ドアの郵便受けに佐川急便の不在連絡票が入っていたのだが、
送付元に覚えがない。
電話して確認しようと思いつつ、用事をしていたら
少々お腹が痛くなって来た。
あまりお腹が痛くなるタチでもないのだが、10日ほど前にも
友人と散歩中に痛くなったりして、
気温が乱高下するから体調が追いつかないのかもしれない。
切羽詰まった、というほどではなかったが、お手洗いに入り、
まだ座らない内に ”ピンポン” と来た。
再配達の間隔としては異常に短いが、しかしこれは佐川急便に違いない。
症状にはまだ余裕があったから、
トイレから出てインターホンに出ると、
フワフワしたおばさんの声で、
「ナントカの生活の会、というお話をさせていただいて回っているんですが。」
と、聞いたこともない会の名称を告げてきた。
宗教ともマルチとも判別がつかず、
もしかするとものすごくイイ話を聞かせてくれる可能性もゼロではなかったが、
まあゼロだと思うが、とにかく
トイレを断念してまで聴きたい話とは到底思えなかったので、
「すみません、今おナカ痛くって、トイレから飛び出てきたんですが、
そういうことでしたらトイレに戻りたいと思います。」
と説明したら、おばさんは、
「は???」
と面食らった後、
「あ、すみません。」
と引き下がってくれた。
ところで、筆者はトイレでダイを行うと、すかさず掃除をする。
別に見て分かるような汚れが付くわけではないが、
便座の裏表、便器本体の縁の上面および内側側面、シャワー射出口近辺を
便座除菌クリーナーにて一回一回掃除しないと気が済まない。
というのも、シャワートイレの水というものは、どこに飛び散っているか
分かったもんではない、と思うからであり、またそう疑うのが妥当であるからである。
これを筆者以外のシャワートイレユーザーも全員やっているのかどうか、
確かめたことがないからわからないが、多くのユーザーがやっているのではないか、
というのが筆者の予測である。
とどまるところを知らず進化の続く温水洗浄便座であるが、
今後はこの ”飛び散り不信感” をゼロにする方向に未来化していってほしいものである。
また、当然ながらその開発は、筆者が買える金額での販売を念頭において
行なわれなければならぬので、そこのところをよろしく頼みたい。
ここにこのような貴重な提案を投じてくれた当の筆者が買えないというような
事態にしかできぬようでは、到底、開発成功とは言えぬ。
さて、そういうわけだから、本日も掃除をしながら
何とはなしにさっきのおばさんの、あの
「は???」
という純粋な混乱について考えた。
宗教の人、新聞の勧誘、セールスの人など、
これまで様々な人々をインターホンにて門前払いにしてきたが、
筆者はどちらかというと、「それなら仕方ない。」 と相手に納得させる
拒絶法を採る方であり、これまで
「は???」
などという返答をされたことはなかった。
少し気になる・・・。
いや、納得はしてくれていた感じではあるのだが・・・??
:
:
:
ふうむ、そうか。
本当のこととはいえ、あれはちょっとダメな方法であったかも知れぬ。
何もあんなに赤裸々に説明しないでも良かろうに。
もっと上品な言い方をすべきであったと気がついた。
掃除を終えるころ、筆者の尾籠な頭脳がたどり着いた
上品な方法は:
「すみません、今ちょっと体調が悪いので、今日は失礼します。」
である。
できればコレでやり直したいが、これを言うためにおばさんの再訪問を
期待するもの申し訳ないから期待するのはやめておく。
それに、今度これを言ったら、もうおばさんに
体の弱い人と思われてしまう。
もし良い宗教の人だったらどこかで筆者の体調が良くなるよう
祈ってくれてしまうかも知れない。
そんなのはおばさんに気の毒だし、おばさんの神様にウソを見抜かれて
悪印象を持たれるのは、知らない神様でも、やはりなんとなくイヤである。
ところで、佐川急便であるが、その後電話するのを忘れていたら、
それから数時間経って再配達に来てくれたのだが、
やはり宛名はどこからどう読んでも筆者の氏名とは似ても似つかぬものであり、
差出人も聞いたことも見たこともない人物であった。
そう伝えたのだが、配達員のニイチャンはなかなか納得せず、
でも、住所は間違いないですよね、だの、筆者がしていない電話を
でも、電話があったっていうことなんですが、だの頭の固いことを言って
諦めないので、先ほどの
「トイレから飛び出てきたんで一刻もハヤク戻りてー。」
は、今こそ持ち出すべきかもしれぬ、と思いかけたところで
帰ってくれた。