おとといのことだ。
スーパーに行ってみそ汁の具を物色していたら、
アサリが50%オフになっていたのだ。
元の値札が450円だから、たった225円で十分すぎるほどたくさんの
アサリを手中におさめ、たっぷり数日分のアサリのみそ汁を・・・
と思うと心中笑いが止まらない。
賞味期限当日であったが、翌朝のブランチに使うつもりで
砂出し開始だ。
パックを開けるとそこはかとない生臭さが鼻をついたけど
無視である。
今から洗って砂出しして、明日になれば生臭さも取れていることだろう。
洗って塩水につけるとまもなくアサリのやつらが水管を出し始めた。
ホラ、ぜんぜん生きてるし。
賞味期限は今日中なのだし、問題あるはずない。
それから用事を片付けて、2、3時間後に見ると砂を吐いている。
着々と砂出しプロセスが進行している模様だが、
先ほどの生臭さが一応は気になったので
用心のため水を変えてプロセスを繰り返すが良かろうと考え、
水を捨てたらなんか始めより強力な悪臭が。
非常にイヤな予感がする。
しかし、何と言っても本日はまだ賞味期限中であるし、
こいつらどう考えても生きてるし、悪くなっているはずがないではないかと考えたくても
もう悪くなっているとしか思えないけどそんなことないハズだと気を持ちなおして
水を替え、さらに用事を済ませて2,3時間後、様子を見に行く。
死んでいるのが混じっていて、ソイツが悪臭の元かも、と思ったから
細心の注意を払って観察したが、全員生きている感じである。
てことは、サスガに今回はもう臭くないかも、と水を捨てると
激しい悪臭が!!!
これはもう食材に許される匂いではない。
―どうすればいいのだろうか。
決めた。もう一度だけ水を替えて明日の朝までおいておこう。
今夜はもうとっくに寝る時間である。
朝が来る。
起きるや否や、おそるおそる台所へ向かい、
アサリのボウルに近づく。
水面近くに顔を近づけると、そこはかとない悪臭が。
予想はしていたが、ガッカリである。
余談だが、水の遮臭力は大したものである。
水面で「そこはかとない悪臭」だったものが、
水を捨てるやいなや途轍もない悪臭に変わった。
生き物がとことん腐ったようなとんでもない悪臭なのである。
なぜに生きている貝からこんな臭いがしてこないといけないのだろうか。
でも、茹でたら臭みが取れたりして。
そんなはずあるわけもないが、ワラにもすがる思いでそう思うことにする筆者。
どう考えてもここであきらめるのは225円が丸損である。
それにだ。
と、一方で筆者は冷厳なる現実と向き合い始める。
・・・捨てるにしても火を通しておく方が扱いやすい。
鍋に水を入れて茹で始める。
ぎゃあああ、クサイ!!!
湯気が立ち始めるころ、筆者の台所が想像を絶する地獄の悪臭に猛襲された。
わわわかりました、すみませんでした。捨てます捨てます捨てます。
あまりの悪臭に独りであやまり始める筆者。
茹で汁を流し、ジップロック®フリ-ザーバッグの使い古しに
悪意の湯気をもうもうと立てるアサリを入れて
密閉し、さらに一回り大きなジップロック®フリ-ザーバッグの使い古しに入れて
密閉したところ悪臭は遮蔽された。
ハアハア。
使い古しになってもまだ機能を果たすジップロック®を頭の片隅で
称賛しつつ、肩で息をする筆者。
さっきからフルスロットルで鋭意運転中の換気扇が漂う悪臭を
除去するのを心の底から待つ。
さて、このジップロック®二重閉じ込め悪臭爆弾の今後について案を捻出せねばならぬ。
というのは、燃えるゴミの回収は3日先だからである。
こんな生物兵器を夏の盛りに3日もゴミ箱に入れておくことはできない。
非常に不本意ながら冷めるのを待って冷凍庫に入れた。
筆者の小さな冷凍庫のスペースを一部といえどもコレに占領させるとは
これ以上にくそ憎憎憎憎しい話があろうか。
ああ不本意な。
半額アサリと戦い終わった筆者を徒労感が襲う。
たった225円を惜しんだために225円プラス塩大さじ3杯その他ガス代や労力、
そして何より精神力をムダにしてしまった。
単にあたりが悪かったのだろうが、この1回で筆者は懲りた。
当分貝のセール品は買わない。
仕方がないから人からもらった 「ごぼう」 って書いてあるインスタントのみそ汁
を飲んだけど、なんかもうゼンゼン美味しくて、簡単で、
またもさっきの徒労感がちょっとだけ戻って来てしまった。