ちゃぶ台みたいな勉強机、
雑然と置かれた参考書、
それは山積みにされていて、
焦りを印象づけるみたいに、
けして綺麗には
並んでいませんでした。
アパートと公園の間の道路は、
あまり車通りがあるわけじゃないですが、
それでも、
時折自動車が走りすぎると、
みしみしと、部屋全体が
身震いするみたいに軋んでいました。
「俺って、やっぱ駄目だなあって」
森作さんは、
唇をゆがめたまま、
僕の向かいに座りました。
「駄目って、まだ、
これからじゃないんですか?
受験って来年ですし」
「ふっ」
彼は息を吐いて、
「受験がどうっていうかさあ、
俺…、なんか弱いし、
なにやっても駄目だしさ」
「そんなあ」
僕はあぐらをかいた膝に乗せた
拳を強く握り締めました。
森作さんは、
いろんなこと、
諦めていたんだと、
僕はすぐに思いました。
それは、単に受験で、
大学に受かるとか、
そういう部分的なことよりも、
もっと救いようのない、
絶望感に思われました。
「どうすんですか?」
僕は、受験までの間、
どうするのかと聞きました。
森作さんは、
少し考えるように天井を見上げてから、
「ここにはいるよ、
ここには、」
そこで深いため息を吐いて、
「ここには、いなきゃなんないから、
予備校の授業料とかあるからね、」
「配達も、」
僕が言うと、
「そりゃあ、やんないとね、
続けなきゃなんない、
お金払わないと、やめらんないからね」
健太郎さんは、
親に借金して
前金を払ってやめていきました。
森作さんには、
そんな当てはないようでした。
外廊下をぞろぞろと歩く足音がしました。
他の従業員が部屋に戻るところでしょう、
森作さんは、
なぜか肩をすくめて、
「ここは牢屋みたいだよ」
「…」
「諦めて歩けないって言ったって、
抜け出せないんだから」
僕は目に力を入れ、
彼をじっと見つめました。
「僕だったら、きっと諦めません、
せっかくここまでやってきたら」
そう言いかけました。
森作さんは
少しだけ強い口調になって、
僕の話をさえぎると、
「君にはわかんないよ、
やってみなきゃ、
結構大変なんだ…、
わかんないよ」
どうしてでしょうか、
健太郎さんが挫折して
東京を去っていった時とは、
妙に違う気分で僕は彼に接していました。
健太郎さんは、
弱さを全部吐露した感じじゃなくて、
虚勢であったとしても、
何かさっぱりした顔つきでした。
森作さんは、
そうじゃありません。
自己否定をしながらも、
まだ、穴のふちに辛うじて手をかけて、
喘いでいるようで、
僕はそこに自分を投影している気分でした。
プロジェクト518日目。
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2019/12/9 518日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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