車を駐車場に入れる。
日立の大煙突から、さらに奥地に、
日鉱記念館という博物館がある。
一見すると未来的な、瀟洒な建物だった。
広がりのある基盤の上に長いシャフトが支えられていて、
人間が月に建てる住居は、
こんな感じじゃないかと想像させる。

まっさらなコンクリート壁が、
冬の晴天にさらされ、無機質ではあるものの、
清廉さを思わせる印象だった。

僕はしばしその建物を左から右へと視線を移し見惚れた。
「中入る?」
再びマスクをした彩花が、
あとからやってきて言った。
「もちろん入るでしょお、せっかく来たんだから」
「おもしろいの?」
僕は彼女に振り返り、大きく頷いたが、
それは自分のことであって、彼女にとってではない。
小砂利が敷き詰められた歩道を歩き、
僕らは建物の中へと入って行った。
それほど人はいない。
まあ大勢でわいわい出かけるような
そんな場所ではないのだけれど。
アドレナリンを分泌させるアトラクションがあるわけでもない。
しかしながら、僕の心底は微妙に震えを持つことがある。
子どもの頃から考えていたことだ。
人が何かに惹きつけられるのは、
虫が光に群がるような本能ではない気がしていた。
記憶があるからだ。
経験といってもいいその記憶が、
人に思わぬ志向を抱かせている。
叶うことなら、この世のことを、
全て知りたい、本当の意味を知りたいと思う僕の欲求は、
そういうからくりで動いていた。

「かわらないよねえ、翔太」
中でじっと展示物をのぞいていると、
後ろから彩花が言った。
マスクをしていたが、たぶん口元を笑っていた。
「どうして」
僕はぶっきらぼうに答える。
「付き合い始めた頃さ、
いっつも家では何してるの?て私聞いたでしょ、」
博物館の中、あまり人はいなかったけれど、
彼女の声は徐々に小さくなり、
「あの時翔太、ちょっと考えてから、
勉強って言ってたから、わたしね、
この人何言っちゃってんだろう、て思ったのね、
そしたら、一緒に暮らし始めたら、ほんとに机にばっか向かってんだもん」
「なにそれ」
僕は少し不機嫌になって答える。
彼女は、小さく笑いながら、
「嘘ついてんのかと思ったんだもん
かっこよく見せようとして…、」
「なにそれ」
「ほんとに勉強ばっかしてるから」
僕は近づいてきた彼女に、少し距離をとって、
「勉強って表現しか、思いつかなくて、」
「いいじゃん、ほんとに勉強だから」
「いや違うよ、」
僕はそう言いながら、再び次の陳列に向かって歩き出しながら、
「欲求だよ、」
「よっきゅう?」
「そうだよ、欲望」
「ふふ」
彩花はただ軽く笑った。
僕は彼女に振り返り、
「それより、なんでマスクまたして」
「え~、予防だよ予防」
「車ん中では外してたじゃない」
「だって翔太はインフルでもコロナでもないでしょ」
「…」

彼女の言葉は、
なにか不思議な違和感を持って、
僕の心に残っていった。

 

プロジェクト648日目。

 

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2020/4/17 648日目

■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 

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■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中

 158ページ中50ページくらい了

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

彩花はバベルの塔について、
名前だけ知っていると言った。
「聖書のお話なんだけどさ、
天に届くような塔を建てようとしたって話なんだ」
「そうなんだあ」
彩花は、あまり興味なさそうだった。
それでも僕は、
「子どもの頃、家のリビングに絵が飾ってあった、
当時は知らなかったけど、今思えば、
それはモンペルっていう、中世の風景画家の描いたバベルの塔で、」

それは天を衝くほどの塔には思えなかった。
よくよく観察すると、古代というよりは、
中世ヨーロッパのようで、
とにかく、巨大な建造物が、
雲がかかるくらいの大きさで描かれていた。
僕は小さな頃、
その絵を細部まで眺めつくしたと言っていい。
だから情景まで、目を閉じると、
今でも思い浮かべられる。
しかし、その故事や伝承には、
頭が至らなかった。

僕らは車で煙突のあった場所から、
さらに山奥へと向かっていた。
日立の鉱山を今に伝える資料館があり、
そこに向かっていた。


バベルの塔は、
旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔。
神話の中のお話っぽいが、
実は紀元前6世紀頃、
バビロンのマルドゥク神殿にあった、
エ・テメン・アン・キの聖なる塔の遺跡と言われてもいる。
この塔は、それはとてつもない遠大な建築計画だった。
誰もが想像もできない、天に届くような、
巨大な塔を建てようとした。
しかし、計画はなかばで頓挫する。
目的の途中で、崩壊してしまったという。
それはいつしか神話となり、
神の怒りに触れて壊されたとされた。

僕が全てを記憶しているわけじゃないが、
以下に「創世記」11章1-9節に描かれた一文を載せる。
「全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた。
東の方から移動した人々は、シンアルの地の平原に至り、そこに住みついた。
そして、『さあ、煉瓦を作ろう。火で焼こう」と言い合った。
彼らは石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを用いた。
そして、言った、
「さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。
あらゆる地に散って、消え去ることのないように、
我々の為に名をあげよう」。
主は、人の子らが作ろうとしていた街と塔とを見ようとしてお下りになり、
そして仰せられた、
「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。
この業は彼らの行いの始まりだが、
おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。
それなら、我々は下って、
彼らの言葉を乱してやろう。
彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」。
主はそこから全ての地に人を散らされたので。
彼らは街づくりを取りやめた。
その為に、この街はバベルと名付けられた。
主がそこで、全地の言葉を乱し、
そこから人を全地に散らされたからである」

「バベルの教えは、
人類になにを諭そうとしているかって考えるんだ」
「おごり?」
彩花はためすように僕に聞いた。
「まあ、そう考えるんだけどさ、
大体、2500年も前から、人は奢るっていう観念があったというだけで、
すでに人は人知を超えて、
地上の王としての奢りがあったってことなのかな
それはそれで、なんか人類の歴史すげえって思うし、
それに、何か暗示していることがあるとすれば、
それはなんだろうかって考えちゃうよね」
「ふ~ん、そんなもんかなあ」
彩花はまた興味をなくしたみたいで、
狭い助手席で無理に伸びをして、
「そろそろかなあ、博物館、つく?」

バベルは言語を破壊させた。
それが意図することはなんだろうか、
つまりアンチグローバリゼーションなわけだ。
そして今社会は、垣根のない世界、
グローバル化を急速に進めようとしている。
歴史上の政体が、中央集権と地方分散を、
呼吸するみたいに変遷していくのと同様、
僕は真のグローバル化には、少し懐疑的な気分を持っている。
トラディショナルスタイルは、
人間の本能だ。野性的な方の意味で本能だろう。
人は社会を形成するが、日が暮れれば、
最小社会に帰巣するようにできている。
それでも言語を統一するように、
急進的な画一社会を求めるのはなぜなんだろうか、
これは、バベルの塔を再び造ることと、
同じ行為にはならないのだろうか、

そこまで考えているうちに、
雑木林ばかりの道に、
やがて瀟洒な造りの博物館の建物が見えてきていた。
 

プロジェクト647日目。

 

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2020/4/16 647日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

「ほんとは日本史上最長じゃなかったんだ」
「そうだよね、ちっちゃいもの」
向かいに工場設備のある駐車場に車を停めた。
その工場の奥が、
赤茶けた山肌になっていて、
山頂付近に煙突が見える。
ほそぼそとした煙が、
上空には風があるんだろう、
空中にうっすらと伸びていた。

旧日立鉱山にあった大煙突。
大正4年頃建てられたものだ。
156メートルほどあって、
当時は世界で最も高い構造物だった。
日立鉱山は開山と同時に、
煙害問題に直面していた。
鉱山から出る有毒ガスが、
近隣の村落に煙害をもたらしたのだ。
それを制御する方法をいろいろと模索した。
ムカデのように地上を這う煙突をつくってみたり、
だるまみたいな形の中に煙をためて
吐き出すみたいなこともやってみた。
そのどれもが失敗し、
最終的に行きついたのが、
この大煙突だった。
 
人間には見えないが、
上空には一定の気流の流れがある。
その上を行くような高いところで、有毒な煙を吐き出したのだ。
その高さが、結果的に156メートルだった。

「今はなんでないの?」
彩花は僕と一緒に
山肌にぽこっと出た突起物のような、
申し訳程度の煙突を眺めて言った。
「折れちゃったんだ」
「え、地震とか?」
僕は首を振って、
「ほんとは、あれより3倍くらいの高さだったんだって、
だけど地震とかじゃなくって、
たぶん、老朽化したんだろうね、
突然ポキッと折れたらしいよ、結構最近ね」
「もったいないね」
さっきまでなかった風が吹いていた。
穏やかな日だったが、山の中では、
その風は冷気のようだった。
僕はジャケットの襟を合わせながら、
「別にもったいないなんてないでしょ、
もう役目を終えてたんだから、」
「まあ、そうだけどね」
「もしさ、まだ156メートルの高さから
煙吐き出さなきゃ行けなかったら、
すぐに再建とかしたでしょ、立て直さないんだから、
必要なかったんだ」

僕は冷たい風に耐えられなくなって、
彼女を促し、車に戻った。

人間が、高さに無限の感懐を抱く意味を、
なんとなしに考えていた。
高さは偉大だった。
この日立の煙突も、
かつては煙害の象徴だったというのに、
この街のシンボルになっていた。
人間には、天上へと足を踏み入れたいという、
本能に近い欲求があるというんだろうか、

「ねえ、バベルの塔って知ってる?」
僕は再び車を走らせながら、
助手席に座る彩花に話しかけた。

 

プロジェクト646日目。

 

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2020/4/15 646日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

「それなに?」
「うん、なんか歩きスマホしてて」
僕は昨日の、
女性とぶつかって、
ホームで多少の口論になったことを掻い摘んで話した。
「やだねえ、気を付けなよお、」
「いやあ、だってさ、
向こうもこっち見てないんだから」
「どういうこと?」
「向こうも歩きスマホしてんだから、
両方で前見ないで、そりゃあぶつかるでしょってことなんだけど」
「翔太も見てないんでしょ、危ないよ、
どうすんのそれ、女の子だったから良かったけど、
すっごい怖そうなおじさんとかだったら、」
「まあね…、」
僕はフロントガラス越しに、
びゅんびゅん走りすぎる光景の中に、
夜の駅のホームで、
ほんの数分言葉を交わした女のことを思い浮かべていた。
真っ白な顔と黒くてまん丸な髪型だけが
うっすらと記憶にある。
かなり若いだろうな、格好からすると、
丸の内や新宿あたりの販売員かもしれない。

「マスクと同じだよね、それ」
すでにマスクを外してしまった彩花が言った。
僕は、どうしてという顔して、
運転しながらではあったけど、彼女をちらっと見た。
「だって、マスクしてない人同志が、咳をかけあったら、
それって結局両方とも被害にあうじゃない」
僕は唇を軽く歪ませて、
「両方が、被害者であり、加害者であるってこと?」
「そうそう、だって、お互いマスクしてないんだから、
両方とも悪いってことでしょ、」
「でも、咳を人に向けなきゃいいんでしょ」
僕はいったん反論してみる。
彩花は、
「だからあ、それが歩きスマホと、
同じ行為ってこと言ってるの」
「同じ行為…」
「もおお、わかんないかなあ、
マスクしてないことも、歩きながらスマホしてることも、
それ単体で安全じゃないでしょ、それが重なったら、
もっと悪いことになる、ほらあ、似てる」
「なんか、哲学」
「ちがうよ、そんなんじゃない」
僕はナビの地図に気を取られていて、
正直、そんなにはっきり彼女の言ってること、
理解したわけじゃなかった。
ただ漠然と、
それじゃあマスクをしないことが悪みたいだな、
と思ったくらいだった。

常磐道をずっと北上して、
ようやく日立のあたりでインターを降りたのは、
昼少し前だった。

海側から、日立の山中へと入って行った。
「ここが翔太が来たかったとこなんでしょ」
「そう…」
僕はワイディングの道にハンドルを強く握りながら、
「大正時代だけどね、日本史上、もっとも高い建築物があったんだよ」
風もなく、暖かな冬の日だった。
しかし、窓を開けると、
山中へ進みにつれ、空気はひんやりとしていた。

「ほら、見えてきた!」思わず声をあげた。

山肌にはりつくように、コンクリート造りの建造物がある。

その上の方に、欠けて、短駆になった煙突が見えていた。

 

プロジェクト645日目。

 

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2020/4/14 645日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

超自然的というのは、
人的意識がないことを指していて、
だから本当は自分の庭、
つまり本能が成している行為も、
超自然的と言ってしまうのだけれど、
自分が意識しない以上は、
不思議に思えてしまうのは仕方がないのかもしれない。
そこで行われる、結果的な自分の行為も、
理解できないってことになる。

ともかく人間は、
自覚症状が出るまでは、
全てを知ることができない。

知るとすれば、ぼんやりとした、
漠然とした不安感とか、そんな感じだろうが。
それに経験値が付け足される。
経験予測は、意識下のもので、
無意識での防御心理を絶対的なものにする。

それを混ぜ合わせた不安感が、
人にマスクを必要とさせるのだ。
おおかたの見方では、人間の本能が、
防御策としてマスクをさせている。
僕は予防策としてマスクをしている人を、
そんな目で見ていた。
そして、自分がマスクをしない理由も
その反例だと思っていた。
彩花には、そんなことは話さなかった。
彼女には、去年の記憶とかがあって、
実際に病に苦しんだ思いが
そうさせているんだろうから。

「そういえばね、そのコロナって、
コウモリが原因ってやっててね」
「あ、ほら、筑波山」
僕は彩花の話には答えず、
左前方に姿を現した筑波山の山影を見た。
彼女はそれでちらっと左の方見たが、
興味なさそうに、
「あ、ほんとだ…、」
と一呼吸おいて、
「でね、コウモリが媒介して、人間に感染したって」
「中国で?」
「うん、そう」
僕はそんな報道や記事は見たことなかったけれど、
しばらく考えてから、
「やっぱ動物なのかなあ」
「どういう意味?」
「カミュの『ペスト』って小説知ってる?」
「ううん、知らない」
僕は記憶を辿るように、車の天井に一瞬だけ視線を移し、
「『異邦人』書いた人。フランス人でね、
昔流行ったペストを題材にした話なんだけどさ
チェニジアだったかなあ、どこかアフリカのフランス領での話で、
街を何ヶ月も封鎖して、感染を食いとめるんだけど、
その間の封鎖された街側の話として、」
自分で話していて、ふと、
今現在封鎖されている武漢のことに思いが巡る。
「そこでも最初はさ、ネズミが大量に出てくるんだよね、
それがそこら中に泡吹いたりして死んでるわけ」
「やだ…」
冬の澄み切った朝の空気に、
筑波山の2つの頂上がくっきりとしている。
僕はそれを横目に見ながら、
「それで、次に猫が減るんだ、ネズミが死んで、
猫がいなくなる、この関係は読んでもよくわかんなかったけど、」
「猫がネズミ取ってたから?」
「うん、そうかもね、それで、次に人間、
ネズミはそこら中動き回るから、菌が付着してて、
それを人間が体内に取り込んでしまう、そういう展開だったんだけど、」
「こうもりって」
何か思いついたように彩花が言う。
僕は弾みをつけた口調で、
「そう、そうなんだよね、こうもりって、
人間の生活に密着してないじゃない、どっちかっていうと、
洞窟とかにいそうだけど…、だから感染するにしてもね、
食用ってことかな、食べてるのかなあ」
「やだあ、こうもり食べてるなんて」
「どうなんだろう…」

この時、僕らの知識はその程度だから、
それ以上のこと考えることなんて出来ようもなかった。
僕はただ、コウモリがネズミほどの体長のわりに、
ネズミが2年ほどの寿命のところ、
中には40年も生きるコウモリがいることを思い出して、
その生命力に、
このウイルスの脅威を繋げて考えたりしていた。

「そういえばさ、昨日の帰り、若い女の人と揉めたんだ」
僕は話題を変えたいのもあってそう口にした。
「え~、なにそれ」
彩花はマスクをはずしてふうっと大きく息を吐くと言った。

 

プロジェクト644日目。

 

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2020/4/13 644日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

「風邪?」
車に乗ってから気づいた。
助手席に座る妻の彩花は、マスクをしていた。
「風邪じゃないんだけど…、する?」
彼女は膝に置いていたバックを開いた。
僕はハンドルを握りながら、
「え~、俺はいいよ、どしたの?花粉症?」
彩花は、あまり花粉症もなかった気がしたけれど。
「違う違う、」
マスクの奥のくぐもった声、
「風邪予防もあるんだけど、そういえば翔太は、
コロナって知ってる?」
「ころな?」
聞き返しながら、
僕は最近のニュース記事を思い出した。
「ああ、あったね、中国で流行ってるやつでしょ、」
「違うの、あれ、日本にももう来てるって」
「インフルみたいなやつ?」
彩花はうんと頷いた。

1月のこの時点で、
僕はこのウイルスにほとんど関心がなかった。
国外では、すでにこれは新型のコロナウイルスとされており、
中国で感染者440名、死亡者も9名出ていた。
しかし日本国内においては、
厚労省の発表でも感染者はたった1名に過ぎなかった。
神奈川県在住の男性で、1月3日から発熱し、
6日には発生源とされる武漢から帰国、
10日に入院していたが、
5日ほどで症状が軽快し退院していた。
中国で肺炎患者との濃厚接触があったというが、
僕ら日本人が、
それほど意識しないのも無理はなかった。

車は高速の入り口にさしかかる。
彼女は、
「ETC入れた?」
「うん」僕は答えながら、
差込口のカードの端を指でなぞった。
高速道路に入ると、視界が広がっていった。
「いい天気だね」
彩花はフロントガラス越しに、
冬の雲ひとつない青空を見つめていた。
「する?」
彼女はもう1つのマスクを片手で僕に近づける。
「え~俺はいいよお、全然」
僕は手を振って、
「だいたいインフルだって、かかったことないしなあ」
「去年、わたしはなったから」
「そうだね」
「なんで翔太はいっつもならないんだろうね、」
「そりゃあ、」
考えてみるのだが、特に思い当たることもない。
僕はまめに手を洗う方でもなく、帰宅した時なんか、
よく彩花に促されたりしている。
花粉症みたいなものもないから、
まずマスクをすることもなかった。
「予防接種もしないしね」
会社では無償でインフルエンザの予防接種が受けられた。
ほとんどの社員が受けていたらしいが、
僕はそれに申し込んだこともなかった。
「だって注射やじゃん」
それが率直な気分だし、そもそも接種しなかったところで、
今のところの僕には影響がないという根拠だった。
「受けた方がいいってえ」
彩花は自分の勤める会社で、
毎年のように受けていたから。
「受けたってなる人はなるんでしょ」
「まあそうだけど、ただなんだし」
「ふふっ」
僕は軽く笑って、
「ただって、そんなの理由にならないじゃん」
「どうして、辛いんだから、なったら高熱出て、
ほんと苦しいし」
去年だったか、彼女を看病したのを思い出した。
体温は40度近く上がっていて、
汗でぐっしょりになっていた。
彩花は感染るからあんまり気にしないで、
と言っていたけれど、
身体を拭いたり、咳もまともに浴びたけれど、
僕はその後もなんともなかった。
「でもなんでだろうね」
車線を変更しようとウインカーを上げる。
カチカチ硬い音が車内に響く。
「なにが?」
「いや俺に感染しないのって、なんでだろう」
彩花は笑いを含んだ声になって、
「あんまり過信しない方がいいよお、
そういう人に限ってなったりするからね、
予防するに越したことないんだから、
でも、なんかあるのかもね、ほら翔太って、
お風呂で石鹸使わないでしょ」
「たまに使う」
「でも普段使わないでしょ、石鹸使って体洗わないんだから、
あれって、なんか私見たことあるんだけどね、
身体に免疫作用が出来てて、
いつも身体を清潔に保つ菌持ってるって聞いたことある」
「そうなの…」
「関係あんじゃないかなあ、身体がすぐに抗体つくるとか、
そういうのがさ」
「強いってこと?」
それが本当だとしたら、
目に見えない何か、それを身体は知っていて、
脳に何らかの指令を出している。
その指令すら、僕らは知らないのだけれど。

道は外環から常磐道への合流にさしかかっていた。
茨城県の北方、日立へと向っていた。
交通量は徐々に減っていった。快適なドライブだった。

 

プロジェクト643日目。

 

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2020/4/12 643日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

それはまるで、
少女のようなあどけさのある女性だった。
驚いた顔していたせいかもしれない。
目を真ん丸く見開いて、僕を見ていた。
人ごみで、出会いがしらでぶつかったのだ。
どうやら、互いがスマホを見ながら
前を見ずに歩いていたらしい。

僕は彩花へ、野球なら見たい、
と送ったメールを残影にして、
ぶつかってしまった、10代とも思える女性を見た。
艶のある黒髪に、
青いメッシュのような筋がいくつか入った
髪型をしていた。
彼女は最初こそ驚いた顔していたけれど、
すぐに、ふてくされた表情になって、
「なに?危なくない?」
「あ、すいません」
僕はぺこりと頭を下げて、
その場を立ち去ろうとした。
「ちょっと、」
女は語気を強め、僕に追いすがってくる。
僕は振り向いた。
「これどうしてくれんの?」
2人は互いにスマホを見ながら歩いていて、
ホームですれ違えずにぶつかったんだ。
ところが彼女は、
手からスマホを取りこぼしていた。
それを、僕の眼前にしめしている。
見ると画面には、
左上からくもの糸みたいにひびが入っていた。
弁償しろっていうのだろうか、
僕は渋い顔して、やっかいな人に捕まったと思っていた。
歩きスマホはお互い様だろう、
取りこぼしたのは、フィフティな状況で言えば、
個人的な過失だろう。
僕はそれでも一応、
「壊れましたか?」と聞いた。

ホームに行き交う人たちが、
僕らの挙動をちらちらと見ながら通り過ぎる。
僕とその女は、
自然にベンチの脇へと寄って行った。

「壊れてるでしょ、見りゃわかるでしょ」
「いや、付くんじゃないですか?」
自分のスマホの画面を彼女に見せた。
僕は数ヶ月前に、電話を肩に挟んで話していて、
地面に落っことしたことがあった。
それでひびが入っても、
今でも元気に作動しているスマホを
彼女の目線にさらした。
「なにそれ、」
「いや、動きゃいいんじゃないかなと」
「それ…どういうこと?」
「あ、いやだから、動きゃいいですよね、割れたって」
「今落としたの?」
年の差は20近くあるだろう、
それでも僕は態度を崩さずに、
「今じゃないですが、、、同じようなもんで」
それで、女は噴出すみたいに笑って、
「馬鹿じゃないの?わたしは落としたんだよ、
今ね、いま!ぶつかったから」
「どうしたらいいんですか?」
弁償する気なんて僕にはない。
ただこの場を逃げる気もない、
なるようにしかならないから、
もはやただ受け流すように会話するだけだった。
「なんかずるくない」
女はそれだけ口にすると、
肌艶のいい頬を歪めた。
その顔は彼女が、
おばあちゃんになった時の表情を窺わせた。
僕はその幻影を追うように、
彼女の顔に視線を走らせ、
それから、
「お互いさまかと…、」
次の列車がホームに滑り込んでくる。
アナウンスに紛れて、
女はなにか捨てゼリフを言ったようだけれど、
僕にはなにも聞き取れなかった。
彼女は電車にさっと乗り込み、
人ごみの中に消えて行った。

 

プロジェクト642日目。

 

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2020/4/11 642日目

■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

明日から3連休だった。
妻と2人で、
1泊2日で温泉に行くことになっていた。
去年は大型の仕事が夏からずっと続いていて、
休みらしい休みもとれなかったせいもあって、
こんなことは久しぶりだった。

早朝から車で出かけることになっている。
だから今日は、
少しでも早く帰ろうと思っていた。
夜9時過ぎの列車は、
あいかわらず混みあっていた。
僕は手すりにつかまり、
車窓に映る、
ぼんやりとした自分の姿を眺めている。

流れていく夜の街並みに投影された
人で溢れた車内は、
まるで街が重なりあい、もつれあって、
多重層をなし、
この複雑な都市の機構と折り重なるようで
ここで生活する人々の
象徴のように思えた。

それが、動いている。
永遠を思わせる動きで。
人々は多種多様だ。けして画一的ではない。
裸体の野生動物よりはるかに見分けがつく。
髪の長さ、その色、形、
背の高さ、肉付き、輪郭
服の色、その柄から模様、持ち物、
街だって、少しでも目立って、印象付けるような、
工夫を凝らした色とりどりの看板が光っている。
その全てが、右から左へと流れていくのだが、
どうにもその律動は単調に見える。
僕はそれがなぜかも知っている。
飽きたからだ。子供のころから育ったこの東京の、
変わらない風景だからだろう。

東京ってなんだろう…、
故郷であって、時に郷土心も芽生えるが、
その実、変貌変貌を繰り返し、
もはや、僕の幼少期のものじゃないし、
それでいて、何も変化がなく思える、

そんなことを考えると、
たしかに切りもないのだけれど、
人生の変化と都市の変化を
相関しようとする気分が、
とめどもなく、僕の中に溢れていった。

最寄り駅に着く直前で、
妻の彩花からメールがある。
オリンピックのチケットの再抽選があるから、
何の種目がいいか、とあった。
僕は、実のところ、
それほど東京オリンピックに興味がなかった。
仕事でオリパラ関係ははずれたのもある。
開催時期は、
どこか避暑地にでも避難したいと思ってるくらいだ。

せめて、野球だろうか、
野球ならどの国の対戦でも見飽きないかもしれない。
そんなことを考えながら、
ホームに降り立つ。

スマホを開いて、妻に返信しようとした、
その時だった。
ぼうっと視界に映った人影が近づいて、ぶつかった。
「あっ」
僕は声を漏らした。
目の前には、若い女があって、
同じようにはっとした顔をしていた。
 

プロジェクト641日目。

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2020/4/10 641日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

同僚の吉村は、いつも愚痴ばかりで、
僕はそれを受け止める役目をしている。
僕は転職して彼と知り合ったのだけれど、
同い年だったのもあって、
よくつるむようになっていた。
部署も違うし、
あまり仕事では縁がなかった。

1月のこの日、会社は、
来期の組織体制についての噂が
そろそろ飛び交う時期だった。
それなりに大きな組織では、
毎年のように大きな変更がされ、
それが、彼の不満、
というか不安の種らしかった。
「だいたいさ、なんでこう毎年毎年、
組織変えるんだろうな、だったら、
毎回同じでいいってことじゃん、
失敗ばっかしてんだろ、
また事業部くっつけてみたりさ」
「仕方ないんじゃないかな…」
僕は喫煙所に大きくとられた窓から、
水道橋、お茶の水方面の
夜の街を眺めていた。

ビルの20階からの見晴らしはよくて、

遠くスカイツリーも見える。
近くには、白くのっぺりした東京ドームが目立ってみえて、
その先の遊園地の灯りが明滅している。
目を凝らすと、
ジェットコースターの動きまで見えるようだ。
「寒くないのかね…」
僕は吉村の愚痴に返事するんじゃなく、
そう呟いた。
「なにが?」
彼も窓の外の夜景に目を向ける。
僕は指をさして、
「ほらあれ、ジェットコースター、
動いてそうじゃん、寒そうだなって」
「そうかな、今年、なんか冬あったかくね、
それに若者にはそんな寒さなんて関係ないんじゃね」

たしかに、今年はいつになく暖かな気がした。
1月下旬、僕はもうコートは着ていなくて、
スーツにマフラーをしているだけだった。

しかし、世代で、気温の体感が
そんなに違うものなんだろうか、
僕は、もこもこに着太りして、
道ですれ違う若い女性をイメージした。
まあ、人によるんだろうけれど、
個体差は多少あるだろう。

「組織は悩むんだろうね、上手くいかなきゃ、
またああしてこうしてって、誰だってなるでしょ
市場だってこうくるくる変わっちゃったら、

なにがいいのか、模索してるから」
僕は話題を戻して、

吉村のさっきの愚痴に答えてみた。
すると、彼はカウンターテーブルに寄りかかったまま、
僕をじっと見つめて、
「お前すごいねえ、そんなふうに考えられるもんなの?
俺は無理だなあ、それで困んのは、
結局下の人間なんだからさあ」
「別に困んないだろう…」
僕は言い返します。
彼は、困ったって顔を一度して、
「弱るだろふつう、異動で地方とかなったりよ、
俺の同期で、3年目で広島飛ばされて、
それっきり帰ってこれないやつもいるし」
「まあ、そういうのもあんだろうけど、
少なくとも私情じゃないでしょ、
幹部は私情でやってないよ、」
吉村は食い下がって、
「そうかあ、癒着してんだろう、」
「違うだろ」僕は語調をわずかに強めた。
「幹部同士はそういうのあるかもしれないけど、
少なくとも、俺たちにまで影響ないよそんなの」
「…」
吉村は黙った。
僕も少し黙ってから、また、窓の方に顔を向けて、
「俺は覚悟できてるよ、こういう会社入ったんだから、
少なくともさ、ここに至るまでの自由は、
みんな自分で持ってたんだから、
それで、ここ来て、いやなら、
やめる自由だってあるわけだし、
やんならやらないと」
「そうかね…、」
「やめたきゃやめりゃいいじゃん、
それも自由だし。ただ俺はやめないし、
覚悟もあるって言ったのは、ほんとは、、」
僕は言葉を切った。
それから言いづらいことだったが、
「ほんとは他じゃ通用するかわかんないって思ってるし、
そんなに自信がないからだけどね」
「ふう~ん…、」
吉村はため息のような声を漏らして、
「なんか哲学的でよくわかんねえや」
「はははっ哲学でもなんでもないじゃん、本音だよ」
僕は笑った。
「そうかなあ、小難しいじゃん」
「そんなことないって、、」
それで会話は途絶えた。

8時過ぎ、吉村とともに会社を出た。
いつものように駅前は人混みで溢れていた。
吉村は、
「にしてもいつも人多いよなあ、東京、人多い」
「そうだよな、人口密度って限界ないのかね、」
「人が途絶えるってことないよね、」
大きな交差点の横断歩道を渡る。
あとからあとから、人が流れていく。
頭上の歩道橋にも、人影が途切れず動いていた。
「軽く飲んでく?」
吉村が手を口にもっていく仕草をした。
僕は、
「ああごめん、俺明日から旅行なんだ」
「そうなの」

それで、吉村と別れて、
僕は週末の込み入った駅の構内へと向かっていった。

 

プロジェクト640日目。

 

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2020/4/9 640日目

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『C/B A corona is beautiful』の全編→

いつも躓く場所があって、
それをいつも忘れていて、
5回に1回くらいの割合で、
僕はその場で
靴先を敷石のでっぱりにひっかける。
転ぶまではいかないが、
それでも、少しもつれた感じになって、
同じことを思う。
何度かは振り向いて、
そのでっぱりを眺めて、
恨めし気な顔をちらっとしてみて、
なぜ、いつも忘れてしまうんだろうかと、
考えたりもした。

こんな話を冒頭にしたのも無駄ではなく、
これは、忘れっぽいとか、
同じことを繰り返すとか、
そういう暗示だったんだと思って、
いや、そんな簡単なことじゃないかもしれない、
その先のこと、
つまり、忘却しなければ、
すべては上手くいくかもしれないという、
そのプロセスとシステムを、
人間が整理して、
この体内に組み込むことができるのか、
それを真剣に考える、
そういう無益に見える、
そういう話を、
今からしようとしている―――――――、


僕はまずもって、
遠い、どこか遠い国の話として、
その話を聞いた。

中国の武漢で、SARSが
再び蔓延しかけているというニュースだ。
重症急性呼吸器症候群と呼ばれるこの感染症は、
SARSコロナウイルスによって引き起こされるもので、
2002年から翌年にかけて、
中国南部を中心に拡大し、
8,096人が感染、774人が死にいたった。
致死率にして、10%。
症状は、高熱、咳が続いて、
やがて呼吸困難に陥る。
日本では感染者もおらず、
それほど問題視されなかったものだ。
このSARSが、布団の隅で、
あるいはレンガ壁の隙間で温床され、
復活したというのだ。

それが、翌日のニュースで、
ちょっと様相を変える。
それはSARSではなく、
新型のコロナウイルスだという文字が、
新聞などに出てくるようになっていた。

1月23日、
ついに中国政府は、
発生源とされる武漢市を封鎖した。
武漢市は、ここから75日あまりロックダウンして、
外界から完全に遮断されることになった。

その報道を見ていて、
中国政府というのは、
やはり専制政府で、
日本では想像もつかない強制力を持っていることを、
いまさらながら考えた。

僕は会社の同僚にスマホの記事を見せながら、
「日本じゃありえないな、」
同僚の吉村は、国体について、
それほど深く考えたわけじゃないんだろうけれど、
「それじゃ、日本でこんなことなったらどうすんだろうね」
「感染ってこと?」
「そう、同じように封鎖しなきゃなんなくなったら、
政府じゃできないってこと?」
僕は、日本において、
こうした事態が起こるとは思えなかった。
それには、なんの根拠もないのだけれど。
「まあ、それでもやるんじゃないかな、
本気出したら、とめなきゃなんないしさ」
吉村は煙草を吐き出し、ふうっと息をつくと、
「とめるって、こええなあ、病気」
「こわいね」

それで、
それきりで、この会話はおわり。
僕らは休憩に入った喫煙室で、
また仕事の内容について、
愚痴まじりで話をはじめた。

 

プロジェクト639日目。


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2020/4/8 639日目

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