佐野元春&THE COYOTE BAND~聖なるコヨーテ達が街にやってくる | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

佐野元春&THE COYOTE BANDの全国17都市、全19公演になる「2014 秋ツアー」が始まった。


その初日、928日(日)の神奈川・クラブチッタ川崎のライブを見てきた。ツアーは始まったばかり、セットリストや詳細は敢えて、書かないが、同ツアーは結成7年目を迎えたTHE COYOTE BANDとのライブであることは書き留めておかなければならないだろう。



本来であれば、昨年20133月のアルバム『ZOOEY』のリリースとともに開催されるべきだったが、結局、スケジュールが合わず、ご存知のように同年の大半は“『SOMEDAY』名盤ライブ”と、『NO DAMAGE』の“デラックス・エディション”のプロジェクトに費やされた。両プロジェクトに関わっていながらいうのも変な話だが、本当のところ、『COYOTE』と『ZOOEY』という傑作アルバム2枚を携え、全国を巡る彼らを見たかった。





まさに私にとっては念願、待望のライブとなる。アルバム2枚あれば、コンサートができ、ツアーもまわれるというのは、昔の“イベンターあるある”だが、佐野元春の現在を確認するに相応しいツアーであるからだ。同時に彼らとともに新作をレコーディング中であるという。そんな新作の一端も垣間見れるかもしれない。そんな期待もあった。確かに「20122013ウィンターツアー」でも『ZOOEY』からの作品も発表に先駆けて披露されていたが、オーディエンスも予習が出来ていなかった。予習も充分、レコードの溝が擦り切れるほど聞いた(という気分)いまだからこそ、聞きたくなるというものだ。





会場のクラブチッタ川崎は、意外なことに佐野にとって初の場所。全国のホールだけでなく、クラブなどもサーキットする同ツアーの始まりには相応しい。オールスタンディングという中高年には辛いシチエ―ションだが、そんなことは気合で乗り切ってやる(笑)。


オープンニングは「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」。英パブロック界の俊英たちと録音した同曲を当時の彼らに勝るとも劣らない勢いと技量のあるTHE COYOTE BANDのメンバーと新たな息吹を吹き込み、続く「ヤングブラッズ」へと軽快に疾走する。



そして、同バンド誕生の契機ともなった「星の下 路の上」。THE COYOTEのナンバーのオンパレードが始まる。曲目も書き連ねたい思いもあるが、これから聞くみんなのためにも秘匿とさせていただくが、2枚の傑作アルバムから現在の名曲として、披露される。オリジナルの音をさらにブラッシュアップし、2014年というリアルを付け加えていく。





この日の佐野はいつになく饒舌だった。ウィットとユーモアをまぶしながらも本質を突く言葉も発せられる。佐野元春流も恋愛相談(!?)も秀逸だった。大事なことはメモをしておこう。





また、先日、921日(日)にNHKBSプレミアムで放送された「名盤ドキュメント 佐野元春“ヴィジターズ”『NYからの衝撃作 30年目の告白』」に触れつつも、敢えて披露せず、逆に来年には“ドロップ”されるという新曲を2曲、披露する。また、この国を闇のように覆う禍々しい状況を嘆く。誰も隣の国と争いたくないし、嫌悪するような言葉も吐きたくないはずだ。





勿論、そんなことは、すべて、曲が体現している。その歌詞に込められた言葉に改めて対峙すると、時代に拮抗していく活力も沸いてくる。と、いささか、時代めいた言葉を使用してしまったが、佐野の歌を聞くと、衒いもなく、そんな表現ができてしまうから不思議だ。考えてみれば、佐野はありきたりな言葉でさえ、その意味を更新し、活性化してきた。



アンコールは、お馴染みの曲で締めくくられたが、佐野自らいっぱい曲をやると言っていた通り、たっぷりと2時間。その密度は濃く、時間はあっという間に過ぎていく。オールスタンディングを乗り切ったオーディエンスは疲労をその顔や身体に見せることなく、歓喜と至福に包まれる。




佐野元春とTHE COYOTE BANDの「2014 秋ツアー」が始まった。聖なるコヨーテ達があなたの街にやってくる。来年2015年はデビュー35周年になる佐野元春が仲間達と作る“新しい伝説”をどこかで見届けていただきたい。



http://www.moto.co.jp/live/live_info/2014autumn/