彼は深々と頭を下げ、
大坂さんたちが
地下鉄の階段を降りて見えなくなると、
さっと僕に振り向いた。
「な、もう一杯飲んでこう」
まだ9時前だった。僕は頷いた。
それで2人で山内がよく行くという、
女の子のいる店に向った。
信号待ちしていると、
「なんかマスクのやつ多くね」
と山内は言った。
信号を待つ向こう側にも
人が並んでいるのだが、
たしかに10人ほどいて、
その半数くらいはマスクをしていた。
僕は、
「またインフルでも流行ってんのかね、」
「いや、今年は違うらしいよお」
山内は少し酔った口調で、
「今年は新型らしいよ」
「新型のインフル?」
僕は信号の向こうに並ぶ、
白いマスクの顔ぶれを眺めながら言った。
「違う違う、違うんだよなあ、
なんつったかな、インフルじゃないやつ」
僕はそれで、妻の彩花の言葉を思い出して、
「コロナ?」
「そそ、それ!」
山内は大きく手を叩いた。
「やばいらしいよ、中国の武漢で
コウモリ食った人間から伝染したらしいよ」
「コウモリ?」
まあ、中国なら、
コウモリを食用にすることもありそうな気もした。
信号が変わって、
僕らは歩きはじめた。話も変わった。
山内は、
「今日のやつ、いけそ?」
サブスクのコンサルのことだ。僕は、
「まあ、やれないことないと思うけど、
成果って意味じゃ、なんか自信ないからな」
「いいじゃん成果なんて、金もらえるし、
客にさ、もっと深入りできるし」
彼は営業だから、受託ありきで考えてるんだろうけれど、
僕にはやらないという選択肢もあった。
山内について、
銀座の街角を歩いていく。
彼の行きつけという店に着いたようだ。
下がラーメン屋になっている、
こぎれいな雑居ビルだ。
4人も乗れば窮屈なエレベータで、
僕らは店に向かった。
エレベーターが開くと、
暗く、これまた狭い廊下を5メートルほど行くと扉がある。
開くと、ふいに店内の光景が開けてきた。
プロジェクト658日目。
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2020/4/27 658日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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