平治は、配りきれない広報誌に、
ほとほと困ってしまいました。
老人に追っ払われたその日、
あまってしまったパンフの束を持って、
市の担当者に、
それを打ち明けました。
担当者は中年の女性でしたが、
最初眉間に皺を寄せて、
「駄目じゃない、
全部ちゃんと配ってこなくちゃ」
「いやあ、でもあの人、
受け取ってくれないんです…」
「ちゃんと説明して渡せばいいでしょ、」
そもそも、
働き盛りの30代前半だった男性が
するような仕事ではありませんでした。
なにか分けありでもないと、
平治のような人間が
チラシを配布してくるだけなんて業務を
やならいでしょう。
そのためなのか、
担当の女性は、
どこか差別的な感じで彼に接しています。
「あなた、ちゃんと配らないと、
お給料も貰えないでしょ、
しっかりやんなさいよ」
「でも、、あのおじいさん…」
「じゃあおじいちゃんじゃない人に
渡したらいいんじゃない、
ちょっと気難しいんでしょ、その方?
お母さんとかいるでしょ、」
「はあ…、」
それから、平治は、
担当が言うとおりにするようになりました。
誰もいないと、
あの老人が出てくるのです。
何度か声をかけて出てこないと、
そそくさと引き下がって、
また来るようにしました。
たしかに、
あの偏屈な老人以外の家内の人は、
無愛想ではありましたが、
広報誌を受け取ってはくれました。
そのうち、
あの集落一帯が、
昔から隔離されたような部落であることを
彼は知りました。
あまり近隣との接触をしないようです。
しかし、
だからといって、
平治が何かを意識したかということは
ないんですが、
彼はただ、
あの意地悪な老人に会いたくない、
そう思いながら、
週4日程度の
配達の仕事を続けていました。
プロジェクト448日目。
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2019/9/30 448日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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