「やっぱ赤井さんは受かったのかあ、
真面目だったもんな」
僕と健太郎さんは、
湖岸をずっと歩き続けていました。
少し風が出てきていて、
湖面がゆらゆらと揺れて見えました。
「なんか精神的に強そうでしたよね」
僕は言いながら、
赤井さんが、まるで周囲を意に介さず、
みなが食堂で駄弁っていても、
さっさと帰っていく姿を思い浮かべていました。
受かった時だってそうです。
宮嶋さんたちに、
別に嬉しいことって感じじゃなく、
ただ淡々と伝えていました。
人間味がないといえばそれまでですが、
やっぱり、ああいう、
どこか一般の人を
超越したようなタイプの人間が、
きっとこの世界で成功していくんでしょう。
僕は当時、赤井さんに
あまり接することはありませんでしたが、
何か努力しなきゃならないって時に限って、
彼の、あの何を思っているのかしれない、
メガネの奥の
深い眼差しを思い出したりします。
健太郎さんは、
伸びをしながら、
「にしても、森作すげえなあ、
あんな牢獄みたいなとこで、
もう1年やろうって思えるかねえ」
「…」
僕は目をそらし、
まるで海岸のように
細やかな砂の浜が続く
湖岸沿いの道を見ました。
「やっぱ人間根性だな、
俺には無理だなあ、
そんなに頑張れない、
自分はダメだあってなっちゃうからな」
「根性って、なんですかね~」
僕は少しおどけた調子で言ったんですが、
健太郎さんの
次の言葉までには間がありました。
中々話し出さないので、
僕がちらっと彼を見ると、
「根性って…、そりゃあまあ、
続けるってことじゃねえかな
結果が出ないと、やめちゃうじゃん、
あと何の成果も見えないとかさ、
そうなったら、人って努力すんの萎えるじゃん
少なくとも俺はそうだかんな、
だからさ森作すげえよ、1年目失敗したら、
もうダメってなるよな普通」
「いや」
僕は強い口調になって、
健太郎さんの話をさえぎりました。
そして、
「森作さん、結局どうなったのか…、」
「え?2年目も失敗したの?」
「いや…、」
僕は首を横に振って、
「それは、俺にはもうわかんないんですけど、」
なんとも、話しづらいことです。
それでも僕は、
ゆっくりと口を開いて、
「途中までなんです、俺知ってんのは、」
いよいよ、
あの販売所での話は、
最後になります。
プロジェクト528日目。
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2019/12/19 528日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html









