人生、いろいろ――『パール兄弟・結成40周年 〜ありがとう、ヤッシー〜』 | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

既にX(旧ツイッター)やFBでは簡単に紹介しているが、もっと多くの方に知ってもらいたく、配信は明日、10月14日(土)までになってしまったが、改めてアメブロにも掲載する。

 

 

人生は泣き、笑い、哀しみ、喜び、誕生、死去……いろいろある。先日、9月30日(土)に東京・原宿「クロコダイル」で行われた『パール兄弟・結成40周年 〜ありがとう、ヤッシー〜』に出席した。

 

パール兄弟の40周年を祝いつつ、昨2022年9月27日に永眠したパール兄弟の五男坊・ヤッシーこと矢代恒彦(1960年9月24日生まれ。享年62)を追悼する“ライブ葬”でもある。

 

実は同日は既に予定はあったが、どうして行きたかったので、予定を変更。原宿「クロコダイル」へ行くことにした。矢代恒彦には「ご縁」と「ご恩」があったのだ。随分前になるが、私が関わったミュージシャンのアルバムリリース(元イミテーションのCHEEBOのソロアルバム『パラダイスロスト』プロデュースは今井裕。1985年リリース)に際して、お披露目のコンサートをすることになり、ライブ用のバンドを結成している。同作のレコーディングに参加した窪田晴男(G)と友田真吾(Dr)、本2023年2月27日に永眠(合掌)した有賀啓雄(B)、そして矢代恒彦(Kb)というラインナップだった。転調や変拍子も多い、変則的な楽曲にも完璧な演奏力で対応してもらった。それ以降はパール兄弟やS-KEN & HOT BOMBOMSなどで顔を合わせるものの、その際に当時のことでちゃんとお礼を言ってなかったことを気になっていた。せめて、家族葬は無理でもライブ葬へは駆け付けたいと思っていたのだ。

 

 

会場の原宿「クロコダイル」に着き、中へ入ると、ステージの下手には矢代の写真が飾られ、献花台もあった。入場したものは花を手向け、彼へのメッセージをカードへ書き込み、投函する。

 

ライブはトーキング・ヘッズの「警告 - Warning Sign」から始まった。1978年にリリースされた彼らのセカンドアルバム『モア・ソングス』(More Songs About Buildings and Food)に収録されたナンバーである。意外な選曲に驚くが、トーキング・ヘッズは、この9月に彼らのコンサートを収録した映画『ストップ・メイキング・センス』(Stop Making Sense)の40周年を記念する上映会で、デイヴィッド・バーン、ティナ・ウェイマス、クリス・フランツ、ジェリー・ハリスンが再集結したばかり。まさに絶妙なタイミングである。同時にパール兄弟とトーキング・ヘッズとの近似値を再確認した。絶えず時代に警告を発する――そんなアティテュードが彼ららしい。

 

曲目などはセットリストを参照していただきたいが、オールタイムヒッツの趣きもありつつ、2023年に新たなリメイクをした再新作という手応えもある。

 

 

勿論、メンバーが見た矢代も語られる。松永俊弥がバッキングでツアー中の矢代を名古屋駅で見かけ、声を掛けたら柱の陰に隠れたというエピソードはいかにも彼らしい。窪田晴男と、山下久美子のバッキングをしていた矢代は彼女から“キーボードを弾きながら激しく動いた方が観客も盛り上がる”と言うアドバイスに悩み、動くとちゃんと弾けないと窪田に漏らすところも彼らしいだろう。そして、バカボン鈴木(1956年9月28日生まれ)と窪田晴男(1959年9月18日生まれ)の誕生日を祝い、バースデイケーキのセレモニーもある、さらにサエキけんぞうは“3年計画で渋谷公会堂みたいなところでライブをやりたい”と、その決意を表明した。その第一歩として、プロモーションのため、「TikTok」を始めたという。そんな先取の気風はサエキけんぞうならではだろう。コミケに注目し、自ら出店する。また、ライヴストリーミングスタジオ『DOMMUNE』の出演(サエキが司会した鮎川誠の追悼番組は秀逸。サエキでなければ土屋昌巳の深い洞察を引き出せなかった)や東京「LOFT9 Shibuya」などで開催される「サエキけんぞうのコアトーク」の企画・出演なども時代を見越し、早くからイベントを行っている。また、SNSやFBなどでの細かいフォローも積極的で精力的だ。私は彼こそ、隠れた“メディア王”だと、密かに思っている。人を信用しつつ、人任せにせず、自ら率先して動く――いろんなところに顔を出し、かつ、そこでも尖がる。大人になった“とんがりキッズ”は、常に更新を怠らない。

 

 

休憩を挟み、約3時間、「TRON岬」や「青いキングダム」、「歩きラブ」、「導火線」など、新旧の名曲を披露しながらパール兄弟がここにいることの意味をまざまざと見せつける。なんでもありながらも慎重に音や曲、言葉、モードやスタイルを取捨選択して、この世界の実相を描いて見せる。コンプライスをぶっ壊しながらアナーキーに尖がり続ける。同時にロックの新たな地平を切り拓いてもいく。パール兄弟とは、そんな宿命を持ったバンドではないだろうか。

 

 

なお、手弾きに拘る矢代の音を再現するため、影武者(!?)として演奏したジョリッツの吉田仁郎のキース・エマーソンばりの音も聞きごたえがあった。

 

 

同ライブの模様は配信でアーカイブを2023年10月14日(土) 23:59 まで視聴可能。明日までだが、時間はまだある。じっくり味わってほしい。

 

https://twitcasting.tv/andy0826/shopcart/255732

 

 

 

 

9-30クロコダイルセットリスト

第一部

1,「Warning Sign」 (トーキング・ヘッズカバー)

2,メカニックにいちゃん

3,馬のように 

4,TRON岬

5,歩きラブ 

6,アニマル銀行

7,導火線(新曲)

8,青いキングダム

 

第二部

1,らぶデカ

2,予想したい (以上ヤッシートラックと

3,田舎

4,火の玉ボール

5,ゴム男

6,色以下

7,○。○○○娘

8, 快楽の季節

アンコール1、バカヤロウは愛の言葉

2,僕らはここにいる

 

 

https://twitter.com/kenzosaeki/status/1708408046702240010

 

 

 

https://twitter.com/kenzosaeki/status/1708409691225911686