風の谷のナウシカ」のヒロインのナウシカのイメージが浮かんできます。
ナウシカは、正義感が強く勇敢で優しく、みんなに尊敬され愛されるカリスマ性のあるリーダーです。どこから見ても非の打ち所がなく、下界を明るく照らす太陽のようなキャラクターです。
月がしし座の人は、人々の注目や関心が集まることを重要視し、その中心に最も輝かしい状態の自分がいて称賛や脚光を浴びる展開を手に入れたいという欲求を持っています。
しし座の月は、正義の味方のヒーラーやヒロインのように、華麗な活躍を絶賛され、誰からも認められて愛されていると感じるとき心満たされるのです。
逆に、一生懸命やったことが誰の目にも止まらず正しく評価されなかったり、周囲の無反応や無関心に遭遇するとき、周囲の期待に応えられるような華々しい結果が出せなかったり、批難を浴びるときにしし座の月(インナーチャイルド)は強いストレスを感じます。
不動サインの性質上、頑固で保守的なところがあり、自身の主義主張を変えることを拒みます。その結果、敵を作ることにもななり、脚光を浴びると同時に批難も招きます。
これらの性質から推察すると、月がしし座の人の幼児期のトラウマは、、関心や称賛を求めて頑張ったのに認めてもらえなかったり、人前で𠮟られたり批難されたり失敗したりして、理想的なセルフイメージが傷ついたことが原因になると考えられます。
月は未熟な子ども意識なので、期待に応えられないダメな自分を見られてしまったと思うと、その人に「嫌われてしまった!」と感じます。
しし座の月は理想的なセルフイメージ最優先なので、そのイメージが肯定されるような評価でパワフルになり、そのイメージが崩れるような批難や失敗に、激しく動揺して不安定になります。
しかし、他者の評価や批難をコントロールすることはできません。表舞台で脚光を浴びたいしし座なら、尚更それを避けて通れません。ですから、ヘラクレスのように理想的なセルフイメージ(プライド)を守るための工夫が必要になります。
他者の評価や結果で自分を査定するのではなく、過去の成功体験の最高の自分をイメージして、その自分からどのくらい精神的な成長ができたのかで自己評価するのです。
精神的な成長は誰とも比較できず、自分にしかわかりませんから落胆することもなく、理想的なセルフイメージに近づくのに何が足りないのか気づくことはあっても、それが崩される心配は全くありません。
理想的なセルフイメージ(プライド)が燦然と心の内で輝くときのしし座の月は、充実して無敵です。しし座のテーマである「わたしは望むものになる(I will )」に全身全霊で打ち込み、具現化します。
しし座の月を持つ人々がネガティブな感情に駆られるとき、保守的になってチャレンジや変革を避けるのは、チャレンジや変革の勇気が出ないのではなく、すでに持っている理想的なセルフイメージ(プライド)が傷つくことを怖れるからです。周囲の期待に応えられず、失敗して「嫌われないため」にインナーチャイルドがしていることなのです。
しし座の月を持つ人々は過去も現在も未来も含めた最高の自分の状態をイメージすることに優れています。理想的なセルフイメージをまだその状態に到達していないときから思い描くことができるのです。この能力を伸ばすには、他者の評価に振り回されず、理想的なセルフイメージがいつも心の中で活き活きと輝くように守ることです。
しし座の月を持つ人々は、いつも自身に肯定的な誉め言葉を囁いていると、インナーチャイルドをご機嫌な状態にしておくことができます。
また、しし座は数秘5の影響を強く受けます。数秘5は数秘4の安心・安定と豊かな現実から一歩踏み出して、更なる変革を生み出す数字です。自分のテリトリーの安定感に安住するのではなく、新鮮な冒険に挑む気になれば、別次元への進化を可能にしてしまうパワーを秘めた数字です。
しし座の月を持つ人々は自分のテリトリーから一歩踏み出すチャレンジができないと欠乏を感し、冒険や変革の体験をすると充実して、さらに理想的なセルフイメージが輝きを増すのです。
アルゼンチンのファーストレディー(ペロン大統領夫人)で、映画「エビータ」でも知られているエバ・ペロンは、しし座の月と土星の合としし座海王星を4室(基盤のハウス)に持っています。
エバは貧しい村で1919年5月7日に私生児として生まれ、15才で家を出て、カフェの女給をしながらモデルや声優や映画女優の仕事をしつつ、高級娼婦として生計を立てていました。
そして、当時軍事政権側だったペロン大佐と24歳のとき出会い、彼の愛人になるとラジオ番組でペロンの民衆向け政治宣伝を担いました。このラジオ番組は貧しい労働者階級の支持を得て、エバは「エビータ」の愛称で呼ばれるようになりました。
1945年に起きたクーデターでペロンは軍事裁判で有罪判決を受け投獄されましたが、このときエバはラジオでペロンの釈放を呼びかけました。その後、クーデターを起こした政権が倒れたのでペロンは釈放され、エバと結婚しました。
1946年にペロンはアルゼンチン大統領に就任したので、エバはファーストレデイになり、「エバ・ペロン財団」を設立して慈善活動を始め、労働者階級を支持層とするペロン政権の安定に貢献しました。
ところが、1952年エバは子宮癌によって33歳の若さで死去しました。国民から愛されていた美しいエバの遺体は、エンバーミング処理を施されて展示されました。
貧しい生まれで高等教育も受けていないのに、ラジオ番組で国民の心を掴み(エバの3ハウスには木星と冥王星があるのでヤッパリと思いました)、愛する男の無実を訴えてクーデター政権と戦うエバのパワーの源は、4ハウスのしし座の海王星と月と土星の「わたしは望むものになる」しし座スピリットなんだろうと思います。国民から注目され愛されて、彼女の月は充実していたはずです。
エバをここまで引き上げたのは、エバのしし座の海王星と月と土星が逆境時代にも気高いセルフイメージを描き続けて、その自分を信じて生きてきたからでしょう。しし座が命に替えても理想的なセルフイメージ(プライド)を守ろうする意味がわかります。
ちなみに、エバのライフパスナンバーも数秘5です!ペロンの妻で安住せず、ファーストレディーとして政治や慈善活動家、フェミニストとして短い生涯を最大限に輝いて生きた女性です。
すべての女性が、社会が思っているよりも、もっと能力があることをわたしは知っています。
ーエバ・ペロンー
次回は「神話で読み解く12星座;しし座土星編」を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。