老年科医の独り言

老年科医の独り言

認知症治療にかかわって30年目になります。
今回心機一転、題名を変更して、ぼつぼつ書いていきたいと思います。

コレクション

 

ワインコルク92個ありました。

 

何年かかって集めたものか?

 

三十年近くかかってのコレクションでしょう

 

ワイン通の方には

 

お分かりになってしまいそうーーー( ̄∀ ̄)

 

認知症の定義が2022年以下のとうりに変更になった。

「認知症は、脳の機能が低下することにより、記憶力や判断力、言語機能、認識能力などの認知機能が持続的に低下し、日常生活に影響を及ぼす状態を指します。」

それまでは短期記憶障害を必須とし他に進行性の認知機能障害があることとされていた。

旧定義は、アルツハイマーの特徴であり、アルツハイマーと診断するためには、他の認知症を起こす原因疾患がない事とされていた。

レビー症候群では、短期記憶障害が目立たないケースが少なくなく、HDS-R(長谷川式認知症スケール)で満点を取るケースが少なくなかった。この事実を知らな専門医も少なくなく、HDS-Rで高得点だから認知症ではないと診断されてしまうケースが珍しくなかった。

前頭側頭医型認知認知症は行動の異常は目立つが、認知機構の低下が目立たないケースが少なくないだけでなく、通常の知能テストでも異常を認められないケースがおり、認知症と診断されないことを問題にしていた専門家もいたほどである。

この誤った認知症の考え方が、現場に大きな混乱を招いていたと私は考えています。

認知症と診断するのに短期記憶障害は不要ということを、多くの医師に理解してほしいと思います。

レビー症候群のパーキンソニズムは、前頭葉の障害による静止時固縮が多い印象がある。

上肢は、確認できるケースが少ないが、肘関節を屈伸していると屈曲から進展すると突然固まって動かせなくなる。

下肢は、座位または臥位にして、下肢を進展させ膝を軽く押さえて過進展にすると、膝関節が多動的に動かせなくなる。こちらは簡単に誘発できる。膝が屈曲したケースでは、過進展に出来ないため誘発できないが、過進展にできるケースでは容易に確認できる。

後は拇指の変形がよくみられるケースが多い。拇指の基部が屈曲し末梢が過進展して背屈している。これもよく見られる症状であるが、この拇指の変形は正常の方でもあり、常染色体優性遺伝とされており、実子に遺伝していることで確認できる。

後以前から書いているが、振戦を認めることが少ないのがパーキンソン病と違う点である

認知機能の改善は、グルタチオンやフェルガードFで対応している。いわゆる陽性症状に

対しては、抗精神病薬を使用する易怒や逸脱行動などの。易怒や逸脱行動などの前頭葉症状に対しては、クロルプロマジン(@コントミン・ウインタミン)を使用しているが、ある程度効果がある。食べ物の好みが変わり、好きなものしか食べない行動は、前頭葉の障害により起こり、「ピックの拒食」と呼んでいる。ピックの拒食の場合甘いものを異常に好むことが多く、私はエンシュアで対応している。エンシュアは、甘ったるく飲みにくいと感じる方が多いのであるが、ピックの拒食の方はおいしいと言って好んで飲んでくれることが多い。エンシュアを好むようなら前頭側頭型と私は考えている。

レビーの場合、脳幹部のアセチルコリンとドパミンが減少していると考えられるが、相対的にセロトニンが過剰になっていると考えている。抗うつ剤の使用じイライラすることが多いと言われているが、セロトニン過剰でかなりイライラするようである。気になることがあると執拗に訴えかけてくる。家族によく電話をするが、ある用件で話が終わっても、同じことで繰り返し電話をかけることが多く、家族が疲弊ることが多い。また多動になり徘徊することが多い、種に夕方から夜間にかけて徘徊が多くなり、夜間せん妄との区別が難しい場合もある。このセロトニン過剰と思われる症状には、ニューレプチルが有効である。

あとセロトニンは、痛みやかゆみの伝達に関与しており、過剰だと痛みやかゆみを増強してしまう。この症状は、主に夜間に多い印象であるが、皮膚に線上の出血を認め、執拗に掻爬している様である。軟膏類の概要や、抗ヒスタミン薬が効果がないことが多いが、少量のニューレプチル(2.5~5mg)にて短期間で皮膚病変は改善することが多い。

前回書かなかったが、フェルガードなどの抗酸化療法で自律神経障害が改善する傾向ある。

用量は、クロルプロマジンは5~25mgで効果が得られることが多いが、最大使用量は75mg~150mgである。

ニューレプチルは、20mgまで使用したケースがあが、副作用が出やすいので10mg程度までに抑えていた方が良いと考えている。

 

日本人では、迷走神経の働きが強いほど認知症が進行しやすいい。と専門家がテレビで話しているのを聞いて、確信した。私の経験からも認知の進行と脳の血流不全が大きく関係していると考えている。

認知症の方に脳幹部の一過性脳虚血発作が多い事に、認知症にかかわりだしてすぐ気が付いた。脳幹部の巣症状としてせん妄を含む重度の意識障害を見ることが多かった。麻痺も交差性麻痺や四肢の弛緩性麻痺・下肢の単麻痺など脳幹部の障害により起こる症状が多かった。外眼筋の異常な収縮と共同偏視・縮瞳と眼球運動の消失なども、脳幹部の障害と考えられる。呼吸もチェーンストークス呼吸など脳幹部の障害を示唆する症状も珍しくない。

同時に前頭葉の機能障害を伴う症状も認めるケースが少なくなかった。

これらの症状は、前途の脳血流不全にて起こっていると考えている。

九州大学の久山町の研究で、病理学的に日本人では、レビーが30%強・脳血管性認知症が40%と確認されている。この研究は2009年に発表されているが、アルツハイマーは25%となっている。この研究は、認知症医学会では長らく無視されている。

私は日本人の認知症医の進行原因は、脳血流不全による酸化ストレスが原因と考えている。今まで脳血管認知症は、1回の脳血管障害による脳の損傷とされているが、これは改めた方が良いと考えている。脳血管障害に伴う症状は、高次脳機能障害と考えるべきである。

動脈硬化や迷走神経反射に伴う慢性の脳血流不全が、認知症の進行の原因であると考えている。こう考えると、認知症治療で大事なことは、脳血流の安定化と酸化ストレスの軽減である。

脳血流の安定化にはプレタールが有効である。プレタールは、動脈行為化に伴う壁在血栓の退縮を図ることで、脳血流が安定してくる。壁在血栓で血管内腔の狭小化による血流低下だけでなく、乱流の発生を抑止する事で、細動脈の血流不全を抑えている。

後は抗酸化療法である。私は@フェルガード100Mと言うフェルラ酸含有食品と、グルタチオンの静注を用いていたが、それぞれ有効であったことを確認している。フェルラ酸含有食品は、グロービア社のフェルガードFを推奨している。フェルガード及びグルタチオン内服は、消化管から吸収されると肝臓を通過し、そこで分解されるため効果が乏しくなってしまう。グルタチオンは2000mg静注を使用していた。

シチコリン静注は、使用しなくなっている。理由は、シチコリンがアセチルコリンの前駆物質であるため、投与により迷走神経が過緊張になるのである。私はシチコリンは、活動性せん妄の治療に使用していた。500mgで効果が得にくいケースに1000mg投与したところ、せん妄が急速に軽快するのである。このため多用していたが、シチコリン1000mg投与後、せん妄で騒いでいたケースが、意識消失することが目立っていた。5分以内に意識が回復するとせん妄が収まっていた。ただシチコリンによる迷走神経過緊張が、悪影響を残ることに気が付き使用をやめた。過活動性せん妄には、グルタチオン2000mg静注が効果があることを確認出来てから、使用をやめた。