新時代のNEXT POPSを担うGOOD BYE APRIL | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

上野の桜はまだだが、花粉は吹きまくる。鶯谷の会場に入っても埃が充満し、くしゃみが止まらない。一昨日、224日(日)はフェティシュなイベントなどでも使用される“哀愁のダンスホール”、“昭和なグランドキャバレー”、“日本のウィンターランド”(!?)とでもいうべき、東京・鶯谷「東京キネマ倶楽部」で開催されたGOODBYE APRILの『GOOD BYE APRIL one-man live「他人旅行」』を堪能する。

 

切っ掛けはGliderだった。彼らが20184月、東京・三軒茶屋「GRAPEFRUIT MOON」で開催した 自主企画イベント『DARK LIVE』のオープニングアクトとして出演した彼らを見初めた。現代版ニューミュージックを標榜するGOOD BYE APRILの端正な歌と音に、根はパンク(笑)ながら、チューリップ(“福岡は日本のリヴァプールだ!”系)を嫌いではないという心と身体が反応してしまったのだ。

 

それ以来、GOOD BYE APRILのツイッターなどをフォロー。昨年11月にクラウドファンディングで制作された2nd Full Album『他人旅行』(同作の帯には財津和夫の推薦文もある)も彼らのサイトから購入、聞き込んでいた。メロディーがすんなりと身体に沁み込む。224日(日)のライブは11月から始まった新作『他人旅行』を携えての全国ツアーの最終公演である。これは行かないわけにはいかない。キャパシティ、600名ほどの会場ながら早々とSOLD OUTになるなど、彼らの人気沸騰ぶりに驚いた。

 

おそらく、敢えて説明するほどもないくらい、感度の高い音楽ファンの間でお馴染みのバンドだとは思うが、敢えて紹介しておく。GOOD BYE APRILは倉品翔(Vo & G & Kb)長野県出身、吉田卓史(G)大阪府出身、延本文音(B)大阪府出身、つのけん(Dr 神奈川県出身という4人組。2011年に東京で結成されている。

 

20128 1st Mini Album『夢みるモンシロ』全国リリース。20137 2nd Mini Album『もうひとりの私』全国リリース。20163 1st Full Album『ニューフォークロア』全国リリース。20164 渋谷WWWにて9回目のワンマンライブ「ニューフォークロア」開催。大盛況に終わる。20168 新宿LOFTにて自主企画「ニュー歌謡祭」開催。「うた」を大事にするアーティストを集めたうた祭り的イベント。20176 渋谷Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて、10回目にして初のホールワンマンを開催。追加公演を「晴れたら空に豆まいて」にて行い、両日共完全SOLD OUT。同年12月に下北沢GARAGEと品川クラブeXにて「ライブ」と「コンサート」をコンセプトにした2DAYSワンマンライブ「サーカスからの脱走」を開催。コンセプトに則った構成力など高い評価を得て、大盛況にて幕を閉じた。2018年、2nd Full Album『他人旅行』制作クラウドファンディングに挑戦、126%の大成功をおさめ、最高傑作アルバムを完成させる――以上、彼らのHPから抜粋し転載しておく。詳しくはHPを見てもらいたいが、最近は演劇集団キャラメルボックスでの舞台音楽の全曲担当や、JFN系列ラジオ番組「OH! HAPPY MORNING」への楽曲起用、その他楽曲提供、演奏サポートなど、活動の幅を大きく広げているという。完全に来ているバンドではないだろうか。

 

この日はゲスト・ミュージシャンとして、新作『他人旅行』にも参加した清野雄翔(Kb)、ぬましょう(Perc/from Manhole New World)、湯浅佳代子(Tb)、永田豪則(Tr)、山下太郎(Sax)が加わり、GOOD BYE APRILの拡大版というか、“他人旅行”の完全再現のための準備OKという感じである。

 

クラシックな佇まいの会場を埋め尽くす観客を前に彼らが登場し、ショーが始まる。そこからはGOOD BYE APRILの世界が展開される。その端正で清廉な歌や音は、整合感があり、聞いているうちに引き込まれていく。そのまま流れに身を任せると、心地よい酩酊へと誘う。チューリップといっても70年前後のフォークロック期ではなく、80年前後のニューミュージック/シティポップ期である。アルバムだと、『Upside-down』や『THE LOVE MAP SHOP 』あたりの感じだろうか。綻びと淀みがない、ポップスの魔法のふりかけ~状態だ。

 

ゲストのパーカッションやホーンセクションの参加がいい意味で音に厚みと遊びを加える。アルバムに参加したコレサワもサプライズ・ゲストとしてショーの半ばに登場し、そのほんわかとした軽みがアクセントになる。

 

同時に均衡や整合を敢えて崩すように“歌謡ロック”やベースの延本とギターの吉田という大阪府出身の二人の“掛け合い漫才”もぶち込む。“美は乱調にあり”ではないが、奥行きや深みがあるところが彼らではないだろうか。

 

2時間近いショーだったが、アンコールで、倉品は新時代の“NEXT POPSを担わしてください”と、宣言する。おまけに紅白出場宣言まで飛び出す。その心意気や良し。シャイな佇まいながら大胆な言動や行動も彼らの魅力だろう。ちょっと、頼もしく感じた。

 

充分に完成されたショーだが、まだまだ、伸びしろがありそうだ。おそらく、彼らは留まるところを知らず、安易な妥協を拒絶し、さらなる進化と深化を目指す。この夏にはミニ・アルバムを出す予定だという。きっと、その頃にはもっと、多くの方が彼らのことを知ることになるだろう。楽しみだ。

 

 

 

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