オラ!アシシです。
今日はSLベンフィカにコーチ留学している量平君がベンフィカオフィシャルのスクールで子供達にサッカーを教えてるところを見学に行ってきました。
彼は今、午前中はポルトガル語の学校に通いながら、午後はベンフィカのU16チーム(※)のアシスタントコーチに従事しています。
※U16=Under16の略で年齢16歳以下のメンバーで構成されたチームのことを指します。欧州のクラブでは各年代毎にチームが組まれるので、U16といっても16歳以下という意味ではなく、16歳の世代のみのチームのことを指します。
日本でもコーチをしていた量平君は、彼の上司にあたるクラブ関係者がベンフィカの監督秘書と繋がりをもっていたこともあり、元々はその秘書を通してベンフィカのアシスタントコーチとして留学する予定でした。
がしかし、旅立ち2か月前になって、ベンフィカの監督が更迭され、それに伴ってその秘書も解雇されてしまい、頼るはずだったコネクションを失う形に。。
そんな逆境もモノともせず、量平君は何の伝手もない状態でリスボンにやって来て、何度もベンフィカオフィスに突撃営業して、何とかU16チームの監督とお近づきになり、今のアシスタントコーチのポジションをゲットしたそうです。
先日、セビリアでレンタカーのタイヤがパンクした時、彼はこう言ってました。
「こういうピンチって、妙に血が騒ぐんですよね」
それと同じような血、僕にも流れてますww
「難題のない人生は無難な人生、難題のある人生は有難い人生」とモーグルの上村愛子が五輪競技を終えた翌日、ブログに書いてましたが、ぶち当たる苦難を自分自身でどう消化するかによって人生って大きく変わりますよね。
ホントはU16チームの本格的な練習風景を見学したかったんですが、ベンフィカのようなビッグクラブだと練習はアンダーエイジでも非公開らしく、日曜午前の少年サッカースクールの見学と相成りました。
量平君からコーチングの考え方について、面白い話を聞けました。
ヨーロッパでは日本よりも試合形式のトレーニングの比率が圧倒的に高いことは、ある程度欧州サッカーに詳しい人にとっては周知の事実ですが、その理由をこちらのコーチに聞いたらこんな回答が返ってきたそうです。
「パスやトラップなどを反復して個人練習するのは、泳ぎ方を陸の上で練習するのと同じだ」と。
つまり、サッカーとは相手が存在して初めて成立するスポーツであり、敵のプレッシャーがない状態で基礎を積んだとしても、それはプールの外で泳ぎ方(腕の掻き方)を教えていることと同義であり、いざ水の中に入ったら何もできずに溺れるだけでしょ、ということを言いたいんだと思います。
ま、日本には「部活」という文化があり、1年生はとりあえず素振りしとけみたいな慣習が昔からあって、自ずと「まずは基礎から」という考え方が定着してしまった感は否めません。
→2010/03/22追記
中学・高校の部活動というのは、日本特有のものです。学校の先生が放課後に無料でスポーツを教えてくれて全国的に大会運営まで完備されてるこの仕組みは、海外には存在しないものです。
僕も中学までサッカー部に所属してたので、基礎練習の重要性を部活の先生から叩き込まれた記憶があります。
日本が誇る文化、ひとつひとつコツコツと積み上げていくボトムアップの足し算方式と、欧州における「まずは試合有りき」の考え方からくるトップダウンの逆算方式、それぞれに利点があるんでしょうが、「陸の水泳」の例え話は僕にとっては目から鱗でした。
量平君は今の日本サッカー界について、こう嘆いていました。
「日本人のサッカー選手の海外進出は当たり前になってきたけど、日本人サッカー指導者の海外での活躍例はいまだゼロだ」と。
※アジアのクラブで日本人監督の例はいくつかあるそうですが、欧米での例は皆無だそうです。
→2010/03/22追記
読者の方から佐伯夕利子さんの活躍例を紹介して頂きました。現在、ビジャレアルのユースチームで指導しているそうです。僕らが出演した地球アゴラでも紹介されたようです。
ひとえに「言語の壁」がそれを阻んでいるんでしょうが、それは言い訳にしか過ぎないかと。
量平君曰く、日本人特有の論理的思考や緻密さは監督業において確実に武器になるはずだと。
もっともな意見だと僕は思います。
サッカー後進国と言えども、戦略を立てる分野では日本人の特性・国民性は優位なはず。
成功例がないなら、自分が最初の成功例になればいい。海外の言葉が話せないなら、現地に行って勉強すればいい。
それを無謀と呼ぶか、果敢な挑戦とするかは、気持ちの持ち方次第。
量平君はまだ留学生の身なので先はまだまだ長いですが、彼にはぜひヨーロッパで実績を積んで、欧州での日本人コーチのパイオニアとして、頑張ってほしいです。
難題にぶち当たると血が騒ぐ同類として、有難い人生を歩めるよう、応援してますw
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