グルタミン酸とカルシウムイオンで細胞がダメージを受ける機序を説明しました。CBS その2でも少し触れていますがダメージを受ける細胞周辺の話を記事にします

 

また同CBS その2ではTNFαによりグルタチオンレベルが下がると書きました。この記事でその辺をもう少し説明できます。

 

ここで出てくるキーワードは、「グリア細胞」、「TNFα」です。

 

脳の細胞といえば神経細胞が主役ですが、グリア細胞は神経系を構成するが、神経細胞ではない細胞のことです。神経細胞をサポートする細胞?という感じでしょうか。人間の脳が他の哺乳動物に比べて大型化したのはグリア細胞が増えたから、とどこかで聞きました。

 

グリア細胞はいくつか種類があり、ここでは「ミクログリア」と「アストロサイト」が出てきます。ミクログリアは無駄な神経細胞の選定や処理、アストロサイトは神経細胞に栄養を供給したり、物理的な支えとなったりしています。

 

TNFαは炎症性サイトカイン。ウイルスに感染して重症化するとサイトカインストームという病態になると今年はニュースでよく流れました。あのサイトカインです。免疫細胞が病原体などをみつけてから、他の免疫細胞に応援を呼ぶためのメッセージ物質のようなものでしょうか。

込み入った話になりますが発生順に書いていきます。イラストにミクログリア/アストロサイト/神経細胞を登場させていますが、それら周辺はシナプス間隙と思ってください

 

①感染/炎症/損傷によりT細胞/マクロファージからINFγ/TNFαが放出

②INFγがミクログリアの受容体に結合、マクロファージ由来のTNFαはアストロサイトの受容体に結合

③ミクログリアはTNFαを放出→結合

④ミクログリア/アストロサイトがグルタミン酸を放出→これによりシナプス間隙のグルタミン酸↑

⑤グルタミン酸は神経細胞のNMDA型グルタミン酸受容体に結合し、カルシウムイオンチャネルが開口し細胞内に流入

 

前記事で紹介したように、細胞内への過剰なカルシウムイオンは細胞死を迎える可能性があります。

 

またTNFαは細胞の受容体(TNFR1)にも結合し、それによりAMPA型受容体の活動性を落とし、NMDA型受容体を活性化させます。GABAAの受容体の活動性も落とします。

 

次の記事へ続く