Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -27ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

 

 

PANTA(本名・中村治雄)が亡くなった。2023年7月7日、午前10 時44 分、肺癌による呼吸不全と心不全のため、永眠したという。享年73になる。6月14日にあれだけのライヴを見た後だけに信じられなかった。実は訃報を聞いたのは同日、恵比寿ザ・ガーデンホールで行われた『小坂忠メモリアルコンサート 一夜限りのTHE LAST SESSION〜with Chu's Friends』の開演直前だった。どんな気持ちで、このコンサートに臨めばいいのか、戸惑い、落ちつかない気持ちでいた。しかし、小坂忠の妻で、ミクタムレコードの代表・プロデューサーの高叡華がPANTAのメッセージを紹介し、その際、PANTAが逝去したことを告げた。変な言い方だが、とても一人では受け入れられない重い現実をその場にいる人達と共有できることに少し軽くなった気がした。

 

彼の取材をしたのはいつが初めてか、覚えてないが、PANTA&HALくらいからだろうか。彼を「ROCK STEADY」の表紙にしたこともあった(生憎、すぐには出てこなかった。誰か、上げておいて欲しい)。自慢ではないが、アルバム『R☆E☆D』は、PANTA が書いた未完の長編小説『闇からのプロパガンダ』を原作にした架空の映画のサントラというコンセプトなので、見ていない(というか、実在しない)映画の解説をAV評論家という肩書で書かせてもらった。いまにして思えば、かなり無理のあることだが、彼が持ってきた映画のスクリプトなどは、予算があれば実現可能という迫力があった。

 

また、PANTAとは取材だけでなく、実際に作品を作ったこともあった。元サディステック・ミカ・バンド、サディスティックスの今井裕のプロデュースで日英の俊英が参加した元イミテーションのCHEEBOのソロアルバムやTレックスのマーク・ボランのトリビュートアルバムなども作った。その天才的な閃きで一瞬にして光輝くものになる。クリエイターとしての凄味みたいなものを間近で体験させてもらった。

 

いろいろ、語りたいこともあるが、追悼文はあまり得意ではない。このくらいに留める。その代わり、かつて彼を取材した記事が出てきた。『ROCKSTEADY』の1980年12月号である。奇しくも表紙を鮎川誠が飾っている。PANTA&HALの2枚組ライヴ・アルバム『TKOナイト・ライト』の制作リポートである。短いものだが、当時の言葉に触れていただければと思う。とりあえず、これを掲載させてもらう。他に出物があれば、また、掲載する。改めて、彼への追悼と感謝の気持ちを表明させていただく。ありがとう、さようなら、ゆっくり、安らかに。SNSなどを見ると、優しい人という言葉がたくさん出て来ていたが、それに嘘はない。本当に優しい人だった。

 

そういえば、今は亡き吉原聖洋は『KISS』を世紀の傑作として、高く評価し、その良さがわからない音痴な半可通に挑みかかっていたことを思い出す。彼とも時々、話したが、『KISS』と『唇にスパーク』の再現ライヴを見たかった。

 

 

 

https://twitter.com/pantazkofficial/status/1677241050694549505

 

 

 

 

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『TKOナイト・ライト』はドキュメントだ!

 

★7月7日 渋谷カワイ・ホール/新曲作りをしているところ

★ 7月7日 渋谷カワイ・ホール/パンタを囲んでミーティング

★7月16日 日本青年館/本番前のリハーサル。器材をチェックしている

★7月16日 日本青年館/タムコの録音車

★7月16日 日本青年館/本番

★8月11日 原宿ビクター・スタジオ/トラック・ ダウンをしているところ

 

 

パンタ& HALの初のライヴ・アルバム『TKOナイト・ライト」がついに発表された。これは7月16日、東京「日本青年館」でのコンサートのド キュメントだ。 そのドキュメント完成のため、それまでに数多くの準備がされた。 僕は運良く、その準備から、ライヴ・アルバムの完 成までに立ち合うことが出来たのだ。

 

ライヴ・レコーディングをするということはかなり前から決定していた。 いつ決まったかは覚えてないが、これを聞いた時、僕は期待感と不安感が入り混じった複雑な心境になった。 というのは4月23日、中野サンプラザでのコンサートで軽い失望を味わったからだ。何かパンタが斜に構えたようで、 パンタ&HALならではの“熱” が伝わってこなかった。

 

「まず、ここんとこ大きいステージがなかったから、自分の中で歌い方とか、動き方とかに対する革新的アプローチのとまどいが出てしまった。 あと、やっぱり曲順に問題があったんじゃないかな。 僕らは決して短かいとは思ってないんだけど、スピード感ばっかり意識してたから、ものすごく短かいように感じられたコンサートだと思う。 アンコール含めて、計1時間30分なんだから、そんな短かいはずはないんだけれども、やっぱりやってる方、見てる方もやり足らないような感じで終わってしまった。もっと大きな面でいえば、大人し過ぎたよね。 もっとハチャメチャになっても良さそうだもの。でも、こっちとしてはあの一連のコンサート (“1980X” ツアー)があって、 初めてステップアップしたと感じられる」

 

パンタ & HAL はライヴ・レコーディングのために7月2日から練習スタジオで、 新曲作りとリハーサルに入いった。 新曲というのは「TKOナイト・ライト」と「フロー・ライン」、「ベイビー・グッドナイト」、 「タッチミー」である。 「TKO-」は 『1980X』に未収録だったもので、 原題は 「ナリタ」。「フロ―」 は幻(!?)のアルバム『クリスタル・ナハト』のために作ったもの。

 

「『ベイビー・グッド・ナイト』 と『タッチ・ミー」はコンサート用なんだよね。あえてスタジオでレコーディングしようという気はない。 新曲で臨場感をあおるということだか ら、とっつきやすいっていうこと。 リズムにしても、とっつきやすいリズム。 エンディングにしても すぐ見えるようなエンディングとか、ブレイクだって客に分かる様に、 だか らどうしてもシンプルになっちゃう。 客とのコミニケーションをいやらしくなく出来るか というのを日本語でね」

 

 

この新曲作り、パンタがいっぺんギターでやり、それに対してメンバーが音を付けていく。 それを何度もやり直し、リズム、ブレイク、ソロはどうするか、アイデアを集めて、どんどんまとめていくのだ。 パンター人だけでなく、メンバー全員で作っている。 それも冗談を言ったりしながら、実に和気あいあいの雰囲気の中でだ。

 

「例えば『北回帰線』とか、ああいうやつは 無茶苦茶神経使うところあるけど、『タッチ・ ミー』なんか軽い感じだったから」

 

新曲作りは11日まで行なわれた。 14日、15 日はコンサートを想定した通しリハーサルで ある。 曲順が決まったのはコンサートの前日のこと。

 

「曲順にはえらい気を使った。 サンプラのパ ターンがあるから。 コンサートの前日は変に落ちついていたね。 間違えちゃったらそのまま入いっちゃうんだみたいなことでビビるってなかった。そうしたら修正すれば良いし、どうにでもなれって。 でも、間違えなければライヴじゃないっていうやつもいるし、僕も同感だしね」

 

 

エンターティメントを越えた 何かがある

 

 

7月16日 いよいよライヴ・レコーディンの日だ。 メンバーは器材のチェック、 音合わせに余念がない。 ホールの外側にはタムコの録音車がライヴ・レコーディングのためにセッティングされている。 パンタはノドの調子がちょっと良くないらしく、レンコンのジュースを用意している。ついに6時30分を少しまわった頃、 コンサ ートは始まった。 コンサート・ナンバー 「HALのテーマ」 と 「螺尾」、そして新曲「フロ 一・ライン」 「TKOナイト・ライト」と続く。

 

耳馴染みがないせいか、 客の乗りもいまいちのようだ。 しかし、それも「ネフードの風」、 「キック・ザ・シティ」から盛り上がり、「マラッカ」、 「つれなのふりや」で客が総立ちになった。 それはさらに「屋根の上の猫」 「マ ーラーズ パーラー'80」 でピークに達した。

 

この時すでに不安感など吹き飛び、 僕はパンタ& HALへの期待感、いや満足感でいっぱ いになっていったのだ。

 

「コンサート終わった時の感想って、一番好きだよ。車で一人で帰る時の雰囲気がね。 轟音の中にいるでしょ。 車の中で一人になると、僕の車ってこんなに静かだったのかと思う。何かホッとしたような感じ。 まあ、良いコンサートだったんじゃないかと思うけど。ただ出来れば、自分のコンディションとか、もっと良い状態で録りたかった。 普段間違えないとこで、間違えてるしね。 だけど動きが感じられれば良いというのがあるから」

 

コンサートの後、トラックダウンは8月8日から始まった。当初はダビィングとか、するはずだったが、 ドキュメント性を重視するために曲順を一部入れ替える以外は手を加え ないことになった。 12日、 トラックダウン が全て完了した。

 

「スタジオ録音の他人行儀なところと、ライヴ録音の生々しさの違いかな。 汗と動いてるという躍動感。 それを味わって欲しい。 トラックダウンの時も客席の後方で聞いてる感じじゃないんだよ。 聞いた感じがわりとステージにいる感じなの。 だからこっちサイドに立ったライヴ録音。 そういう臨場感を出していくパターンだから、客席で見てる感じと はまた違ったものになってると思う」

 

カッティングを経て、2枚組ライヴ・アルバム『TKOナイト・ライト』は10月5日。ついに発表された。拍手、歓声の中にいる自分を発見するのもいいだろう。 これはパンタ& HAL のドキュメントであるとともに、それに立ち 合った人達全員のドキュメントでもある。そ して、そこには単なるエンターティメントを越えた何かがあったはずだ。 それはパンタ& HALの“熱さ” 、“つき動かす力”……。このライヴ・アルバムをただのメモリーとするか、 今を生きている証のドキュメントとするか、それは明日のパンタ&HAL, そして明日の自分に掛っているといっていいだろう。

 

 

パンタは歌う。

 

おれの声が聞こえるか

おれの声に応えるか Yeah Yeah

 

「つれなのふりや 」パンタ & HAL

 

 

 

 

「Stay with me」か。オープニングフィルム上映直前、同曲が会場に流れていた。昨2022年8月3日と4日に開催を予定していたが、小田などのコロナ感染のため、1年越しの振替公演となった東京・国立代々木競技場 第一体育館の2023年6月28日(水)、29日(木)の2DAYS。その2日目を体験する。彼の単独公演を見るのは、おそらく20年ぶりだろう。20年ぶりの公演で聞いた「Stay with me」が単なるBGMではなく、何か、小田からのメッセージのように聞こえる。私的には“掴みはOKだ!”。

 

驚くべきことに昨2022年のチケットはそのまま使用できたという。実際、チケットの払い戻しも少なかったようだ。1年間、チケットを持って、待っていた。小田は待っていてくれたことに深い感謝と待たせてしまったことに深い陳謝をこの日も観客へしている。小田自身は1年前の発券されたチケットが果たして、そのまま使えるか、不安だったらしい(笑)。

 

昨2022年のツアー「こんど、君と」から同ツアーの代々木競技場の振替2公演を含む、2023年のツアー「こんどこそ、君と!!」へ。“!”が2つもある。小田和正の強い思いの表れだろう。そんな思いと決意を端麗と洗練に包む、珠玉の名曲たちが彩る。「愛を止めないで」や「言葉にできない」、「Yes-No」など、オフコースの名曲から「ラブ・ストーリーは突然に」や「キラキラ」、「たしかなこと」など、ドラマの主題歌やテレビCMで何度も聞いた誰もが知るヒット曲、そして「会いに行く」や「こんど、君と」、「ナカマ」など、昨2022年6月にリリースした最新アルバム『early summer 2022』』の収録曲、さらにこの4月に配信された最新シングル「what's your message ?」(7月に放送開始されるフジテレビ系ドラマ木曜劇場『この素晴らしき世界』主題歌)まで、どの曲もたまらなく愛おしく感じる。市井に暮らし、ささやかな幸せを獲得することの困難や無辜の人達の艱難辛苦……そんなものを乗り切る力を小田の歌は大上段に構えることなく、さりげなく与えてくれる。彼の音楽は世代や性別、年齢を限定するものではないが、同世代音楽として、60歳を過ぎて、漸くわかるようなところもある。洗練された調べと優美な言葉と甘美な歌声がいまはとても心地良く、彼のきっと“ダイジョウブ”と言う言葉がすんなりと心の中へ入ってくる。若い時はやはり捻くれていたか(笑)。根はパンクな私でも小田の“さわやか革命”にしてやられた。オフコースの「生まれ来る子供たちのために」や初期の名曲「the flag」などのメッセージが染みる事よ。いまさらながら気づく。既にプロとしてデビュー五十余年、年齢も75になるミュージシャンにいうことではないかもしれないが、この人はデビューから現在まで、徹頭徹尾、自らの音楽の質に拘り、どんな時にも一時の感情や勢いなどに振り回されることなく、抑制的で理知的な音楽を作ってきた。

 

ご存知のように小田は東北大学、早稲田大学大学院で建築学を学び、その将来を嘱望されていたという。この日、音楽を取るか、建築を取るか、悩んでいた時に作ったのがオフコースの「水曜日の午後」だと語って、同曲を披露している。建築と音楽、決して相反するものではなく、理系的な知識に文系的な感性も必要である。小田の音楽を聞いていると構築的でありつつ、人の気配が漂う。勿論、それは充分にエモーショナルである。時として、その熱や思いに心と身体を射抜かれる。まさか、小田和正で、そんな気持ちになるとは思ってもみなかったーーこの年齢になって、改めて体験できることがある。それは喜ばしことではないだろうか。最新アルバム『early summer2022』の充実ぶりに改めて驚く。出会いや旅、生活、風、光など、テーマやモチーフは変わらないものの、レイヤーやグラデーションの妙を見せてくれる。ライブ後、同作を繰り返し、聞いているが、どの曲も心を捉え、身体を心地良く揺らしてくれる。

 

また、別名トイレタイム(失礼!)と言われる「御当地紀行」も見逃せない。10分に満たない、小田が公演地の街中に飛び出し、アポなしで、その模様を収録するというもの。小田和正版“かずまさ散歩”である。地元の方との交流や思わぬ出会いが見ていて微笑ましくなる。この日は全国の御当地のダイジェストと、東京・国立代々木競技場周辺のカフェなどで寛ぐ模様を収録している。その街の人達とのふれあいやハプニングが楽しく、かつ、彼のアナウンスも味がある。小田の着替えの時間でもあるが、ある意味、裸の小田和正が見えてくる。旅を住処とする彼の本質かもしれない。小田は実際、『いつか どこかで』や『緑の街』など、過去に長編映画を監督しているが、その経験はショートドキュメンタリー(短編映画)でも存分に生きているのではないだろうか。

 

御当地紀行後、ステージは一気に加速していく。会場を横に使用し、ステージと客席の距離を短く、かつ下手、上手に花道が伸び、ステージが周回コースのようになっている。大きなモニタースクリーンが3つあるので、それを追うので精一杯のところもあるが、気づくと自分のすぐそばまで来ている。より近くで小田和正を感じてもらう、客席との距離を縮めるための演出である。20年前は颯爽と疾走していたが、流石、20年も経つと、疾走ではなく、歩き回る(徘徊ではない!)ことになるが、それでも近づきたいと気持ちが嬉しくなるというもの。日本のエンターティメントの世界の高みを単なる最高年齢の更新ではなく、パフォーマンスで毎年、更新を続けている。小田自ら幸せなジジイと言っていたが、それをたくさんの人が愛し、支える。彼といることで年齢、性別を超え、多くの方が多幸感に満たされる2時間。何か、とてつもないご利益がありそうだ。

 

観客の年齢層は総じて高いが、青春時代を懐古しながらも懐メロではなく、途切れることのない人生の応援歌を聞き続けることができる、まさに僥倖というもの。

 

敢えて詳述しないが、終盤にはロッド・スチュアート&フェイセスのような演出もあった。明日へのキック・オフか。

 

アンコール後は会場にはクロージングフィルムが流れる。規制退場に巻き込まれても席を立たず、やはり最後まで、ちゃんと見なければならないだろう。街と街、人と人を繋ぐ小田和正の旅をともにして、小田和正のまわりに過去から現代まで、風のように流れていたうたたちを思い出していた。彼もまた、小田流のホーボーソングの歌い手ではないだろうか。そんなことを思った。小田和正は“君住む街へ”会いに来る。本ツアーの残りの公演は岩手や北海道、神奈川など、数公演になる。当日券を含め、入場券はあるのか、ないのか、わからないが、もし駆け付けられるなら行ってみて欲しい。

1. BYE BYE BLACKBIRD
2. MOONGLOW
3. LADY JEAN
4. NIGHT AND DAY
5. シャンプー
6. DANNY BOY
7. ON THE STREET WHERE YOU LIVE
8. こっちをお向きよソフィア
9. MY ROMANCE
10. LOVIN’ YOU
11. SMILE

 

“40年前の今日、1980年6月25日に山下久美子はシングル「バスルームから愛をこめて」でデビューした。40周年という記念すべき日を“胸キュン”や“ポナペ”の仕掛人であるブルベリー男爵のタイムラインで知った。同タイムラインには彼女の40周年を祝福する言葉に溢れていた。読んでいるだけで、幸せな気持ちになってくる。”

 

というエントリーを上げたのは2020年6月25日のこと。アメブロが教えてくれた。今日は2023年6月25日だから、正しくは「43年前の今日、1980年6月25日に山下久美子はシングル『バスルームから愛をこめて』でデビューした」になる。山下久美子のデビュー43周年を記念して、彼女について書かなければならない(!?)。このところ、地方からいらした方の接待や地方への挨拶回りなど、ばたばたしていて、4月22日(土)に東京・汐留「BLUE MOOD」で開催された『「JAZZ”N”KUMIKO」レコ発ライブ & PLUS~レコ発ライブKumiko Yamashita「JAZZ”N”KUMIKO」& PLUS』や5月27日(土)に神奈川「ビルボードライブ横浜」で開催された「山下久美子 BEST & COVER !!」も行けなかった。当初は両公演とも配信がなく、皆様の呟きを見て、ライブを想像して、見れなかったことを悔しがるのみ。ところが、まだ、運はあった。4月の『「JAZZ”N”KUMIKO」レコ発ライブ』が急遽、配信で6月17日(土)から6月28日(水)までアーカイブ視聴が可能になった。かのブルーベリー男爵も新進気鋭のアルトサックスフォン奏者、ビリージーンを絶賛していただけに、これは見ない訳にはいかない。

 

 

同ライブは、山下久美子がスタンダードとオリジナルを山下久美子流のジャズに仕立てた意欲作『JAZZ”N”KUMIKO』の発売記念である。プロデューサーは吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズのサックス奏者として活躍、ジャズをモチーフにした推理小説『ジャズ・エチカ;ジャズメガネの事件簿』(彩流社)を上梓し、ラジオDJとしても活躍している渡辺康蔵。彼は日本コロムビア時代に山下久美子のプロモーションやプロデュースを担当していた。

 

渡辺の還暦パーティで、山下と再会。それが縁で、このアルバムが実現した。当然、再会が縁といいつつも、それ以前も彼女のライブには足繫く通っている。山下久美子のライブには歴代のプロデューサーやアレンジャー、ソングライター、スタッフなど、新旧のスタッフが駆けつけることも有名。私自身もその現場を何度も目撃し、ブログなどでも紹介しているが、絶えることのない交流が奇跡のようなアルバムを生んだといっていいだろう。同時に山下が常にライブをやり続けているからこそ、再会がある。

 

アルバムはプロデューサー渡辺康蔵の総指揮のもと、若手~中堅のフレッシュな技巧派ジャズ・ミュージシャンが集い、「BYE BYE BLACKBIRD」や「NIGHT AND DAY」、「SMILE」など、スタンダードナンバー7曲、「シャンプー」や「こっちをお向きよソフィア」、「LOVIN’ YOU」など、山下久美子のオリジナル(ジャズアレンジ)4曲をエモーショナルに歌い上げた珠玉の11曲を収録している。「JUDGMENT! RECORDS」第1弾作品として4月26日にリリースされた。

 

メンバーは山下久美子(vo)、皆川太一(arr、g)、 中林万里子(p)、中林薫平(b)、工藤明(ds)、そしてゲストのビリージーン(as)が参加している。

 

 

山下久美子が果敢にジャズに挑むという大上段に構えたものでなく、かのリッキー・リー・ジョーンズがジャズやスタンダードをカバーしたアルバム『イッツ・ライク・ディス』(2000年)や『ピーシズ・オヴ・トレジャー』(2023年)などを敷衍したものだという。今度はジャズをやってみました的な気どりやかっこつけはない。聞く方も変に構えることなく、すんなり聞くことができる。へんちくりんなフェイクがないのもありがたい。私自身は明け方に高速を飛ばす時や深夜の街を徘徊する時に好んで聞いた。この街の恰好のBGMになっている。勿論、アドレナリンを全開にするものではなく、優しく包み込まれるという感覚だ。

 

その発売を記念するライブが先のライブで、レコーディングメンバーがこぞって参加している。ゲストにはアルバムにも参加したビリージーンと、アルバムのプロデューサーの渡辺康蔵もかけつけている。

 

改めて、同ライブを聞く(見る!)と、そこには、いつもの山下久美子がいた。いつものといいつつもロックンロール!と観客を煽る“総立ちの久美子”ではなく、少し大人でシックな山下久美子がいた。スタンダ―ドナンバー、オリジナルナンバーともにジャズすることで落差はなく、彼女のボーカリストとしての魅力が伝わってくる。元々、様々なニュアンスを歌いこなすことは天賦の才能。同時にジャズの解釈や歌唱なども実に自然に対応している。彼女はデビュー前にジャズヴォーカルなども勉強し、ちゃんと習得している。山下のボイストレイナ―として、彼女を育て上げたのは日本を代表するゴスペル、ジャズ歌手の亀渕友香である。ナベプロがいかに正しい育成をしていたかを物語る。彼女の教えめでたく、変なジャズの曲解も改変もなく、自らのものとして歌い、聞くものに届ける。そんな素地があるからこそ、彼女のキャリア初のジャズアルバムを可能にしたのだろう。ライブを聞くと、それが如実に伝わってくる。

 

同時にビリージーンの存在がいい意味で彼女を刺激し、相乗効果となってスリリング、かつ、ダイナミックな競演になる。おとなしすぎることなく、ところどころにおきゃんな顔をの覗かせるのだ。

 

山下久美子が新しい仲間達と作る新しい歌と音。彼女の新たな魅力をこのライブは存分に堪能することができる。アーカイブ期間は6月28日までだが、是非、聞いて欲しい。しかし、デビュー43周年になるというのにこの初々しさは驚くべきこと。歳を重ねても新しい魅力に出会えるなんて、なかなか、ないことだろう。これまでやってきたことは無駄になってない。すべてが明日への糧となる。彼女がいかに真面目に人生を歩んできたか、その証拠ではないだろうか。遊びを含め、学んできたことはいつか、明日のために“その1”になる。

 

 

 

 

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大好評だった4/22山下久美子レコ発ライブ「JAZZ”N”KUMIKO」& PLUS の配信が決定!!

 

アルバム「JAZZ”N”KUMIKO」の好評価も相まって、レコ発ライブの配信リクエストが後を絶たず、前倒しでの実施の運びとなりました!!

 

当日、レコ発ライブへのご参加が叶わなかった方、もう一度味わいたい方、皆様、是非ご堪能いただければ幸いです♪

 

【配信期間】

6/17(土)19:00 ~ 6/28(水)23:59

※配信期間が当初の6/27→6/28までに変更となりました

 

【料金】

¥3000

 

【お申込方法】

ツイキャスからのお申込となります。

下記URLからお申込みください。

 

https://twitcasting.tv/c:blue_mood/shopcart/240697

 

 

 

 

 

 

0422「JAZZ”N”KUMIKO」

〜レコ発ライブ & PLUS~  セットリスト

 

01.opening インスト(musician only)

02.Stardust

   mc

03.Bye  Bye Blackbird

04.On the street where you live

  mc

05.Moongrow

06.Danny boy

 

  mc ビリージーンalto in

07.シャンプー (ビリージーンalto)

08.Night and Day (ビリージーンalto)

09.My Romance (ビリージーンalto)

   mc  with Kozoさん sax in

10.L.O.V.E  (Kozoさん sax /cho &ビリージーンalto /cho)

  mc

11.こっちをお向きよソフィア

12.Lady Jean

13.Smile

14.LOVIN’YOU

 

En

  mc

15.What a difference a Day makes (w/ビリージーンalto)

  mc

16.バスルームから愛をこめて (w/ビリージーンalto)

 

メンバー:山下久美子(vo)、 皆川太一(arr,g)、 中林万里子(p)、 中林薫平(b)、工藤明(ds)、ゲスト:ビリージーン(as)、渡辺康蔵(as)