温故智新“JAPANESE MUSIC POSTER FLYER EXHIBITION ” | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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井出靖『ROLLING ON THE ROAD 』発刊記念

『JAPANESE MUSIC POSTER FLYER EXHIBITION Vol.2 日本のロック黎明期Part.1 -バンド、グループ編-』

 

昨日、11月30日(木)は、この1月に出版された音楽プロデューサー井出靖の自伝『ROLLING ON THE ROAD 』発刊を記念 する『APANESE MUSIC POSTER FLYER EXHIBITION Vol.2 日本のロック黎明期Part.1 -バンド、グループ編-』の内覧会にお邪魔した。会場は役所広司がカンヌで最優秀男優賞を受賞したヴィム・ヴェンダース監督作品『PERFECT DAYS』(主題歌?はルー・リードの同題曲!)に登場する透明トイレが設置された代々木小公園の前にある井出のギャラリーショップ『Grand Gallery』。地下鉄・小田急線「代々木公園」駅から3分ほどだ。

決して大きな会場ではないが、足を踏み入れると、井出が苦労して収集し、選りすぐったポスター群に圧倒される。ジャックスやはっぴいえんど、チューリップ、甲斐バンドなど、お馴染み(といいつつもジャックスなどのポスターは貴重なもの)のものは当然として、フラワートラベリンバンドやクリエイション、ジョニー・ルイス&Char、カルメン・マキ&OZ、四人囃子、キャロル、サディステックミカバンド、めんたんぴん、沢田研二、萩原健一など、井出の自伝『ROLLING ON THE ROAD 』を読んだものなら思わず、納得のラインナップである。井出靖が体験した“日本のロック”がてんこ盛り。展示そのものはランダムに見えつつ、そこに意図や意味が内在されている。流石、数々のコンピレーションを編纂、また、数多のコラボレーションをしてきただけある。その才能にたけているのだ。

まずはその場に足を踏み入れ、井出がセレクトしたポスターやフライヤーを目の当たりにして欲しい。その音が聞こえ、その足跡が見えてくる。実際、本開催時にはDJなども入るようだ。また、トークイベントなども予定しているという。さらに“ご本人登場”なんていうこともあるかもしれない。

実は、この日も意外なゲストが来ていた。四方義朗である。つのだひろが結成したキャプテン・ひろ&スペースバンドのベーシストで、同バンド脱退後は雑誌編集者、テレビ番組制作を経て、ファッションイベントの企画、演出を手掛ける傍ら、テレビやラジオの出演など、多方面にわたって活動。「四方夜話」(日本テレビ)、「三宅裕司のいかすバンド天国」(TBS)、「クイズダービー」(TBS)、「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」(日本テレビ) などに 司会者、コメンテーター、ゲストとして出演していた。ちょっと辛口だが、ダンディな彼の姿を覚えている方も多いのではないだろうか。彼は大阪出身で、学生時代から加藤和彦と親交を結び、上京も彼と一緒だった。今井裕をつのだひろや加藤に紹介したのは四方らしい。映画『悪魔が来りて笛を吹く』は今井裕が音楽を手掛けているが、同映画の音楽プロデューサーは彼である。そんな四方義朗がサディスティック・ミカ・バンドのポスターの前に佇み、井出に加藤を古くから知る四方だからこそ語れる“公開できない貴重な話”を披露してくれた。

そんな“ハプニング”が起こるかわからないが、各方面のクリエイターから注目を集める井出靖。思わぬ“大物”に出くわすかもしれないだろう。

 

(写真左から)中村俊夫、四方義朗、井出靖。ミカバンドのポスターの前に佇む3人。中村はミカの自伝『チャンス・ミーティング』(宝島社)の共著者、テイチクでT- レックスのリイシューを担当し、かつてミカと四方のトークイベントを開催している。また、マーク・ボランのトリビュートアルバムを今井と制作している。四方は齢75になるというのに相変わらずダンディーだ。四方は井出を訪ねて、同会場にやってきた。思いもかけない、意外な展開。井出は加藤和彦の晩年、交流をしていた。サディスティックミカバンドが取り結ぶ、奇妙な縁である。



会場ではジャックスやサディスティック・ミカ・バンドなどのTシャツやロングTシャツなどもライセンスを許諾、取得して限定発売される。なかなか、ハイセンスなものなので、注目だ。改めて言うまでもないが、当時のジャケットデザインやポスターなどは極上のアートである。そんな素材を生かした物販、注目しないわけにはいかないだろう。また、今回、展示されたポスターなどの図録も販売される。観覧の記念に入手して欲しい。


井出靖から四方義朗、そして今井裕へ―ー偶然といえば偶然だが、元サディスティックミカバンド、サディスティックス、イミテーションの今井裕のスペシャルトークショウ「JAPANESE ROCKの夜明けから未来へつなぐもの*半世紀のヒストリーを『プログレ』目線で語る夜」が12月5日(火)、東京・原宿「クロコダイル」で開催される。同イベントも必見だ。現在、関西在住の今井の上京、貴重な機会である。今井は来年夏に公開されるという加藤和彦のドキュメンタリー映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』に出演、そして先月、『黒船』、『ホット・メニュー』のプロデューサー、クリス・トーマスと京都で再会したばかり。そんな彼だからこそ、聞きたい話がたくさん出てくるはず。

スペシャルトークショウは今井の他、武田チャッピー治、川上シゲというカルメン・マキ&OZのメンバー、千年コメッツの元メンバーも登壇する。日本のロックを黎明期から知るミュージシャンだ。モデレーターの吉田ハリーは千年コメッツを手掛けたことで知られるプロデューサーで今井は千コメをプロデュースしているという長年の盟友である。

この日はトークだけでなく、今井のピアノソロ、4オクターブを駆使する神秘のシンガーと言われるSNARE COVERの『Special Band Set』<スネアカバー(vo,g) 武田チャッピー治(ds) 川上シゲ(b) 梅野渚(p)>のバンド演奏などが行われる。同セットにも今井も参加する予定。

井出のポスター展に公開されているミカ・バンドやOZのメンバーである今井やチャッピーやシゲなどが現役で活動を続け、それも懐メロではなく、新しい試みに挑む。過去は現在へ繋がる。井出のポスター展と今井のトークイベント、是非、足を運んで欲しい。古きをたずねて新しきを知るではなく、古きをたずねて新たな智恵を得る――そんな“温故智新”の機会になるだろう。


井出靖/ROLLING ON THE ROAD 発刊記念 JAPANESE MUSIC POSTER FLYER EXHIBITION Vol.2 日本のロック黎明期Part.1 -バンド、グループ編- 2023年12月2日(土)~12(火)、16(土),17(日) OPEN 13:00-18:00 *6日(水)は休み 入場料¥1,000- (記念ポストカード付) 開催場所 Grand Gallery 東京都渋谷区富ヶ谷1-5-3 岸ビル1F TEL 03-6407-0750
 



JAPANESE ROCKの夜明けから未来へつなぐもの*半世紀のヒストリーを「プログレ」目線で語る夜

https://crocodile-live.jp/events/event/snare-cover/?fbclid=IwAR2SxdupTUhHSyHpMV1-ZPzmYps71nHqP5Hs6nrYoHJ_3kiChB1QxwjdpL4