炊飯アクシデント A Rice-Cooking Accident | zuzu's room ズーズーズルーム

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先日、炊飯中に、突如として炊飯器がブショワーーーーーー!!!!!

と聞いたこともない大きな噴出音を出した。

圧力釜だから、蒸気バルブのつけ方でも悪かったのだろうか、

と思いながらうろたえているうちに、音の方はおさまったので

安心しようとした矢先、炊飯器から生えている電源コードの

先がコンセントから外れているのが目に入った。



プラグが勝手に抜ける理由がさっぱりわからなかったが、

こいつはどうにかしなければ。

といっても、相手はプラグでしかない。

プラグは抜くか差し込む以外にどうにもしようがないから

差し込んだ。

その時まで気にしていなかったが、コンセントのソケットが緩すぎて

フカフカで、豆腐もつぶれないぐらいの力で差し込めてしまうので、

勝手に抜けたりもするものと思われた。



プラグを差しても炊飯器はうんともすんとも言わぬ。

「炊飯」ボタンを押したら何か忘れたがアルファベットと数字で

できたエラーメッセージらしきものが出るが、

そんなもんの解読はできないからなんの足しにもならなかった。

解読できたとしても、たぶん

「ここをこーしてこーしたらうまいこと炊飯が再開して

今夜もノープロブレムなおマンマが食えますゼ。」

というようなメッセージが隠されているということがあるとは思えない。

――迫りくる絶望感。



しかし筆者はそのぐらいではあきらめないのだ。

もう一度プラグを抜いて、差し込んで、炊飯ボタンをプッシュだ。

同じエラーメッセージが出た。

襲い掛かる絶望感・・・!

だが、筆者はへこたれず、もう一度プラグを抜いて、差し込んで、

炊飯ボタンをプッシュすると、同じエラーメッセージだ。

しかし、しかし筆者はそのぐらいでは・・・・!!!

というワケで5回アホのように同じことをやってみたが、

もちろん筆者もとことんアホではないので、4回目と5回目については

別に何かを期待してやったわけではない。

それでもやったのは、やはりそれほど賢い行いとも言えなかったかも知れぬ。



1、2回目は何を期待してやったかというと、炊飯が中断したところを覚えていて、

そこからまた炊飯を再開してくれること。

そしてノープロブレムなおマンマが頂けることだったのだ。

しかし、この炊飯器はどうもそういうふうにはできていないらしい。



象印のHPで確かめたら、今の圧力釜炊飯器はそういうことができるけど

古いのだとできないとあり、10年以上前に買った筆者のは古い方であった。くそう。



ここで奇跡的なのが、筆者が炊飯器のフタを一度も開けなかったことである。

炊飯が再開されるならば、再開前には絶対にフタを開けるべきではないし、

再開されないとすれば中の圧と熱を下げない方が少しでも炊きが進むはずだと

思ったから開けなかったのだが、象印のHPに、途中で止まった圧力釜炊飯器は

ゼッタイ開けてはならぬ、開けたら内容物が噴出して恐ろしいことになろう、

と書いてあった。

そういえば圧力鍋がそうだったと、そこではじめて思い出したけど、

圧力鍋を持っていないので、全然思い至らなかったのだ。

このごはんをなんとしてでもなんとかしたいという一念が

筆者を健康被害から救うことになった。

ああよかった。

顔面に火傷を負いながら四方八方に飛び散った生煮えのご飯を

掃除するのはいかにもみじめである。

ありがとう、ご先祖様とかなんか知らんがそのへんのあんたら。

イエア、南無妙法蓮華経ーーー!



とはいうものの、このご飯どうしたらいいのだろうか。

4合ものごはんを捨てるということは絶対にする気になれないが、

鍋で炊きなおすというようなことがうまく行くとは到底思えぬ。

時間から考えて、あと15分ほどで炊き上がるところまで行っていたはずなので、

たぶん水気がほとんどないはずなのだ。

そんなもんを鍋に入れて火にかけたらどんなことになるかは

火を見るよりも明らかである。

となると・・・・なんにも思い浮かばない。



どうしたらいいのかゼンゼンわからないときはどうするかというと、

寝るのが良い。

その日はサトウのご飯を食べて寝た。



翌朝、スッカリ忘れていたのに、炊飯器を見るなりうっとおしい事態を

思い出してうっとおしい気持ちになった。

とりあえず、そおっと開けてみたら、ちょっとみずみずしすぎる感じで

ほとんど炊けたルックスのごはんがそこにあった。

食べたら、もう芯はなくなっているが、モシモシした食感で、

大変いただけない。

味は間違いなくコメなのに、ちょっとのことであの美味しい美味しい

筆者の大好物のごはんがこんなにおいしくなくなるとは驚きだ。



そのとき念頭に芽生えたのは、昔の主婦の偉大さとその苦労への敬意だ。

毎朝かまどに薪をくべて火吹き竹でフウフウしながら

大家族用にたくさんの美味しいごはんを経験とカンだけで炊くなんて。

電気ナシで炊くなんて。

「ありえへんわ~。」

炊飯器を前に、ひとりごちる筆者だ。

これがこの日の筆者の第一声であるというのがまた情けない。

筆者も2合ぐらい鍋で炊くことがないでもないが、炊飯器で炊くよりおいしいということは

結局ないし、シャレでするマネであって毎朝の必要からするなんて考えられない。



で、このごはんであるが、もう一応中まで煮えてはいるのだから、

これ以上そんなに炊く必要があるわけではない。

蒸籠で蒸したらいいかもしれないが、4合ものごはんを一斉に蒸せる蒸籠は持っていない。

お粥にしようかな、と考えたが、4合ものごはんを粥化した日には

出来上がりが15リッターぐらいになってしまう。

「ありえへんわ~。」

またコレである。

そもそも、筆者はいつもごはんを4合炊いて、 保温モードにした炊飯器に

入れっぱなして数日間かけて食べるので、炊飯器がごはん入れでもあるわけなのだ。

ゆえに、冷えてしまった大量のごはんを、保存する手段も持たない。

冷蔵庫にも冷凍庫にもそんな余裕はない。

ここまで考えて、気が付いた。



7パラグラフ前ぐらいから気付いていて、イライラしていた人がいるかもしれないので

そういう人にはとりあえず謝っておく。

すまぬ。筆者、バカで。

しかし筆者はここでやっと気が付いたのだ。

今から保温モードにして、ごはん全体が温まったらば、しかもそこから

数日間も保温モードにし続けたらば、加熱していることになるんでは・・・。

さっそくフガフガのコンセントに差し込んで、この炊飯器を買って以来の10年で初めて

「保温」ボタンを押し、夜ご飯の時に開けてみたら

アツアツになっていて、しかも十分ガマンできる程度の食感に仕上がっていた。

問題解決である。

めっちゃうれしかった。



しかもだ。

いつもは日が経つにつれ少しずつ美味しくなくなっていく

炊飯ジャーのご飯が、4日後に食べきるまで、日に日に美味しくなったのである。

結果からいうと、美味しいごはんを食べられた期間が、

普通に炊けたときよりも長かったのであった。



人生とは何があるかわからないものだ。



ところで後から気付いたが、コンセントが抜けて
噴出音がした意味は、その時開けても大丈夫なように
炊飯中断→緊急減圧
という機構を組み込んであるということかも知れないな。
つまり、買ってからこの日まで10年使う間にも起こらなかった
ような事態を想定しての安全機構が、買ってから10年後、
想定した事態が発生した時、きっちり働いたのだ。
捨てるまで必要なかったかもしれないこのメカニズムが。
…と思うと泣きそう。
ああ、すばらしい機械。
すばらしい設計者。


もちろん、途中から炊飯再開できる方が嬉しかったが。
でもそれだと感動まではしなかったな。勝手な話であるが。