しばらくヒマだったので死ぬほど毎晩
ホタルを見に行ったりして
いろんな知り合いや友人と会ったりして、
遊び人生活を送っていたのだが、
だんだんと仕事が立て込んできた。
今日もずーっと座りっぱなしである。
このへんでやめてそろそろご飯というわけなのだが、
さっきからお隣で異変が起こっているのだ。
1時間半ぐらい前に郵便配達の人が来て
「○○さあん!!郵便局です!!○○さああんッッ!!!!」
と漸次キレてゆく声にて必死で呼びかけるのだ。
豪華マンションならいざしらず、2DKのアパートで
そんなに呼んで出てこないなら不在に決まっていると思えば
よさそうなものだが、なぜに?!というぐらいデスパレートな
呼びっぷりなのだ。
結局は、不在らしい、と思ったのか一旦静かになったので
静かに立ち去ったのかと思っていたら、
40秒ほどおいて、また
「○○さああああああんんんん!!!!!!
ゆうびんきょくですううううううっっ!!!」
と大声を出す。
いないに決まってるのだが。
電灯も点いていなかろうに、居留守を疑っているのだろうか。
声の感じからまだ若人と思しきこの郵便局員は
その後 「○○さあああんんんッ!!!」 のときと同様の大声にて
「なんでや!!なんでおらへんねん!!
なんで今日はこんなんばっかりやねん!!
もうイヤや!!なんでなんや!!!
なんやねん!!!なんやねん!!!」
と、泣かんばかりに地団太を踏み、不平の言葉を次々と
口にしながらバイクまで戻り、
ブルン!!!!ブロロロロロロロrrrrrrrr!!!!!
というバイクのエンジン音までもをやるせない怒りに震えさせつつ
帰って行った。
後に残ったのは、一部始終を聞かされて独り机の前で動揺する筆者。
どどうしたどうした?
一体どうしたというのだ?
郵便受けに入れられないということは、書留なのだろうか。
それにしても郵便物ぐらい今日渡せなくてもいいではないか。
なんか大分タマってるみたいでかわいそうではあるが、
独りごとであんなに怒っている人というものが恐くもあり、
仕事をしながらもしばらくは
(帰りにムシャクシャして誰かを轢いたりしていないだろうか。)
などと心配する筆者であった。
それから約1時間半、そんな心配な気持ちが薄れかけていたつい先ほど、
またもやアパートの軽量鉄骨の階段をガンガンに鳴らして上がってくる足音が。
この、初めからすでに怒っているような足音はもしかして、
と思ったら、案の定
「○○さあああああん!!!郵便局ですー!」
と来た。
ただし、今回の声は先ほどの若人とは違って50から60歳といったおじさんである。
これはタダゴトではない。
たった1時間半で次のシフトのおじさんが来るなんて、
どんな郵便物なのだろうか。
タダゴトではない、では済まぬ。
なにしろ○○さんはまだ帰ってきていないのだ。
「○○さあああああん! ○○さあああああん!」
先ほどの若人ほどではないが、このおじさんも怒り気味である。
「○○さあああああん!!!!」
だがいないものはいないのだ。
おじさんは呼ぶのをやめ、やはり何やら一人で怒りの言葉をつぶやき、
しばらくして立ち去った。
なんなのだ。
一体全体何が起こっているのだろうか。
不在なぐらいで2名の郵便局員がこんなに怒るということは、
○○さんはこの時間、在宅しているべきだったらしいが、
それならいない方が悪いんだからそんなに必死にならなくてもよいのではないか。
あるいは明日に回せないほどものすごい郵便物とは一体・・・・!!!
筆者の想像を掻き立てまくる椿事、と言いたいが、
そんな郵便物の正体など想像もつかないから
ぜんぜん空想が広がらない。
でも、いましがた珍しくパトカーが何かを追跡して
山の後ろの道を走って行ったのを聞いたときは、
”ストレスで自暴自棄になった郵便局員がパトカーの静止も聞かずに
「なんでおれへんのやああああ!」
と、泣きながら怒りながらバイクを爆走させてしまっているところ”
を想像することはできた。
二人の郵便局員が今頃おうちで
おいしいご飯でも食べて気分を治していることを
願いつつ、ごはんを食べようと思う。
ああでも、また来たらどうしよう。
それまでに○○さんが帰ってきますように。
って筆者の知ったことではないが。