ご訪問くださいまして、

有り難うございます。

 

れっつごうです(^^)

 

残暑がなかなか終わらないですね(^^;

 

私は、小説ですと、

遠藤周作さんの作品が好きで、

現代作家だと、白石一文さんの小説を

比較的好んで読むのですが、

 

最近は、

平野啓一郎さんの小説も、

よく読んでいます(^^)

 

何より、内容的に深みを感じますし、

今の社会問題を提起するような作風にも、

刺激を受けます。

 

「分人主義」という、

人が生きやすくなる考え方にも、

共感します(^^)

 

分人主義は、

過去ブログで紹介しました。

 

 

(よかったらご参照ください)

 

で、今回、

紹介させていただだくのは、

映画化も予定されている小説、

 

本心


 

内容は・・・

 

この小説、

ミステリー的な要素もありますので、

ネタバレに注意しながら、

紹介・解説していきますが(^^;

 

設定は、近未来、

といっても2040年代、

すぐそこの未来。

 

主人公の青年が、

急逝した母親を、

AI技術で復活させる話なのです!

 

VF(ヴァーチャル・フィギア)

というのですが、

この技術自体は、

もう既にあるらしく、

 

何年か前に、

(NHK紅白だったかな?)

美空ひばりさんが、

VFで復活した映像を見たことがありますが、

 

この近未来の世界では、

お金を出せば、

誰にでも実現可能なのです。

 

そこで、主人公は、

大金を払って、

母親をVFで復活させるのですが・・・

 

実は、この時代、

自分の死というものを

選択できるのです。

 

「自然死」と「自由死」。

 

「自由死」

つまり、

自分の死に時を選択すること。

 

母親の死は、

(実際は違ったのですが)

母親は、

「もう十分」

といって、

自由死を強く望んでいた。

 

主人公の青年は、

それが、

母親の「本心」だったとは、

どうしても納得できません。

 

青年は、

自由死の認可をする医師に、

こういいます。

 

 

「どうしてそれが、

母親の本心だって、

先生にわかるんですか?

 

母は本当は、

もっと生きたかったんです。

 

だけど、

今の世の中じゃ、

そんなこと、

言い出せないじゃないですか。

 

母の世代は、

ずっと将来のお荷物扱い

されてきて、

実際そうなったって、

社会から嫌悪されてる。

 

『自由死』

を美徳とする本だって

溢れかえっている。

 

『もう十分』と、

自分から進んで言わざるを得ない

状況は、

先生だって

よく知っているでしょう」

 

 

母親は、

物語の設定の2040年代で70歳、

ということは・・・

 

何と、

私と同じ世代ではないか!

 

この物語の近未来、

日本は劣化していて、

より貧富の差が激しくなっている

ディストピアの設定

(このままいけばそれが現実?)

なので、

 

いわゆる、

老人は、生産性の低い、

邪魔な存在。

 

まるで、

姥捨て山の世界ですが(^^;

 

しかし、

事はそう単純ではなくて、

 

心から望んで、

「自由死」を選ぶ人も、

多いというのです!

 

医師はいいます。

 

 

「私だって、

然るべき時が来たら

『自然死』の前に、

『自由死』を選ぶますよ。

 

そういう共感があるから、

携われる仕事でもあるな。

 

その時にはね、当然、

子供に財産を遺すことを

考えますよ。

 

よく考えてごらん、

一度、まっさらな気持ちで。

 

そのお金でね、

うちの娘が、

少しでも楽に

暮らしていけることを

想像したら、

 

それは親としては

幸福なんだよ。

 

自分の介護費に使われるより、

よほどね。

 

 

う~ん、

ディストピアの設定とはいえ、

それは・・・

 

 

(中略)

 

私はね、

あなたがその考えを、

深く感謝しながら

受け止めて、

 

その代わりに、

お母さんの最期を、

しっかりと手を握って、

ベットの側で

看取ってあげた方が、

 

どれほど、

お母さんにとっても

幸せだったかと思うよ。

 

―いや、待って。

『死の一瞬前』

っていうのは、

人生で一度だけの、

絶対に取りかえしのつかない

時間だ。

 

その時に感じ、

思うことが、

この世界で人間として出来る

最後のことだな。

 

それをどうしたいかを

決める権利は、

絶対に個人にあります。

 

 

たしかに、

そうかも・・・

 

「自由死」

すなわち、

死ぬ瞬間を自分で選べる

メリットとして

考えられるのは、

 

たとえば、

死ぬ日時の予定が

前もって立てられるので、

 

愛する人の手をしっかり握ったり、

家族に囲まれて死ぬことが

可能になることです。

 

「自然死」だと、

いつ死ぬか分からないし、

臨終の場に、

家族が間に合わないケースもある。

(ちなみに、私事になりますが

私は、父親の死目には、

遠方にいたため間に合いませんでした)

 

そう考えると、

「自由死」も、

それはそれで、ありなのかもと、

思えてくる・・・

 

・・・いや、

 

それは、

やっぱり、おかしい。

 

経済的な不安がなければ、

「もう十分」などという気持ちには

ならないはず。

 

つまり、

世の中が豊かで安定していれば、

決して、死の選択などしないはずでは。

 

というふうにも思えるし・・・

 

う~ん・・・

 

大いに、

考えさせられます。

 

 

この小説は、

考えさせられる内容が多いのですが、

こんなことも述べられています。

 

ヴァーチャルの世界に

逃げ込んでいるのは、

実際、リア充できない

弱者や貧しい人なわけであって、

 

ヴァーチャルの世界を肯定したら、

それこそ、

リアル世界の格差や差別を

認めることになる。

 

だから、

バーチャルの世界を充実させるよりも、

現実の格差社会を是正することが先決だ。

 

・・・いや、違う。

 

弱者や貧しい人にとって、

ヴァーチャルの世界は

実際、救いになっているわけであって、

 

それさえなくなってしまえば、

彼らの居場所がなくなってしまい、

絶望するしか、なくなってしまう。

 

だから、

ヴァーチャルの世界は必要である・・・

 

・・・う~ん、

どちらも真なり、ですね。

 

 

主人公は、

母親の「本心」が知りたくて、

VFで復活させ、

対話を重ねていくのですが、

 

やがて、

母親と同僚だった女性や、

 

ある出来事が契機となり、

若くして富裕層となった、

有名なアバターデザイナー

との出会いがあったり・・・

 

・・・とこれ以上は、

ネタバレになりますので、

やめておきますが(^^;

 

生と死、

格差や差別、

リアルとバーチャル、

といった、

今の時代の重要なテーマが

扱われていたり、

 

人の「本心」とは何か?

「他者性」とは何か?

「優しさ」とは何か?

といった、

本質的な問いもある。

 

とても、考えさせられ、

心を揺さぶられる小説でした。

 

ちなみに、ラストは、

ほのかな希望を感じさせる終わり方・・・

 

ご一読をおすすめします😊

 

 

もうすぐ映画化もされるとのこと。

 

VF(ヴァーチャル・フィギア)や、

メタバース(仮想現実)の世界が、

どのように映像化されるのか。

 

楽しみです!

 

 

 

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今回も最後までお読みくださいまして、

有り難うございました。

 

次回は別の本を紹介する予定です(^^;

 

 

 

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おまけ(^^;

 

 

本棚の上も、

お気に入りスポットです😸