叔父の遺品の中で最も大きなウエイトを
占めていたものは、写真だ。
なにしろ87年分の記録であるから、えらいことなのだ。
昭和初期から始まる叔父の人生を写した
これらの大量の写真を、遺品整理の中で改めて見直した遺族である。
そこには以下のような発見があった。
一、叔母が超絶イイ女
筆者が十分に客観的な観察力を持ち、かつ女の真の魅力が理解できる
年令に育った時点で叔母はすでに60才を過ぎていたため、筆者の
叔母の容姿に対する評価は
「はでやかで華のあるおば様」
であり、”キレイ”はちょっと違う感じがしていたのだが。
それが。
全盛期の叔母が、これほどまでの女ぶりであったとは・・・。
無理のある仮定ではあるが、
叔母の女盛りに筆者が男だったら鼻血ブーである。
ファッションセンスから態度まで、すべて
とても一般市民とは思えないその様子。
銀幕のスターになっていてもおかしくない逸材だ。
絶対的な評価として美人かといわれれば、
やはりそういうわけでもないのだが、
目鼻立ちがはっきりしていて、体つきは肉感的で肩幅があり骨太で
肌色が薄く、根性が座っていそうなところも相まって
ロシア人女性の雰囲気もそこはかと、
奥深い魅力と色気に満ちているのだ。
なんだってこんなのが若いうちからとっとと嫁に行ってしまうのだ。
嫁入り後に全盛期が来ている感じであるので、筆者だったら
自分はもっと上狙えたかもと思ってしまいそうであるが、
叔父は買った株が高騰したような気がしていたかもしれない。
チキショー、うまくやったなコノ。
実のムスメである従姉は
「なんで(自分は)もうちょっとこういうふうにならへんかってんやろ?」
と小首を傾げていた。
筆者は血が繋がっていないから悔しがらずにすんだ。
二、若い頃の祖父が世界のナベアツに激似
顔立ち、ヒゲ、スーツ、しかも、ああ、なぜだ、
ヘンな具合に盛り上がった髪型の、その盛り上がりようまで
世界のナベアツに似ようと努力しているとしか思えぬ始末であるが、
年代的にそんなわけないから、考えられることはあと一つのみ:
世界のナベアツが何らかの方法で我が祖父の写真を盗み見て
丸パクリでキャラ設定。
いや、これも多分違うから、非常に信じがたいことだが
やはり他人の空似なのだろう。
それに、もしナベアツが祖父をパクったとすれば、お笑いの世界と
何の関係もなく真面目に暮らしていた祖父のマジメなスーツ姿を
ナベアツが見て、
”オモロー”
とか感じたことになる。
この筆者の祖父に対し、そんな失敬千万な感想を持ったとすれば、
マゴとしてヤツをこのままにしておくことはできない。
いや、待て待て、熱くなってはいけない。
こいつは筆者の考えすぎであった。
読んでないと思うが、読んでたら大変だから、
ナベアツ、いや桂三度に謝っておこう:
「ゴメンゴメン、誤解こっちでもう解いたから。」
―それにしても、真剣に正装したらこれほどまでにお笑いキャラに
似てしまうことがあるなんて、人生の油断のならなさハンパねえ。
その三は次回に続く。