話は少し前に戻ります。
そもそも、ヘモグロビンパスタが
きっかけだったわけです。
コイちゃんとサトちゃんと、
もう工場をやめて数年経ってから
久しぶりに飲んでいたときのことですね。
コイちゃんが口ひげをたくわえていて、
それを見て、
彼がまだ
ヘモグロビンパスタを続けていた、
そう話したことにより、
昨日までの話に繋がっていたのです。
コイちゃんはたしかに濃い黒々とした
ヒゲを生やしていました。
少し幼い感じの
ひょうきんな顔つきなので、
まあ、お世辞にも似合ってるとは
言い難いんですが、、、
「それで、今でも塗ってたってわけ?」
僕は彼の口元を眺めて言います。
コイちゃんは
へらへら笑いながら、
「そうだよ~、最近までね、
すっごい生えてきて、」
前にも触れましたが、
それは単に
彼の成長の過程であったかもしれないし、
結局のところ、
薬の効果なんてわからないのです。
僕は首を傾げました。
自分もそれなりに生えてきていましたが、
コイちゃんのは、
まるでマジックで描いたような濃さです。
数年前は、
彼は毛穴も見つけられないくらい、
つるっとしていたのにです。
「でもさ、ヒゲなんていいかなあ」
そう水を差したのは、サトちゃんでした。
ちなみにサトちゃんは、
ヒゲを一本一本
毛抜きで抜くようなタイプです。
「え~、男らしいじゃん」
と、すぐにコイちゃん。
僕も大きく頷きながら、
「なんていうか、男にしかないじゃん、」
と言いながらも、
僕はふと、
昔読んだフランスの小説
(たしかゾラの『居酒屋』)で、
あの女はヒゲも剃らない、
という男のセリフを思い出していました。
女性がヒゲを生やしているところは、
中々想像できませんが、
まあ欧米人なら、
濃い産毛が密生してたりするんだろうか、
そんなふうに考えたものです。
まあ、そんな遠くの世界はさておき、
「俺はさ、ヒゲが生えてきた時に、
俺は男だ、
ってつくづく思ったんだよなあ」
少し酔った僕は、
軽い口調で口にします。
「そんなもんかなあ」
サトちゃんは、心の底から
そう思ってないみたいです。
僕は少し反論する気になって、
「俺さ、姉貴と妹の中で育ったからかな、
なんかヒゲが生えたときに、
これで彼女たちとは違う、
男っていいなって思ったから」
サトちゃんは、
やっぱりあんまり賛成できなそうな顔していました。
コイちゃんは、
同感って表情をしながら、
「彼女もさ、ヒゲある方がかっこいいって」
「彼女?」
とサトちゃん。
僕も続けて、
「彼女できたんだ…」
ともに弁当製造工場でバイトしていた頃、
女の子を連れて海に行ったのも一度きり、
ほかにはついぞ
女性の話なんて
聞いたことありませんでした。
コイちゃんはにんまりすると、
「もう1年くらい付き合ってんだ、
その子が、最初はヒゲなかったけど、
ちょっと生やしてみたら、いいって、
だんぜんかっこいいって」
「どんな子?」
僕は前のめりになって、
彼に聞いていました。
プロジェクト378日目。
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<span style="color:#ff0000;"><strong>2019/7/21 378日目</strong></span>
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
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158ページ中50ページくらい了
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