黄金の身分証明書が傷付く その3 My ID Card Gets Scarred: Vol. 3 | zuzu's room ズーズーズルーム

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(前回までのあらすじ)

善良ドライバー・筆者を取り調べ横丁に

誘導した警官は、「申し訳なさそう顔」にて

検挙トークを開始するのだった―。


* * *


 「あそこ一旦停止なんですよ~。」


そんなことは百も承知だ。

だから筆者の車はそこでほとんど停まったではないか。

一旦停止線がなくて誰がほとんど停まったりするものか。

こんなわかりきった発言に返事をするのもアホらしいが、

先述のように、警官個人を攻撃する気持ちは持たないので、

失礼にならぬよう返事はせねばならぬ。


 「一旦停止したつもりだったんですが。」


と答えた。

別にこれで言い逃れをしようとしているのではなく、

事実をそのまま答えたまでだが、警官は


 「そうですか。でも一旦停止というのは完全に停止して一旦停止になりますんで。」


職業柄こんなあり得ない悪文を聞かされるのは神経に応える。

赤で思う存分校正してやりたい。

「完全に停止」

と言うが、筆者の車は何度も時速0キロになっていたはずである。

3秒ほどの間に0.5秒ほどのマイクロ停止を3,4回は行っているのだ。

だが、そういうのは法律の 「一旦停止」 の定義にははまらないということだろう。

では何秒停まれば一旦停止だというのか。

その定義をもっときっちり世に知らしめる努力を、警察は行なっているだろうか。

もし、その定義をもっときっちり世に知らしめる努力を警察が行なっている

ということがあったとしても、少なくともその事実をきっちり世に知らしめる努力を

しているところは、筆者は見たことがない。



いずれにしても、筆者は自分の運命は受け入れているのだ。

何より筆者にはY子との待ち合わせ時間に間に合いたいという

強い思いがある。

こうなったら手続きを一刻も早く終わらせたいから

議論するつもりは毛頭ない。

それなのに、警官はしつこく


 「あそこが一旦停止なのは知ってましたか?」


とか、その他筆者には意味があるとも思えぬ質問を重ねるのであるが、

なぜだ。

とっととキップ切らんかい。



(続く)