いかがでしたか台風の調子は。
高台に建つ軽量鉄骨のアパートに住む筆者は
あんまり心配ないはずなのだが、すぐそばにある
実家は谷底近くにあって築51年で過去には鉄砲水による
がけ崩れで庭が3分の1ほどなくなったことがあるので
心配で心配で。
とりあえず今回も大丈夫ではあったが、残る人生もずっと
台風や地震の心配をしながら生きていかなければならないのかと思うと
本当に財産とはめんどくさいものだ。
穴居していた原始人だったころに戻りたい。
さて、この夏が始まった頃、筆者はえらいことをやらかした。
ケンコーコムで炭酸水を買ったのだが。
これまでは近所の酒類量販店で買っていたけど、1.5リットル×6本
を持って帰ってアパートの2階まで運ぶと、必ず翌日右ひざが痛くなるので、
あ、そうか、通販で買えば済むことじゃん、と気づいて楽天市場へ。
いつものメーカーの炭酸水が見つかったので、数量のところに
「6」
て入力して会計を済ませてナニゲに暮らして3日。
ヤマトのお兄さんがめずらしいほど巨大な段ボール箱を持って玄関先に
登場だ。
いつも駆け足で階段を上ってきて、さわやかにハンコを要求する彼が、
その日は息を切らしている。
段ボール箱のあまりの大きさに、筆者は手渡されることを
無意識に拒否し、ドアを開けて廊下を指さし、
「あそこに置いていただいて・・・いいですか・・・?」
とお願いした。
お願いしつつも違和感にさいなまれる筆者に、お兄さんがさらに
「これが、あと2つ。」
と告げた。
「えええええええええっっっ????!!!!!」
ぜんぜん意味がわからないが、送り状には確かに筆者の名前がある。
(なんかやっちまったかな~~~?)
やっちまったか、ケンコーコムが間違えたかのどちらかであることは
間違いない。とにかくヤマトのお兄さんには何の罪もないのだが、
あと2箱持って上がってきてもらうしかない。
「覚えないんですか?」
ボーゼンたる筆者の表情に気付いたお兄さんが
親切な調子にて尋ねてくれた。
このお兄さんで良かった。佐川急便のムッツリ兄さんだったら
とてもこんなに優しい言葉はかけてくれまい。
佐川急便のムッツリ兄さんは、もしかするとゼンゼン怒っていないのかもしれないのだが、
筆者の基準からすれば怒っているとしか思えぬ状態が常なので、
彼が荷物を持ってくると、筆者はいつもどこか委縮してしまう。
だから、こうした事態で兄さんが怒るかどうかはともかく、筆者は怒られたと感じるに違いない。
やっちまった上に配達の人にも怒られてしまったら
筆者涙が出ちゃう。だって女のコ・・・すまぬ。
汗だくのお兄さんに謝りつつドアを閉め、検分を開始する。
狭い廊下に巨大な段ボール箱が3つ置かれてえらいことである。
まず1箱目をあけると、くだんの炭酸水が・・・・
(1.5リットル×6本)×2パック
入っていた。
・・・やっちまってるわ。
なんとなく分かってきた。
でもまだケンコーコムの間違いである可能性も捨てきれぬ。
念のため楽天市場で購入履歴を確認したところ、
1パック 1.5リットル×6本 を 「6つ」 注文していた筆者だ。
1.5リットルを6本欲しかっただけなのに、アホである。
疑って、ケンコーコム、すまぬ。あんたはあんまり間違わんわね。
つまりヤマトのお兄さんはひと箱18㎏を3回持って上がって来てくれたのだ。
筆者の呆けた行いのために。
さっきの謝り方が全然足りない気がしてきた。
あらためて、すまぬ、お兄さん。
せめて心の中でそう思っておく。
それにしてもこの段ボール箱は大きい。
開けて分かったが、(1.5リットル×6本)×2の体積の1.5倍ぐらい大きいのだ。
巨大な段ボール箱と内容物の隙間には緩衝材がワサワサと
詰め込まれている。
なんか、逃げたくなった。
1.5リットルボトルを36本も、どうすればいいのだろうか。
返品は論外だ。あまりにも面倒だし、ヤマトのお兄さんに合わせる顔もないし、
そもそも自分のミスだから返品が可能とも思えない。
しばらく呆然と佇んでいたが、決めた。
このアパートに引っ越してきてから一度も使ったことのない風呂場に置いておくのだ。
そして、今、この場でただちにそれを行うのだ!
というわけで、ただちに実行した。
どんな災害が来ても飲料水にだけは困らない筆者になった。
いざとなったらこれでシャンプーなんかもできるかもしれぬ。
トイレもこれで流せるかも。
そう考えると心強いが、そもそもケンコーコムで買ったのはこの1パック9kgを
運びたくなかったからなのに、距離は短いとはいえ、
全部で54kgも運びまくることになってしまった。
しかもそれで片付いたのは中身だけなのだ。次に立ち向かうは緩衝材の山だァ!
一つ一つ全部カッターで切り目を入れて脱気し、
プラスチックごみ入れに・・・入らないからプラスチックごみの日まで
ベランダに置く。
こんなにたくさんの緩衝材を見たのは生まれて初めてだ。
無論この過程で手も切った。筆者としてこれは当然の始末だ。
段ボール箱は大きすぎて紙ごみ置き場に入らなかったので、
ここから2週間ダイニングに置くことになったのはちょっとうっとおしかった。
週2回の出社日、ランチ中にこの話をしたら、
男子社員は炭酸水をたとえ1本でも買うことの意味がわからん、という様子であった。
炭酸水って、女子しか買わないのだろうか??
それから、女子社員には
「なんで、支払金額でおかしいと思わんの??」
とあきれられた。
そうなのだ。
1900円のはずが7000円みたいな話になっていたのに、マヌケすぎである。
こうして始まった筆者の夏も、そろそろ終わりである。
炭酸水はまだ27本ある。
