伊豆田洋之&POPS ALL STARS ビートルズ“ホワイト・アルバム”を歌う! | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

通称“ホワイト・アルバム”こと、ビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ』("The Beatles")は、1968年11月22日に発売された。今年で50年である。記念すべき年に同作を歌うイベントがあった。通称“伊豆ポー”こと、サエキけんぞうがプロデュースする「伊豆田洋之、ポール・マッカートニーを歌う」が久しぶりに4月11日(水)、東京・目黒「Blues Alley Japan」で、「帰ってきた!伊豆田洋之ポール・マッカートニーを歌う~生誕祭~」として開催された。今回は伊豆田に杉真理、松尾清憲、鈴木雄大というフルメンバー。POPS ALL STARSの揃い踏みである。
 
同作は2枚組30曲入りというヴォリューム、かつバラエティに富んだアルバムだが、「Ob-La-Di,Ob-La-Da」や「While My Gutar Gently Weeps」、「Back In The U.S.S.R.」という誰もが知るお馴染みのナンバーがありながらもそれ以上に“難攻不落”のイメージが付きまとう。それをどう解釈し、どのように再現するか、彼らの腕の見せ所だ。
 
ライブは伊豆田、杉、松尾、鈴木という4人揃い踏みで、“生誕祭”らしく、いきなり「Birthday」から始まる。すぐ杉と松尾がはけ、伊豆田と鈴木で、「Yer Blues」、「.I'm So Tired」、「Dear Prudence」と渋い(!?)ナンバーが続いていく。
 
その後、伊豆田のソロ・パートになるが、流石、伊豆田である。伊豆ポーのみならず、伊豆ジョン、伊豆ジョージ、伊豆リンゴと、多重人格(笑)を演じ分けつつも“伊豆ポー”らしさに溢れる。現実では再現不可能の“ホワイト・アルバム”のライブ・ヴァージョンを聞かせてくれる。同作の制作時に完成していたにも関わらず、同作に収録されず、ジョージ・ハリスンのソロ・アルバム『慈愛の輝き』(George Harrison)に収録された幻のナンバー「Not Guilty」までも披露される。これも現実には再現不可能だろう。“伊豆ポー”ならではだ。
 
伊豆田の多彩な音色を弾き出すピアノ芳醇さは言うに及ばず、「Piggies」や「Don't Pass Me By」などでは、ハモンドの滋味あふれる音色が“ホワイト・アルバム”に新たな色付けをしていく。
 
また、杉、松尾、鈴木が加わると、一段と賑やかさと華やかを増す。極彩色へと変わる。歌や演奏だけでなく、サエキを含めた研究の成果(!?)を発表するMCも魅力だが、松尾の「『Revolution』の歌詞に政治的なことを入れているんで、びっくりした。周富徳とか(当然、周富徳ではなく、毛沢東!)」という発言に会場も大爆笑。

当日はビートルズのナンバーだけでなく、伊豆田が本2018年3月7日にリリースしたアルバム『Rose Bloom Days』からの楽曲も披露される。同作は1984年にリリースしたデビュー・アルバム『Rosu Bud Days』の収録曲を新たに弾き語りスタイルでレコーディングしたもの。メロディーが泉の如く湧き出るメロディー工場長として、うねりとゆらぎのある旋律を紡ぐ、伊豆田の才能はデビュー時からのものであること、ビートルズの遺伝子が流れていることを再確認する。2014年にサエキのプロデュースで、リリースした『Hello Your Smile』からのナンバーも演奏。サエキと共作した新曲「Two Of Love」も披露される。サエキの言葉を選りすぐる(“溶け合う”を“FUSION”にするところは見事!)、時代を意識したラブソングに心くすぐる旋律を被せる。二人の共作によるニュー・アルバムを早くも催促したくなる。

後半に向かい、「Ob-La-Di,Ob-La-Da」、「While My Gutar Gently Weeps」、「Back In The U.S.S.R.」…と、誰もが知るお馴染みの曲を畳みかける。
 
アンコールでは今年デビュー30周年のBOXである。杉と松尾の二人ビートルズ(レノン=マッカートニー!)が歌い出すと魔法が生まれる。周年の今年に何をするか、楽しみでならない。さらに“伊豆ポー”の主題歌(!?)であるウィングスの「Silly Love Songs」を全員で披露。一気に会場が熱くなってくる。
 
同曲が終わると、バースディソングとバースデイ・ケーキのサプライズ。伊豆田は1959年4月18日生まれ。一足早い生誕祭となる。最後に伊豆田が「ダンスが終わる前に」を披露して、幕となった。終演後にはバースデイ・ケーキが会場に配られる。彼からのプレゼントである。

開演が7時30分過ぎ、終演が11時近くと、3時間超えの長時間のライブ、間に休憩の入る1部・2部制だが、それがあまり気にならない。疲れも感じていないのだ。それだけ楽しいイベントだった。
 
基本的にドラムなどを加えないスタイルを踏襲しているが、時にはドラムスやストリングスを加えたスペシャル・ヴァージョンも聞いてみたくなる。彼らが現在のテクノロジーを駆使して、彼らならではの音楽センスでビートルズなどのナンバーをアップデートするところを見てみたいものだ。彼らの“絶好調”を体感できただけに次回の伊豆ポーも楽しみだし、各々の新作も期待したくなる。
 
ちなみに伊豆田が初めて買ったビートルズのレコードが“ホワイト・アルバム”。小学5年生の時で、アルバムの通しナンバーはNo.75132」だったそうだ。ある意味、アルバム生誕50周年を記念した、原点回帰だったのかもしれない。
 
 

「帰ってきた!伊豆田洋之ポール・マッカートニーを歌う~生誕祭~」  伊豆田洋之、ポール・マッカートニーを歌う
2018.4.11(水)【目黒Blues Alley Japan】
 
出演:伊豆田洋之
ゲスト:杉真理・松尾清憲・鈴木雄大
プロデュース&司会:サエキけんぞう
 
一部
01.Birthday (伊豆田Pf・雄大Eg・杉Ag・松尾Ag)
02.Yer Blues (伊豆田Ag・雄大Eg)
03.I'm So Tired (伊豆田Ag・雄大Vo.Eg)
04.Dear Prudence (伊豆田Ag・雄大Eg)
05.Sexy Sadie (伊豆田Pf)
06.Martha My Dear (伊豆田Pf)
07.Blackbird (伊豆田Ag)
08.Rocky Racoon (伊豆田Ag)
09.I Will (伊豆田Ag)
10.エロチカ~灼きついたセクシービーナス『Rose Bloom Days』(伊豆田Pf)
11.あの日のマリー・バラード 『Rose Bloom Days』 (伊豆田Pf)
12.Hold Me Tight 『Rose Bloom Days』(伊豆田Pf)
 
トークタイム:サエキ・杉・松尾~“ホワイト・アルバム”Demo Sessionsを語る~
 
二部
01.Piggies (伊豆田Harmmnd Organ・雄大Ag)
02.Don't Pass Me By (伊豆田Hammond Organ・雄大Ag)
03.Why Don't We Do It In The Road?(伊豆田Pf・雄大Eg)
04.Not Guilty (伊豆田Ag)*ホワイトアルバムデモより 
05.Two Of Love (伊豆田Pf)*オリジナル新曲 
06.Mother Nature's Son (伊豆田Ag)
07.Helter Skelter (伊豆田Ag・雄大Eg)
08.Happiness Is A Warm Gun (伊豆田Vo.Pf・雄大Eg・杉Ag・松尾Vo.Ag)
09.Everybody's Got SomethingTo Hide Except Me And My Monkey (伊豆田Vo.Pf・雄大Eg・杉Vo.Ag・松尾Ag)
10.Ob-La-Di,Ob-La-Da (伊豆田Pf・雄大Eg・杉Ag)
11.The Continuing Story Of Bungalow Bill (伊豆田Vo.Hammond・雄大Eg・杉Vo.Ag・松尾Ag・サエキCho)
12.While My Gutar Gently Weeps (伊豆田Pf・雄大Vo.Eg・杉Ag・松尾Hammond)
13.Revolution (伊豆田Pf・雄大Eg・杉Ag・松尾Vo)
14.Back In The U.S.S.R. (伊豆田Vo.Pf・雄大Vo.Eg・杉Vo.Ag・松尾Vo.Ag)
 
アンコール
15.Girl(伊豆田Pf・雄大Eg・杉Vo.Ag・松尾Ag)*BOX曲
16.Temptation Girl (伊豆田Vo.Pf・雄大Vo.Eg・杉Vo.Ag・松尾Vo.Ag)*BOX曲
17.Silly Love Songs (伊豆田Pf・雄大Eg・杉Ag・松尾Ag・サエキCho)
♪Happy Bithday Hiroyuki Izuta♪
18.ダンスが終わる前に (伊豆田Pf)
 
※セットリストは下記の伊豆田洋之ファンサイト「ALL MY LOVING」から引用しました。
http://hiroyuki-izuta.com/
 

 

 

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