コウノメソッドの限界?悪性DLBについて | 老年科医の独り言

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認知症治療にかかわって30年目になります。
今回心機一転、題名を変更して、ぼつぼつ書いていきたいと思います。

最近脳について様々な検査法が開発されているようである。特にPETを使用して脳内にある物質を描出する方法が、いろいろ開発されている。
アルツハイマーで蓄積するβアミロイドを描出する方法以外に、最近、脳内のタウタンパクを描出する方法が開発されさまざまな事が判ってきたようである。
アミロイドとタウの両者で、レビーを検査すると興味深い事が判ってきた。
レビーの方の中に、アミロイドの蓄積がアルツハイマーと同じ蓄積パターンを示すグループと、アミロイドの蓄積をほとんど認めないグループがあると言う事である。これは、九州の久山町の研究でもアルツハイマーの40%にレビーが合併し、レビーの66%にアルツハイマーが合併すると言う知見と一致するデータであろう。
臨床的にもアルツハイマーとレビーの合併と考えられるケースもかなりいる事を裏付けるデータであろう。
もう一つは、今まで予想していなかったデータである。
レビーの場合、タウタンパクの蓄積がより高度で進行が速い悪性レビーと呼ばれるタイプがある事が、判ってきたようである。
今まで私が経験してきた、進行が速く治療効果が上がらないケースが、この悪性レビーの様である。
私の実践医である友人からこれ事実を教えてもらったが、その友人もコウノメソッドもフェルガードも全く通じないレビーが居ると言っていた。
悪性レビーの場合、前頭葉症状が目立ってくるケースが多いと思われるが、ウィンタミンの効果が75mgまで増量しても十分効果が得られないとも言っていた。

私も、フェルガードやメソッドに従った治療を行っても、ほとんど改善効果が得られないケースが居る事には、気が付いていた。
最近経験したケースでも、最初は治療ん反応していたケースで、急に悪化したケースが居る。このケースの場合、フェルガードにある程度反応していただけに、ショックが大きかった。悪性レビー化し、急速にタウタンパクが広い範囲に多量に蓄積して言ったと考えると、理解できないわけでは無いが・・・。

河野先生は、このような急速に進行し短期間で寝たきりになるケースを見たことが無いと言っている。
最近のブログの記事でも、陽性症状主体のせん妄のケースを取り上げていたが、その記事を見ると河野先生が、陽性症状主体のせん妄のケースをほとんど見ていないことが判る。私は、そのようなせん妄のケースを中心に長年対応してきた。その武器は、シチコリン注射であった。500mgでは十分な効果が得られなかったケースが居たが、1000mgでは効果が不十分と感じた事は無かった。
河野先生が、積極的に使用している低活動性せん妄に対しては、効果が不十分と感じる事はあったが・・・。
あとこの悪性レビーの陽性症状の激しさと、パーキンソニズムの進行の速さから、河野先生の外来を受信できないケースが多いと、言えると思う。
悪性レビーの場合、寝たきりになるのに1~3ヶ月と言う短い時間しかかからない。河野先生の外来を申し込んでも、受診の時期には、名古屋まで連れて行けない状態に成っていると思われるのである。
河野先生は、この悪性DLBの存在に気が付いているのであろうか?

一昨年の冬、受け持ち患者を襲ったクライシスは、異常気象による迷走神経反射の影響だけではないと考えられる。繰り替えし通過する大型の低気圧・15℃をはるかに超える気温差などにより自律神経障害が加速され、激しい迷走神経反射を繰り返したことが、多くのケースに急速に病状の悪化が起きたと考えていた。この悪性DLBについて知ると、単に自律神経障害だけでなく、何らかの原因により悪性DLBへ移行したと考えるべきだと思った。

今後この悪性DLBにはどう立ち向かっていけば良いのか?
まだ回答は無い。