70歳の先輩の目に涙 ~お母さまとの別れが近い~
いつも落ち着いていて、皆に信頼されている先輩がいます。
70歳ぐらいだと思います。
来週からの仕事の予定を確認していた時、
明日は田舎に帰ろうと思いますので、休みます、とのこと、
お母さまが、退院して戻ってこられたのだそうです。
そして、珍しく、ご自身の話しを続けられました。
退院したと言っても、治ったわけではなく・・・、
もう96になりましたからね。
手の施しようがなくなったんですよ。
意識はあるようなので・・・。
なんとも返事のしようがなく、
どうぞ、おそばについていてあげてください、とご返事しました。
何となく、目に涙が浮かんでいるように見えました。
普段、ご家庭のことはほとんど話されたことがないのですが、
いくつになっても、お母さまは特別です。
ずっとお元気でいらしたのでしょうが、こればかりは、仕方がありません。
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一般に宗教は、あの世の存在を信じるものです。
キリスト教でも仏教でも、それは変わりません。
維摩会 春秋館で勉強している唯識仏教では、
輪廻の主体として、阿頼耶識(アーラヤシキ)という根源的・潜在的な意識を説きます。
『佛教語辞典』では「命根(みょうこん)」という項目に、「生命、命」と説明があります。
命があるというのは「体温と識とが持続」している間、のことです。
そして、
「五十年ないし百年一期の間、
アーラヤ識を世に住在せしめる作用あるものを名付けて、
生命と解する」とありました。
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先輩は、お母さまのそばについていて、
そして、お母さまも息子さんである先輩を見守っていることと思います。
体温があり、意識がある間だけではなく、
お母さまは、ずっと、そばにいたり、見守っていたりするように思えてくるのでした。