リモコン  Remote Controller | zuzu's room ズーズーズルーム

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毎日毎日、この人らがいなかったらとても

生きてはいなかったろう、というほどの

世話になっているヘルパーさんであるが、

家の中にいろんな人が出入りすると、

思いもかけないことが起こるのも事実だ。



そんな思いがけない事件のうち、

最も近々に起きた事象を言う。



毎週月曜日はバアさんが家でお風呂に入れてもらう日だ。

ヘルパーさんは来てくれるとまず浴室暖房のスイッチを入れ、

入浴の準備を整え、バアサンを誘導する。

バアサンが風呂場に入った頃には浴室が温まっている。

・・・はずなのだが、いつまでたってもイマイチ温まらない、という訴えがあった。

しかもずいぶん前から黙って困っていたという。



実は筆者はお風呂は必ず実家か近所の温泉で入って

アパートでは入らない。

つまりほぼ毎日実家の風呂に通っており、

浴室暖房の恩恵に浴しているのだが、

ダマされてウチの浴室には大きすぎる容量のを買ってしまった

大阪ガスの「カワック」の威力はすさまじく、真冬でも「強」では

自然界にはないほどの暑さになる。



カワックを設置して10年になるが、このように暑すぎることはあっても

ヘルパーさんの訴えにある

「いつまでたってもイマイチ温まらない。」

などという事態には遭遇したことがないのだ。



しかし、かなり前から黙って困っていたという訴えを聞くと

気の毒千万なので、ある月曜、仕事を早めに切り上げて

入浴タイムが終わる頃に様子を見に行ってみた。

その夜、暖房は快調に運転しており、風呂場の暑さはもうアマゾン。



ヘルパーさんが言うには、

「今日はなぜかつきました。時々はつくのですが、大体はつきません。」

という。

筆者は「つかない」というのをかつて一度も味わったことがないのに

なぜヘルパーさんのときだけそうなってしまうのか。

機械の調子が悪くなりかけの頃に、症状が出たり出なかったり、というのは

よくあることだ。

そんなとき修理に来てもらっても、たいていは保守員のいる間は

ゼッタイに調子悪くなってくれず、

「調子悪いときでないと直せないんで。」

とか言って帰られてしまうのが世の常である。

今回、もしかすると筆者がその保守員の役回りになっているのだろうか。

そう思うと解決のしようがないような気がしてほぼ絶望した筆者であるが、

とりあえず毎日やっているようにリモコンをホルダーから取り出し、

本体に向けていつものように操作してみる。

他にどうしようがあるというのか。



運転中だったから、消してみる。→消える。

つけてみる。→つく。

強にしたり弱にしたりしてみる。→強になったり弱になったりする。



お・て・あ・げ。

おてあげだ。

(お・も・て・な・し。おもてなし。の言い方で。)



それを見ていたヘルパーさんが、突然言った。

「あ、そうやるんですか??」

―詳しい内容を説明しよう。

ヘルパーさんは、これまでリモコンを機械の方に向けずに、

浴室の外の柱に設置したリモコンホルダーに入れたままの状態で

ボタン操作していた。

ということである。



試しに筆者がホルダーのままやってみたら、届かなかった。

向きとして、信号は天井に向いて飛ぶし、天井から反射するとしても

ユニットバスの断熱材を纏った金属製の壁ごしにはそりゃムリである。

「でもリモコンの表示がちゃんと変わるから!!」

とのことであるが、電波が届こうが届くまいが、どんな指示を出したか

を表示するのがリモコンの仕様である。

ウソはつかぬ。

一瞬 「なんじゃそらあ?!」 とは思ったのである。

しかし、考え直した。

ヘルパーさんは一生懸命悩んでガマンして、困って、

おそらくは母に 「寒くないですか、大丈夫ですか?」 って聞きながら、

心配しながら、この冬じゅう月曜ごとにそれをやってきてくれたのだ。

直接お湯を浴びるわけでない自分も相当に寒かったに違いない。

そして、とうとう思い切って訴えてみたわけである。

それなのにまた今、目の前で 「すみません~!!わからなくて~!!」と

謝ってくれている。

これではやっぱり気の毒すぎる。

何と言っていいかわからなかったが、なんとか言わねばならぬから、

長い間悩ませてすみませんでした的な内容で

こちらからも謝った。

ああよかった、このヘルパーさんがいい人で。

これがもっとプライドが高くて謝れない系の人であったら、

こちらも反感を持って終わっていたかも知れぬ。



とりあえず、浴室暖房の件は解決して大変に良かったという話であるが、

しかし、そうなると、逆になぜ時々スイッチが入っていたのだろうか。

それを考えると夜も眠れなくなっちゃう。

という昭和の大ヒットギャグを覚えている人も減ってきたことだろう。

かくいう筆者も発明した漫才師の名前は思い出せぬ。



ところで、この浴室暖房機は「カワック」という名だけあって

本来は浴室乾燥機である。

暖房でも不必要な暑さになってくれるが、浴室乾燥をオンにすると、

50℃ぐらいなってしまうので、ポンプ式のシャンプーなどは口から

ダラダラ出てきてしまうし、一度など浴室で洗濯物を乾かしているときに

飼い猫が入って死にそうになった。

ある日、浴室乾燥機運転中の風呂場の中からか細い声で

にゃー

というので、開けてやったらフッラフラで出てきて、

やっと居間まで歩いてバッタリ倒れ込んだ。

息子とも王子様とも見なしていつくしんでいる猫の一大事である。

お水を口元まで持って行ってやると、頭だけ起こして

力なく、しかし大量にペチャペチャやったが、

まだ肩で息をしている。

(余談だが、猫が肩で息をしているのを見たのは後にも先にも、これっきりである。)

しかししばらくウチワであおいでやっていると、徐々に落ち着き、

その後ゴハンを食べたりしてすっかり元気になった。

やれやれである。

猫は砂漠の産で湿度が低いのが好きだということであるが、

あの猫は本当に浴室乾燥機が大好きで、

浴室乾燥し出すと決まって風呂の前に座って筆者を見上げ、

「入りたい。」

というので、その日も入れてやったわけだが、

いつも薄目に開けておく扉が何の拍子か閉まってしまったらしい。

そんなにフラフラにならないうちに言えばいいのに、アホか、

と、元気になったので、言えた。