Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -9ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

先月、2月15日(土)に浜松「G-SIDE」でライブを行った仲野茂バンド。ライブ告知のため、自らのSNSに“ライブに向けてメンバーよりメッセージ”を上げていた。ご覧になった方も多いと思うが、仲野茂がメンバーに“浜松と言えば?”と問いかけ、岡本雅彦、梶浦雅弘、下山淳が“うなぎ”と答え、最後に竹内理恵が“G-SIDE”と訂正(!?)するというもの。

 

 

 

 

 

確かに浜松と言えばうなぎかもしれないが、実は浜松と言えば楽器の街でもある。ヤマハやカワイ、ローランドといった世界に名だたる楽器メーカーの本社が立地し、浜松市は1981年から「音楽のまち」作りに取り組んでいる。音楽ホールやライブハウス、クラブなども数多い。実際にプロが演奏するだけでなく、楽器メーカーの技術者や研究員なども含め、アマチュアの方々もその成果を日々、発表しているという。それだけ、音楽が身近な存在で、音楽を愛している人達がたくさんいるところだ。

 

そんな浜松を仲野茂バンドが訪れたのは前述通り、2月15日(土)。同2月2日(日)の節分に頭脳警察のホームグラウンド「渋谷ラママ」(SHIBUYA-La.mama)で行った初のワンマンライブから13日後。ワンマンライブ後、初の旅公演の場所に浜松が選ばれたのだ。こじつけめくが、浜松が“楽器と音楽の街”だからだろう。メンバーはスタッフの運転するワゴンで、浜松へ向かっている。今回は日帰りになるという。開演時間の午後6時の2時間ほど前には会場入りしたそうだ。彼らが旅の途中、うなぎを食べたかわからないが、とりあえず、事故も渋滞もなく、辿りついた。

 

 

この日の会場の「G SIDE」は浜松駅から徒歩10分ほど、猥雑な空気を醸すビル街にある。店の作りはクラブ風で隠れ家的な雰囲気も持つ。ちょっとリドリー・スコットの『ブレードランナー』に出てきそうなところ。同所は柳家睦 & THE RATBONES なども出演。ハードコアやサイコビリーのライブやDJイベントなども開催されているという。浜松でも尖ったところだ。

 

この日、仲野茂バンドの登場曲はやはり頭脳警察の「万物流転」だった。同曲が厳かに会場に流れる中、メンバーがステージに上る。そんな空気の中、彼らは仲野茂バンドの「遠くで火事を見ていた」、「夢くい虫」、「グッド・バイ(ソニー)」を畳みかける。

 

 

     

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ここで改めてオリジナル「仲野茂BAND」から新生「仲野茂バンド」への経緯を紹介しておく。話は過去へ遡り、かつ、ところどころ端折るが、許して欲しい。キャリアの長いメンバー揃いなので、最初から最後まで書いていたらきりがない。「アナーキー」は1986年に逸見泰成 (G)が傷害事件を起こしたため、バンドは活動休止。仲野茂 (Vo)、藤沼伸一(G)、寺岡信芳 (B)、小林高夫(Dr)はバンド名を「THE ROCK BAND」と改名し活動を再開した。『アナーキー』(1986年)と『四月の海賊たち』(1987年)というルーツを深掘りした骨太の名盤をリリースしながらもその活動はわずか、数年、1990年には活動休止になっている。

 

THE ROCK BAND解散後、仲野が結成したのが仲野茂バンドだ。仲野は1991年にシーナ&ザ・ロケッツや柴山“菊”俊之のRUBYなどにギター、キーボードで参加していた野島健太郎と音楽活動を再開。1992年にはベースに元サンハウスの奈良敏博、ドラムスに小野口直人を加えて、仲野茂BANDとして音楽活動を本格化させている。1993年11月にホーンセクションを加えたアルバム『遠くで火事を見ていた』をバンドのプライベートレーベル「ドレッドノートレーベル」からリリース。1995年2月に8cmシングル「大東亜のいびき」を「日本晴レコード」からリリースしている。1995年5月にアルバム『窮鼠』を同じく「日本晴レコード」よりリリース。阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件など、不安定な社会情勢を反映、その音や歌は時代への危機感を反映させた、メッセージ色が強い作品となった。同作をリリース後に活動休止となる。

 

CD+DVD『パンクロックの奴隷』(2018年9月5日)、同じくCD+DVD『パンク修理』(2020年5月27日)をリリースして“不完全復活”した亜名亜危異は2023年11月22日の正午に「2024年3月24日の新宿LOFT活動禁止GIG」をもって無期限の活動禁止を宣言した。

 

亜名亜危異の活動禁止前後、仲野茂は下山淳(G)、岡本雅彦(B)、梶浦雅弘(Dr)、そして竹内理恵(Sax、Fl)というメンバーで新生仲野茂バンドを始動。その契機は2018年に福岡の“ベーシックフェス”で“天神アナーキー”で仲野と岡本、梶浦が共演したこと。仲野はいま自分が歌うべき歌として立ち上がってきたのが、仲野茂バンド(BAND)の歌だったという。楽曲そのものは30年近く前のものだが、不思議といまという時代に共振し、“3.11”や“コロナ禍”を経験した現在に響いてくる。

 

そして仲野茂BANDが結成された90年代と同じく、仲野の側には名うてのめんたいロッカー達がいる。元ルースターズの下山淳、元アンジーの岡本雅彦、元ザ・モッズの梶浦雅弘、そして頭脳警察の竹内理恵が仲野茂バンドのメンバーとして顔を揃える。仲野茂が考える理想のメンバーが揃う、スーパーグループだ。

 

過去の歌をいまに蘇らせる。その音をいまに鳴らし、そのメッセージに命を与える。それが新生仲野茂バンドのすべきことだろう。

 

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「遠くで火事を見ていた」、「夢くい虫」を歌い終えると、仲野は会場いっぱいに詰め掛けた観客を前に“俺達、人気じゃないか。浜松に住んでうなぎを食べよう”と嬉しそうに語りかける。

 

3曲目の「(グッド・バイ)ソニー」では竹内のサックスが吠える。オリジナル仲野茂BANDもホーンセクションの導入が肝だったが、その役目を彼女ひとりが担う。過不足なくどころか、竹内だけで充分。それだけ存在感がある。むしろ、ジャズ屋的なホーンセクションではないので、変な手癖がなく、過激でいて重厚な響きは気品と可憐をもたらす。ロキシーミュージックのサックス、オーボエ奏者のアンディ・マッケイに近いものを感じるのだ。

 

5曲目の「日本」を歌い終えると、仲野は仲野茂バンドの楽曲を新録音した音源と昨2024年9月の福岡「CB」でのライブ音源を収録したミニアルバム『粋』(2024年12月22日リリース)を出したことを告げる。“いいアルバムになりました。また、夏か、もっと前になるかもしれないけど、次はフルアルバム”と、“最新情報”を解禁した。

 

この日もPANTAが仲野茂のために歌詞を書いた新曲「泣くんじゃねえ」(曲名は仮題)が披露された。同曲の披露も12月22日(日) に渋谷「ラママ」行われた「LAST UNTI X'mas PANTA is Reborn」<出演:仲野茂BAND (仲野茂 下山淳 岡本雅彦 梶浦雅弘 竹内理恵) / 黒い鷲-ZUNOMONO (澤竜次 おおくぼけい 宮田岳 樋口素之助 竹内理恵) / ゲスト アキマツネオ>、そして本2025年2月2日(日)に同じく渋谷「ラママ」で行われた東京での初ワンマン、さらに今回……と、3回目になる。

 

 

仲野は観客に向け、“2月2日のライブは配信もあったので、緊張もあって、変に歌い込み過ぎた。口が強張っていた”と本音を語る。大事な曲ゆえ、そうなるのもいたしかたないが、今回はいい意味でこわばりがなく、変な力も入っていない。勿論、脱力などではない、良い頃合いなのだ。歌の勘どころを掴んだか。

 

同曲に続き、PANTAのソロとしてのファーストアルバム『PANTAX'S WORLD』(1976年)に収録された「屋根の上の猫」を披露する。

 

アナーキーに「屋根の下の犬」というナンバーがある。いかに「屋根の上の猫」に愛着があるかわかるというもの。MCで頭脳警察と言っていたが、それは言い間違いで、PANTAのソロに収録されたナンバーだ。

 

 

『PANTAX'S WORLD』(1976年)や『走れ熱いなら』(1977年)など、PANTAの初期のソロアルバムに収録されたハードでスピード感があるナンバーである。単なる頭脳警察の継承やめんたいロックの王政復古などではない。先達を敷衍しながらも仲野茂バンドの音や歌を追い求める。それが仲野茂バンドらしさだろう。

 

 

それゆえ、その歌や演奏から決めや型をなぞるのではなく、そこにためや遊びをぶち込んでいく。はたせるかな、どの曲もその演奏と歌唱は回を重ねる毎に、歌詞が迫り、同時に演奏がそれを引き立てる。成長といっていいかもしれない。その成長の速度に驚く。まるで本多猪四郎が監督し、円谷英二が特技監督を務めた『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)の“坊や”こと、“フランケンシュタイン”のようだ(変な表現で申し訳ない!)。

 

 

そんな成長は同曲に限らず、各曲が各段にスケールアップしていることを感じさせる。それらはバンドとしての自信の表れか、実に堂々と演奏されているのだ。

 

成長は、その日の観客の乗りや流れで演奏曲を自在に変えるところにも感じさせられた。ライブ巧者の仲野茂バンドゆえ、当たり前かもしれないが、当初、演奏を予定していた「ヘブンズドアー」から新生仲野茂バンド誕生時からフックとなったアンジーの名曲「天井裏から愛を込めて」を急遽、入れ替え、演奏されている。

 

仲野は同曲の披露前に“配信は緊張したけど、今日はリラックスしてできた。サービス曲も用意しています”と告げ、スローな「へブンズドアー」ではなく、アッパーであると同時に仲野茂バンドを愛する“KIDS”達の“愛唱歌”にもなっている同曲を披露。その効果はてきめんで、会場が騒然となる。仲野茂バンドのオリジナル(!?)として、歌い続けるべきではないだろうか。

 

 

新生仲野茂バンドが始動して約2年。その間、彼らが試みた実験や冒険が彼らの糧になる――そんなことを“楽器と音楽とうなぎ(!?)の街”である浜松で彼らを体験して、再確認する。

 

 

 

 

この浜松のライブ後、3月16日(日)には名古屋「RAD SEVEN」でアニマルズ、THE DISASTER POINTSと共演する。今回は限定100人の観客のため各バンド予約制入場になっているという。詳細は以下を参照。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに仲野茂バンドは3月16日名古屋RAD SEVENライブに向けてメッセージを公開している。

 

 

 

 

 

仲野が“名古屋と言えば”と、問いかけ、岡本が“味噌煮込みうどん”、梶浦が“ひつまぶし”、下山が“あんかけスパ”と答え、竹内が“RAD SEVEN”と訂正(!?)している。ベタだが、聞くと意外と癖になる。彼らが名古屋名物にありつけるか、わからないが、お馴染みのアニマルズやTHE DISASTER POINTSと共演は楽しみだ。

 

 

 

 

 

そして4月5日(土)には大阪・堺「ファンダンゴ」で仲野茂バンドとザ50回転ズのツーマンが決まっている。

 

 

 

 

 

 

さらに6月1日(日)は今年2回目の渋谷「ラママ」でのワンマンが決まっている。精力的に動き回る仲野茂バンド、今年は飛躍の年になることは必至。もっと多くの方に聴いてもらいたい。決して“昔の名前で出ています”などではない、愛すべき“オールドルーキー”のいまに輝く艶姿を見届け、その真骨頂を体験して欲しい。

 

なお、仲野茂バンド の6月1日(日)の渋谷「ラママ」でのワンマンライブは3月10日(月)よりローソンチケットにて前売り開始される。詳細は随時発表するとのことだ。

 

 

 

 

 

(写真左上から時計回りに)『遠くで火事を見ていた』、

『大東亜のいびき』、『窮鼠』、『粋』

 

■仲野茂BAND■

仲野茂(Vo)、野島健太郎(G)、奈良敏博(B)、小野口ナオト(Dr)

 

『遠くで火事をみていた』(1993年)

(1)夢喰い虫

(2)日本

(3)右向け右

(4)とびきりグラッチェ

(5)監獄

(6)イイコデイテネ

(7)今日はもう始まってる

(8)ロバ

(9)Mの時代

(10)ミッドナイト・ランブラー

(11)月よおまえが悪いから

 

仲野茂BAND

 

『大東亜のいびき』(1995年)8㎝CD

(1)巣鴨プリズン

(2)遠くで火事をみている

(3)自制の王国

(4)ワイルドギース

(5)ライオン

(6)スピード

 

仲野茂BAND

 

『窮鼠』(1995年)

(1)スピード

(2)沈没船

(3)平和・戦争・キライ・スキ

(4)氾濫

(5)プライド(あの女に歌が)

(6)満足

(7)グッド・バイ(ソニー)

(8)ニュアンサー

(9)ガキ~餓鬼

(10)NO・サイド

 

■仲野茂バンド■

仲野茂(Vo)、下山淳(G)、岡本雅彦(B)、梶浦雅弘(Dr)、竹内理恵(Sax、Fl)

 

『粋』(2024年12月22日)

(1)遠くで火事を見ている

(2)右向け右

(3)プライド

(4)日本

(5)とびきりグラッチェ

(6)月よお前が悪いから

(7)グッド・バイ(ソニー)

1~4 2024年9月19日(木)小岩オルフェウススタジオにて収録

5~7 2024年9月22日(日)福岡CBにて収録

 

 

 

 

(写真左から)保科好宏、高橋健太郎、今井裕、寺尾紗穂、松山猛、久保田麻琴

 

この日を待ち望んでいた。6月20日(木)に東京・渋谷「LOFT NINE SHIBUYA」で「サエキけんぞうのコアトークvol.104『サディスティック・ミカ・バンドの全て』」に出演、7月12日(金)に渋谷「渋谷 duo MUSIC EXCANGE」で千年COMETSの復活ライブにゲスト出演、10月4日(金)には大阪・福島「THIRD STONE 福島店」で二人パール兄弟(サエキけんぞう+窪田晴男)のライブに飛び入り出演するなど、映画『トノバン 音楽家加藤和彦 と その時代』の公開を機に動きが活発化する元サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックスの今井裕。先週、12月26日(木)は東京・祐天寺「FJ's」で、今井裕の55周年記念ソロ・ピアノライブ“Too Obvous?!”を見ることが出来た。

 

同ライブに関して、今井はSNSで“ソロということでは初めての試みかも!? 自身がその時代に夢中になったサウンドは目まぐるしく変化していきました。一貫性のない様に見えるその片鱗は、整理するとデザインの規則の様に説明できるものでした。次世代、何かを生み出す人にLIVEと対談を通して、自身のアーカイブをガイドしながら、1960年代後期から2024年の今、音楽にどのように自身の演奏を形づくり、模索していくかの軌跡となります”と語っている。

 

 

今井の海外レコーディングに同行した音楽評論家の保科好宏(夕焼け楽団の恩蔵隆のソロやZABADAK、千年COMETSなどのロンドン、ダブリン録音)や高橋健太郎(トゥマニと今井の縁を結び、アフリカアイボリーコースト録音)をガイド役に今井の語りとピアノで振り返る今井裕の音楽家生活55年。ミカ・バンドのことからアフリカでの録音まで、驚愕の事実が語られる。

 

映画『トノバン 音楽家加藤和彦 と その時代』ではあまり語られなかった加藤ミカ(福井ミカ)のことも話された。英国でのライブやテレビ出演など、ミカ・バンドを盛り上げ、注目を集めるため、いかに彼女が工夫し努力したか、その“内助の功”も初めて明かされる。

 

また、リリースまで2年以上、かかったという、西アフリカ・マリ共和国のコラ奏者、トゥマニ・ジャバテと評論家・高橋健太郎との縁で、コートジボワールで録音、ニューヨークでミックスされた『Shake the Whole World』(トゥマニ・ジャパティ&シンメトリックオーケストラ)の制作過程やその模様も語られた。

 

軽妙なトークの傍ら、今井はミカ・バンドの『HOT MENU』のナンバー、ジャズ、ブギウギなどを披露、アフリカでは種族ごとにスケールが違うことを実際に演奏したり、制作中という20世紀のスイスの画家、パウル・クレーにインスパイアされた新曲の「BYPASS 」の片鱗を聞かせてくれる。彼独特の音を織りなす感覚はモデル演奏されることで明確になる。

 

なかでもビッグ・サプライズは寺尾紗穂の飛び入り出演だろう。ミカ・バンドの「シトロン・ガール(金牛座流星群に歌いつがれた恋歌)」(作詞:松山猛・作曲:加藤和彦)を今井版(今井のピアノと寺尾の歌)と寺尾版(寺尾のピアノと歌)で聞かせてくれた(寺尾は同曲だけでなく、新作『しゅー・しゃいん』に収録された「愛のありか」も披露)。今井は加藤の生前、同曲をカヴァーする許諾を得ていたという。今井と寺尾、二人にこれまで面識や交流はなかったが、今井の直観、啓示とでもいうべき思い付きで自ら寺尾に連絡を取り、始まった初共演だが、寺尾紗穂の父親は元シュガー・ベイブの寺尾次郎、今井はそのシュガー・ベイブの大貫妙子のソロ・アルバム『SUNSHOWER』(1977年)のレコーディングに参加。寺尾紗穂は大貫のトリビュート・アルバム『大貫妙子トリビュート・アルバム -Tribute to Taeko Onuki-』(2013年)に参加。また、寺尾次郎はシュガー・ベイブ以前、佐野元春とバンドを組んでいる。その佐野元春は今井裕の結成したイミテーションに「恋の片道キップ」を提供している。必然か、偶然か、わからないが、何か、縁のようなものを感じさせる。会場に来ていた同曲の歌詞を書いた松山猛が“作詞家冥利に尽きる”と静かに語り、二人に感謝の気持ちを伝えた。

 

 

会場には盟友・久保田麻琴を始め、彼と関わりのあった歴代のプロデューサーやディレクターが顔を見せた。業界に圧倒的にファンの多い彼ならではだろう。また、寺尾紗穂と面識、交流のある音楽評論家の北沢夏音が今井裕と寺尾紗穂との共演という、奇跡のような瞬間を見届けて貰えた。

 

 

今井裕の新しい試みはいま、始まったばかり。今井は回を重ねていきたいという。この日、アンコールでブギーを演奏したが、次は歌手を指名して、歌ってもらうと約束をした。これは楽しみでならない。

 

ご存知のようにこの日の会場になった祐天寺「FJ's」は故・深町純により創設されたサロン形式のライブハウスである。今井はかつて深町のプロデュースした作品に参加し、キーボードを演奏したという。たまたま、同所を訪れ、気にいったそうだが、深町が作ったところであることを聞いて、何か、縁のようなものを感じたらしい。

現在、大阪在住の今井だが、来年、2025年は頻繁にいろんなところで彼のパフォーマンスを見れそうだ。同時に私達はもっと、彼のことを知らしめなければならない。彼の音楽、そして、その活動の重要さをもっと知ってもらいたい。

 

 

以下は今井の関わった作品ではないが、トゥマニの超絶コラと幾重にも折り重なるシンメトリーサウンドを堪能いただきたい。

 

Toumani Diabaté's Symmetric Orchestra - Toumani

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=AkNTKQAIXEI...

 

 

■12/26Fj'sSoloPianoLive_SetUp■

 

音楽評論家保科好宏氏登場

 

サディスティック・ミカ・バンドに纏わる「トノバン」(映画)、アルバム『黒船』時のプロデューサー、クリストーマスの仕事振りについて、トークショーがスタート

 

ミカさんのお人柄、内助の功などについて

 

 

演目:#1一曲目「キリンのいる風景」高橋幸宏と一緒に書いた曲。このあたりによく出没していたようなので、まずはこの曲からスタート

 

#2「Mummy Doesn't Go To Parties Since Daddy Died  」Jazz Version(オリジナル_1975年作曲高中正義・今井裕)

#3「ブラジルの水彩画」1974年当時ミカ・バンドがステージで演奏していた曲

#4「TakeThe"A"Train 」Duke Ellington の有名曲のビートはスウィング、その前に流行ったブギウギのビートに乗せ時を遡り演奏された。

 

#5寺尾紗穂スペシャルゲストで登場「シトロン・ガール」(作詞:松山猛・作曲:加藤和彦)寺尾紗穂Vocal/今井裕Piano

#6 寺尾紗穂オリジナル曲「愛のありか」

 

#7「Fusion Boogie ~Night&Day 」 ブギウギのグルーヴに乗せてもう一曲

#8「BAMAKO  IN  LINE 」Maliの伝統的スケールを使って、メロディーの間隙に対極のテクスチャ_モダン・ジャズコードを差し込まれた趣向

#9 「SYMMETRIC LOVE 」

高橋健太郎氏がギターを抱えて登場サビに歪んだギターリフのユニゾン演奏。

コートディボワールでのトウマニ・ディアバティとのレコーディングについてトークショウ第二部開始

#10「絶望」(Despair)去年秋クリストーマス氏との再開の席で披露されたバラード。

 

#11アンコール曲「シトロン・ガール」寺尾紗穂さん弾き語りバージョン

#12アンコール曲「Rockin Pneumonia And The Boogie Woogie Flu(ロッキング・ニューモニア・アンド・ザ・ブギウギ・フルー」ニューオーリンズ出身のR&Bピアニスト、ヒューイ・"ピアノ"・スミスがザ・クラウンズとレコーディングしたナンバーで、ジョニー・リヴァーズのカヴァーでヒットしている。2011年大阪ビルボードにて偶然ALLEN  Toussaint さんと「inC Boogie Woogie 」を共演。その時感じたアランニューオーリンズスタイルのピアノを聴いて自分なりのグライドピアノ奏法をマスターした。見に訪れた久保田麻琴さんと出会いを祝して演奏された。

 

保科氏、今井裕についてまとめのスピーチ

 

 

いよいよ、クリスマスシーズンに突入。街は何もなかったように浮かれまくり。エンタメ業界も年末に迫り、たくさんのライブやイベントが同時多発的に行われ、見たいライブの目白押し。既に先々週、12月14日(土)もそんな状態だった。どのライブを見るか、悩んだ末、東京・渋谷「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」で行われたBOXのライブ「BOX LIVE 2024 Winter - Much BOX!」に足を運ばせてもらった。彼らを見るのはこの4月17 日(水)に同所で行われたライブに続き、今年は2回目になる。BOXのライブを年に2回も見れるなんて、奇跡に近い。何しろ、36年間の活動の中、アルバムは3枚のみ(1988年『BOX POPS』・1990年『JOURNEY TO YOUR HEART』・2012年『MIGHTY ROSE』)。ライブも決して多くない。何しろ、前々回のライブは2023年10月18日(木)に東京・渋谷「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」で行われたものだが、それはBOXの5年ぶりのライブだったという。ところが、それらのチケットはいずれも“即日完売”だった。

 

 

日本を代表するポップ・マエストロ・杉真理(Vo、G)と松尾清憲(Vo、Kb)に小室和之(B、Vo)、田上正和(G)という4人で結成されたBOX。彼らは前述通り、1988年にCBSソニーからシングル「風のBad Girl/Temptation Girl」、アルバム『BOX POPS』でデビューしている。デビュー当時は“「イカ天・ホコ天」のバンドブームでビートルズっぽいのはお呼びでない”という状態だったと、杉は言う。昭和から平成へ――怒涛のバンドブームが起こり、彼らは苦戦を強いられるものの、マイペースで活動を続ける。36年後にチケットが“即日完売”になったことを嬉しそうに語る。苦節36年というお涙頂戴の物語は彼らに相応しくないが、変節することなく、小さなことからコツコツと積み上げたことが、今日の“BOXブーム”を巻き起こす。いまは“お呼びじゃない”どころか、“お呼びがかかりまくり”。このところのビートルズ再評価(というか、ドキュメンタリーやライブなどの映画の上映や配信番組の配信、“新作”のリリースなど、何度目かのビートルズブーム)にともない、ビートルズ関連のイベントや番組、書籍などが急増する中、ビートルズの伝道師として杉や松尾はそれらの常連であり、シティポップ関連でもライブやイベント、番組など、頻繁に声が掛かるのだ。杉は“シティポップの伝道師”と呼ばれているが、自らは“シティポップの祈祷師” (笑)と謙虚である。そういえば盟友・安部恭弘(この日も観客として会場に来ていた。来年、2025年1月10日<金>に「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」で開催される彼のライブへ杉はゲスト出演する)と共作した「シティポップと呼ばれて」なんていう曲もあった。いずれにしろ、関係各所から引っ張りだこ状態だ。

 

 

この日のライブ、BOXをサポートするのは島村英二(Dr)と、小泉信彦(Kb)。島村は大滝詠一や山下達郎や吉田拓郎、中島みゆきなどのレコーディングやライブで活躍したレジェンドドラマー、小泉は杉のThe Dreamers や松尾のVelvet Tea Sets、チューリップのサポートでも活躍するキーボーディスト、アレンジャー&プロデューサー。いずれもお馴染み&最強の布陣である。

 

会場は即日完売の通り、超満員。席はすべて埋まる。当日券も若干出たらしいが、それは立ち見になる。いわゆる同世代のファンだけでなく、若い世代のファンも駆けつける。女性の比率が高く、クリスマスを意識してか、ドレスアップしている方も圧倒的に多い。開演時間の午後6時を過ぎると、BOXのクリスマスソング(「Happy BOX’mas」)が流れる中、メンバーが登場。2枚目のアルバム『JOURNEY TO YOUR HEART』のタイトルトラック「Journey To Your Heart」を披露する。1曲目から観客は総立ち。熱い視線と喜びの歓声と拍手を私達のアイドルへ送る。いきなり熱狂の渦と化す。

 

3枚目のアルバム『MIGHTY ROSE』の「ブルーべリー・ヒルへ帰ろう」など、アッパーな曲を畳みかける。まるでBOXの“マジカルミステリーツアー”に誘うかのようだ。

 

同アルバムに収録された「ガリレオ・ガリレオ」を演奏した後、早くも新曲「Twin Soul」(実際は未発表曲らしい)が披露される。いつもと同じようでいて、いつもと違う展開。今日のBOXは私達の想像(妄想!?)の遥か上を行く、何かをやってくれそうな気配が漂う。彼らからのクリスマスプレゼントか。とんでもない現場に出くわした。

 

『MIGHTY ROSE』から「窓辺のローラ」(女の子の名前シリーズの名曲)、そして1枚目のアルバム『BOX POPS』から「Crazy Afternoon」、さらに同アルバムからデビューシングル「風のBad Girl」を演奏する。同曲を演奏する前、杉はシングルとして「風のBad Girl」を作る際に“かまやつ(かまやつひろし)さんのある曲に影響を受けた”ことを告げる。同時にその曲の触りを演奏し、その元歌(原曲!?)まで明かす。そのことはかまやつにもちゃんと伝えているらしい。実は同ブロックで演奏された「窓辺のローラ」などでも感じたのだが、BOXのGS(ガソリンスタンドではない、グループサウンズ!)からの影響である。バロック的なシンフォニックロック風の曲展開やハードドライビングなギター、シャウトやコーラスなど、どこか、通底するものがある。考えてみれば最初のビートルズ受容者で、それをマスに発信したのはGSのバンドではないだろうか。かまやつひろしの名前が出たところで、その思いを強くした。

 

メンバー紹介後、『JOURNEY TO YOUR HEART』から女の子の名前シリーズ「夢見るメアリー」を披露する。メアリーはポールのプロデュースでアップルからデビューしたメリー・ホプキンのこと。彼女の最初の結婚相手は、デヴィッド・ボウイのプロデューサーのトニー・ヴィスンコンティで、彼は彼女と離婚して、かのメイ・パン(ジョン・レノンとオノ・ヨーコの個人秘書として活躍。この5月には彼女の視点で描くドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』が公開された)と結婚して、離婚したことなど、ビートルズ周辺の恋愛模様が語られる。杉によると“ビートルズの恋愛関係のことは和田(唱)くんが詳しい”そうだ。同曲を歌い終えると、第1部最後の曲と紹介して、新曲「フィンランドの林」が披露される。同曲は4月のライブでも演奏されたが、言うまでもなく、ベースは「ノルウェイの森」。改竄や剽窃ではなく、愛あるパスティーシュ。BOXの楽曲には愛と平和に溢れている。

 

1時間ほどの演奏後、第1部を終えると、約10分の休憩になる。観客の誰もがこの日のライブを楽しんでいるのがわかるほど、会場には笑顔の花が咲く。第2部は午後7時10分から始まる。

 

ステージには第1部と違い、松尾がキーボードに座り、演奏が始まる。アルバム『BOX TOPS』から「魅惑の君」が演奏される。同作は杉自ら映画的というように架空のサウンドトラックのような作品。同じくビートルズを敬愛する10㏄の“オリジナル・サウンドトラック”を彷彿させる。同曲にはオードリー・ヘプバーンの吹き替えで有名(“銀河鉄道999”のメーテル役でもお馴染み)な池田昌子が「ローマの休日」や「ティファニーで朝食」をイメージした台詞を言っている。当然、録音した声の出演だけだが、最後の杉との駆け合いも聞きどころ。目の前に銀幕が登場し、まるで1本の映画が上映されているかのようだ。

 

『JOURNEY TO YOUR HEART』に収録された「二丁拳銃の悲劇」は、同曲を杉、松尾と共作をした小室がヴォーカルを取る。演奏だけでなく、歌唱も変幻自在、こんなところもBOXの強みだろう。

 

続いて同作に収録されたスリルとサスペンスが溢れる、まるでスパイ映画の主題歌(のような!?)「寒い国から来たスパイ」、さらに同作に収録された「Girl」を披露する。ビートルズのライバル、ビーチボーイズを彷彿させつつ、クラシカルロマンスなシンセの音の壁はGS的ともいえる。

 

そして、またまた新曲が初披露される。タイトルは「僕らのマジカル・バス」、テーマは“合言葉はビートルズ”だという。36年目の原点回帰か。杉はカラフルなバスをイメージして欲しいそうだ。松尾は“バス・マジックリン”ではないという。杉は“生きていることは旅”だと付け加える。杉は最近、ビートルズのデビュー前を描き、この12月に公開されたドキュメンタリー映画『NO ハンブルク NO ビートルズ』を見て、ビートルズが修業時代にリヴァプールからハンブルグへメンバーとバスで旅していたことを知ったそうだ。そんなバスのイメージも投影されている。ビートルズの“マジカルミステリーツアー”はバスでなければならなかった。そんなことを思うと、この日のオープニングはやはり新たな旅立ちを告げるものだったのかもしれない。

 

「Rainbow in your eyes(君の瞳のRainbow)」(『JOURNEY TO YOUR HEART』に収録。初出は杉真理が1989年にリリースしたアルバム『レディース & ジェントルメン』。杉と松尾の共作曲。BOX版は邦題がついている)を挟んで、さらなる波状攻撃、ここでも新曲が待ち構えている。演奏するのは「I DON’T KNOW~知らんけど」。杉は“新曲はリヴァプールサウンドなんで、手拍子をして欲しい”と観客にリクエスト。観客は独特のバックビート(裏打ち)を見事に打ちこなし、リズムをバックアップする。杉は同曲を歌い終えると“まるでキャバーンクラブで演奏しているようだ”と告げて、改めて観客に感謝の言葉を送る。

 

“知らんけど”――この言葉は2022年の流行語大賞の年間大賞に選ばれた、いろいろ解説や説明した後、それを有耶無耶にする、責任回避するための関西弁(というか、言い回し)である。同曲には“君は関西人、僕は九州人”というフレーズがある。言うまでもなく、杉も松尾も九州・福岡出身。そして、福岡はかつて“日本のリヴァプール”と言われた土地だ。“めんたいロック”以前、井上陽水やチューリップ、甲斐バンドの時代に言われた言葉だが、いま改めて、そのことを思い出させる。同時に福岡の“リヴァプール魂”が継承されることを再確認する。素敵な円環ではないだろうか。

 

また、同曲には“マウントを取る”というフレーズもある。このSNS時代の覇権主義や差別、分断などを引き起こす言葉でもある。問題意識を持ち続ける彼らの矜持のようなものも感じさせる。

 

同曲を終えると“ラスト・スパート宣言”が発せられた。「Temptation Girl」、「Train To The Heaven」と、『BOX TOPS』のナンバーの固め打ち。「Broadway Showへようこそ」(『JOURNEY TO YOUR HEART』)を挟んで、再び、『BOX TOPS』から本編最後(!?)のナンバーという「ヒットメーカーの悲劇」を披露する。同曲を歌い終えたのが午後8時過ぎ、メンバーは満足そうな顔をして、ステージを去っていく。

 

しかし、観客のアンコールを求める拍手は鳴りやまない。数分して、メンバーは嬉しそうな顔をしてステージへ戻って来る。杉は満員の観客と満足そうな観客を見て、“嬉しいです。36年前の自分達にこの歓声と拍手を聞かせたい”と告げた。

 

そして新曲の部類に入るという新曲「カモン・バブリー」を演奏した。同曲には“浮かれて無茶してた”というフレーズがある。昭和から平成へ移行する中で、杉や松尾たちは「バブル景気」も「バブル崩壊」も経験しているのだ。”それを総括する”などというと、彼ららしくないが、落とし前を付ける。いま、そのことを伝えることの重要性を感じているのだろう。

 

そして竹内まりやがカヴァーして、ドラマの主題歌にも起用された「Tokyo Woman」(『MIGHTY ROSE』)で1度目のアンコールを締める。

 

メンバーはステージを去るが、観客の拍手でステージにすぐに引き戻される。彼らは2度目のアンコールに応える。「Roxy Queen」(『JOURNEY TO YOUR HEART』)を演奏した後、新曲「I DON’T KNOW~知らんけど」を再び披露する。ウィットとユーモアを感じさせながらも大事なことを歌っているナンバーではないだろうか。

 

メンバーがステージを去ったのは午後8時20分を過ぎていた。会場にはジョン&ヨーコが作った「Happy Christmas(War is over)」(MAROON5)が流れる。戦争は終わらないが、今年もクリスマスはやってくる。

 

一足早いクリスマスプレゼントか。何か、BOXの“新境地”を見せてくれたかのようだ。時は来たではないが、いま、彼らのようなバンドが日本にいることの大切さを噛みしめる。BOXはひとところには留まらない。螺旋を描きながら高みを目指していく。2025年はホールコンサートやニューアルバムも期待したいところ。彼らでなければ見られない“新世界”がありそうだ。

 

 

 

BOX LIVE 2024 Winter - Much BOX!

2024 年12月14日(土) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

 

 

<第一部>

Opening SE:"Happy BOX'mas"

 

1 Journey To Your Heart

2 ブルーベリーヒルに帰ろう

3 ガリレオ・ガリレイ

4 Twin Soul(未発表曲)

5 マイティ・ローズ

6 窓辺のローラ

7 ポリティカル・キング

8 Crazy Afternoon

9 風のBad Girl

10 人生はコーンフレーク

11 夢見るメアリー

12 フィンランドの林

 

休憩

 

<第二部>

13 魅惑の君

14 二挺拳銃の悲劇

15 寒い国から来たスパイ

16 Girl

17 Rainbow in your eyes

18 僕らのマジカル・バス(新曲)

19 I Don't Know~知らんけど(新曲)

20 Temptation Girl

21 Train To The Heaven

22 Broadway Showへようこそ

23 ヒットメーカーの悲劇

 

アンコール1

1 カモン・バブリー

2 Tokyo Woman

 

アンコール2

3 Roxy Queen

4 I Don't Know~知らんけど(新曲)

 

Ending SE:Happy X'mas (MAROON5)

 

 

https://x.com/mt_rainier_hall/status/1867761808427430201

 

 

 

http://www.masamichi-sugi.net/news/live.html

 

 

https://www.kiyonori-matsuo.com/live