河野先生の発表している有効率であるが、正のバイアスがかかっているようである。
正確な実数は不明であるが、名古屋フォレストクリニックの初診患者の流れは、
①名古屋フォレストクリニックに通院
②患者の地元の実践医(非公開の実践医もいるようである)に紹介さえれて通院
③初診だけで、通院を中止する
の3通りあるようであり、それぞれ1/3ずつ程度だと聞いている。
初診だけで通院を止めたケースは、治療効果がなかったケースだけでなく、かえって悪化したケースも少なくないようである。
また①通院を続いけたり②実践医を紹介された方々の中には、有害な薬剤(抗認知症薬や抗精神病薬・抗うつ剤など)を、中止しただけで改善したケースも少なくないようである。
河野先生は、自分が担当したケースの70%程度が良くなると言っているが、これを上記数字に当てはめると、最大でも初診患者の50%程度が、改善しているだけである。
名古屋フォエレストクリニックに通院していても、経過が芳しくないケースも少なからず居るようである。
最近は認知症ブログが非公開になり、私は見ていないが、以前のブログに長期通院で改善したケースが、治療奏功例として誇らしげに掲載されていたが、私の経験では、自然経過(何も治療しない)で回復するケースも珍しくない事が判っているので、コウノメソッドの成果と言い難いと認識している。
私が見ている患者たちと河野先生の見ている患者層は、違うようである。河野先生の場合、比較的発症初期でタウ蓄積があまり進行していないケースが多いのではないかと思われる名古屋フォレストクリニックを受診しているケースの多くは、酸化ストレスによる可逆的な変化で症状が出ている場合が多いと思う。あとは、薬剤により悪化しているケースも多いと思われる。
私自身の経験でも、コウノメソッドが有効なケースは、せいぜい3~5割程度と考えている。
前頭葉症状にクロルプロマジン(@コントミン・ウインタミン)が、有効であるが、すべてのケースに有効ではない。効果があるケースは、少量(4~25mg)で効果があるケースが大半である。12,5mg程度まで増加し反応がないケースの場合、それ以上増量しても効果がないケースが少なくない。
この様にコウノメソッドも限界があることを理解しておく必要があると思う。
コウノメソッドのファーストチョイスが有効なケースは、非常に良くなるケースが少なくないことは事実である。
抑制系の薬剤も、それなりに有効ではあるが、全く効果がないケースがいる事を理解していく必要があると思う。
認知症全体への有効率は、河野先生が主張しているほど高くないと思う。
その理由は、コウノメソッドで治療を継続して受けている方々の多くは、初回治療でそれなりに反応しているケースが大半であることが、挙げられる。有効例だけ集め、無効例は脱落している集団での有効率が、意味がないのは理解できると思う。
私の経験でも、コウノメソッドのフォーストチョイスに反応しなかったケースの治療は、難渋することが多い。
高齢者に多剤投与がリスクがあるのは、認知症治療でも同じである。
私は、現在抗認知症薬を積極的には使用していない。長期投与で副作用が出やすいからである。
私のファーストチョイスは、ポリファーマシーの解消とプレタールの使用である。
あと便通管理に力を入れているが、私は原則酸化マグネシウム製剤(マグラックス・カマ)を使用しない。
降圧剤は、可能な限り使用しない(血圧を下げると認知症が進行する・認知機能が直接悪化するケースさえある)。
抗認知症薬も、基本敵に使用しない。
抑制系は、コントミン・ウインタミンとニューレプチルが中心である。抑肝散もあまり使用しなくなっている。
これだけで、ある程度効果を挙げているが、十分効果が出ないケースも少なくない。
認知症の場合、治療に依存しすぎると、介護が大変になるだけで終わることもある。
コウノメソッドも、あくまでも道具の一つであり、使い方を間違うと大変な事になるのを理解しておくべきだと思う。