仲野茂の歌を浴びるⅡーー高樹町ミサイルズで役者ロック+LTD EXHAUSTⅡでエンタメパンク | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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一昨日は突然の告知、失礼いたしました。当日、直前の告知になったが、一人でも多くの方が仲野茂の歌を浴びていただければという思いからだ。実際、このブログでライブのことを知って、急遽、駆け付けた方もいるらしい。ありがたいことだ。本来なら一昨日の「ぶちかまし」の告知とともに掲載する予定だったが、息切れで今日になってしまった。申し訳ない。仲野茂が「仲野茂バンド」や「ぶちかまし」以外で、既に稼働させているバンドについて書き添えておく。

 

 

私的にはライブ三昧の今年のGW、その締めに5月6日(月・休)に沼袋「section9」で開催された「沼ってしまってわん!わん!わん!」を見にいった。出演はLTD EXHAUSTⅡ、高樹町ミサイルズ(中村獅童、仲野茂、岡本雅彦、内藤幸也、茂木左、越川和磨)、TELEZUME,(坂詰克彦from怒髪天)というラインナップ。なにしろ、“役者ロックの誉れ”である中村獅童との高樹町ミサイルズ、亜名亜危異亡き後、その“後継”を仲野茂バンドと争う(!?)LTD EXHAUSTⅡが出演する。仲野茂の“多面体”を構成する2バンドを一挙に体験できる絶好の機会でもある。この1月2日(火)の仲野の“生誕祭”もその機会だったが、残念ながら高樹町ミサイルズは参加していなかった。“ニューイヤーズワールドロックフェス”以外では、私にとって高樹町ミサイルズの初のリアルライブになる。

 

 

西武新宿線の「沼袋」という、あまり土地勘のない未知の場所(失礼!?)ながら、これは行くしかないだろう。気分は“ぶらり途中下車の旅”。ちなみに「新井薬師前」駅と「野型」駅の間にある。

 

駅から商店街(!?)を8分ほど歩くと、美容院などが入るビルの地下にライブハウス「section9」はあった。会場には亜名亜危異のファンの思しき方が多く、意外と女性が多い。中村獅童人気か。歓声の中、オープニングはTELEZUME,(坂詰克彦from怒髪天)。彼はLTD EXHAUSTのメンバーで、その名付け親でもある。TELEZUME,はギターの弾き語りでとぼけた味わいのある歌を聞かせる。最後をリズムネタで落とすところがドラマーの性か。またか、と思いつつも何度も聞いていると癖になるから不思議だ。

 

▲TELEZUME,

 

 

TELEZUME,が終えると、15分ほどの休憩後、遂に仲野茂と中村獅童率いる高樹町ミサイルズが登場する。彼を支えるのは岡本雅彦(元アンジー、仲野茂バンド)、内藤幸也(元MuteBeat、SuperBad、ARB、現アレルギー、宙也+幸也)、茂木左(Theピーズ)、越川和磨(元毛皮のマリーズ、LTD EXHAUST1+Ⅱ)という錚々たるメンツ。役者の余儀などと言わせない、本格派の揃い踏みである。

 

▲高樹町ミサイルズ

 

そんな本気を証明するかのようにその歌も堂にいっている。役者ロックといいつつもフォークやブルースではなく、思い切りパンクである。歌われるのだ。高樹町ミサイルズは、2006年に鮎川誠にして、”ロックの迎賓館”と言わしめたロックバー「RED SHOES」の25周年記念イベント出演の際にJの声かけで、仲野茂らと結成したスペシャルバンド。その後、中村獅童が加わり、以後は中村獅童、仲野茂を中心に活動を続けている。2017年9月にはライブハウスツアー『ACTOR’S NIGHT TOUR』(大森南朋の「月に吠える。」、「打首獄門同好会」などが出演)を敢行した。“ニューイヤーズワールドロックフェス”にも“2015-2016”、“2016-2017”、“2017-2018”、“2018-2019”、“2019―2020”と連続出演している。

 

役者ロックと言うか、役者パンクというべきか。仲野茂と中村獅童の“めんたいロック”へのリスペクトが感じられる。ザ・ルースターズの「テキーラ」や「フール・フォー・ユー」、「恋をしようよ」などを豪快に歌い、“禁じ手”とでもいうべき、バトル・ロッカーズの「セル・ナンバー8」まで飛び出す。同曲の破壊力は想像を絶する。以前、宮藤官九郎の「グループ魂」が復活したザ・ロッカーズと競演した際、“ロッカーズ魂”として演奏(グループ魂は同曲を「グループ魂のテーマ」としてカバー)しているが、とてつもなくパンクなバンドに聞こえた。それ以来の衝撃である。むしろ、役者パンクではなく、パンク役者といっていいだろう。

 

同曲以外にも役者ロックの定番、萩原健一の「ぐでんぐでん」や「ララバイ」、泉谷しげるの「眠れない夜」などを披露。観客の感性を心憎いまでに刺激していく。男女問わず、惚れてしまう格好良さである。

 

途中、北野武の“首”を巡る中村獅童と大森南朋の家族ぐるみの“争奪戦”など、役者界の覇権争いなど、おもしろ、おかしく聞かせてくれた。中村の“ロックンローラーではなく、ところどころ歌舞伎役者や俳優の顔が出て来てしまう”という発言も変に勘違いしてないところが慎み深く、彼がロック界、役者界問わず、好かれる要因だろう。そんな中村を岡本雅彦や内藤幸也、越川和磨など、“盟友”を率いて、しっかり支える仲野茂が頼もしい。役者ロック界の敏腕プロデューサーか。

 

▲LTD EXHAUSTⅡ

 

怒涛の役者ロックショー、いや、役者パンクショーの後は、LTD EXHAUSTⅡ。仲野茂を支えるのは元毛皮のマリーズの越川和麿(G)、画鋲の西田代洋海(B)、Theピーズの茂木左(Dr)と言う面々。亜名亜危異に影響を受けた新世代のミュージシャンと、パンクロックを爆音でアップデートしパンクエンタメを体現するバンドだ。

 

捻くれながらも思いや笑いはストレートに伝わる。聞いていて、爽快感がある。パンクはやさしいではなく、気持ちいい、そんな言葉が相応しいだろう。

 

この日は、LTD EXHAUSTⅡのデビューアルバム『天然記念物』から加川良の「教訓Ⅰ」のカバーを含む、「黒いカバン」や「せんそー」、「パワー」、「いざ居酒屋」など、新たな名曲が数多披露された。“黒いカバン”は黒い鞄の物販もあるようで、鞄をモデルのように持ちながら歌うところが笑えた。CD自体は18センチジャケット(ディスクそのものはCDサイズ)の異色盤。当面は会場のみの販売になるらしい。これは仕入れておいた方がいい物だ。

 

 

 

https://ltdexhaust.com/news1219/

 

 

 

怒涛の2時間20分。先鋒の「TELEZUME,」、中堅&副将の「高樹町ミサイルズ」、そして大将の「LTD EXHAUSTⅡ」、どれも適材適所。お互いが補い、高め合い、静かな住宅街、沼袋は熱狂と興奮の坩堝と化す。仲野茂に停滞や休止は無縁だ。「沼ってしまってわん!わん!わん!」の“Vol.2”に期待したい。

 

この7月には仲野茂バンドが動き出す。7月15日(月)の所沢「MOJO」公演後は名古屋、三重、福岡と回る。それ以外にも新日程が加わるという。いずれにしろ、仲野茂から目が離せない。ソロとしてはオールドルーキーかもしれないが、そのキャリアは伊達ではないだろう。いろいろ各方面で“騒動”を起こしてくれそうだ。

 

 

 

 

【仲野茂BAND】

2024年7/15(月)所沢MOJO

仲野茂vo

下山淳gu

岡本雅彦bs

梶浦雅弘dr

竹内理恵sax

 

※ご予約はメール受付のみとなっております。

所沢mojo   toiawase@mojo-m.com

 

 

【仲野茂BAND】

 2024年9/22(日)福岡LIVEHOUSECB

仲野茂vo

下山淳gu 

岡本雅彦bs 

梶浦雅弘dr 

竹内理恵sax 

 

福岡LIVEHOUSECB

https://livehousecb.cb

 

 

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