妻の入院~その4 | 老年科医の独り言

老年科医の独り言

認知症治療にかかわって30年目になります。
今回心機一転、題名を変更して、ぼつぼつ書いていきたいと思います。

16日木曜日に、血液内科の病棟へ移動した。

その日の夕方面会に行ったとき、主治医から話が合った。

明日骨髄検査(骨髄穿刺)を行う事。

この検査は、私もしたことがあった。妻も医師の介助を行った経験がある。

それを知っている主治医は、簡潔に説明して終わりになった。

 

多発性骨髄腫についての説明もあった。

血液の癌です。

現在の医療技術では、治すことが出来ません。

(過去の実績の基づく予後は)半年~10年です。

とあっさりと説明された。

その後、治療について説明。

ステロイドと抗がん剤を組み合わせて行う事。

使用できる抗がん剤は、複数ある事など説明された。

非常にあっさりした説明であった。

長年告知を行ってきた医師ならではの、態度であったと思う。

妻と一緒に仕事をしていた研修医時代、多くの血液の癌の方々を診ていたが、

本人への告知はしなかった。時代の変化を感じた。

予後の説明で、最短半年と言われたが、

これには私も妻反応しなかった。

最長10年と聞いた時、私が先になる可能性もあると私は思った。

妻は、骨盤骨折で身動きできなない状態から、

車いすを利用できるようになり、活動の範囲を広げることを夢見たようである。

 

あと痛みのコントロールであるが、

動くと骨盤へ負担がかかりさらに骨盤骨折が悪化することを、妻が理解している。

だから痛みを取る事を、ある程度行っていくことなども説明された。

検査や着替えなど、体位を変えなければならない時に、即効性の麻薬を使用してくれることになった。

使われた麻薬は、オキノーム散2.5mgであった。

妻には、劇的に効果があった。

わずか2.5mgのオキノーム散で、激しい痛みは緩和された。

体動時の激痛が、著名に軽減されたのである。

一番強い時の痛みを10とすると、1~2くらいとスタッフに説明していたので、

痛みのコントロールは容易だと言う事が判り、私は安心した。

 

翌日骨髄検査が行われた。

この時もオキノーム散を頓服し、痛みはあまり感じなかったようである。

検査結果が出そろっていなかったが、土曜日(18日)には、多発性骨髄腫の治療が始まった。

デカドロン40mgの点滴であった。

標準的なステロイドであるプレドニン換算で、300~400mgと言う驚異的に多い投与量であった。

次の日でも、妻にはその影響が残っていた。

めちゃくちゃハイテンションになっていた。