(前々回より続く)
さて、キズの縫合が終わり、イソジンを拭き取り、
あとはおばちゃんが防水シート付き絆創膏を貼ってくれて
めでたく処置終了となった。
不思議とこのケガは初めからほとんど痛くなく、
縫合後は縫い目の方が痛い感じがしたが、
まあどうということはない。
ホッとしたのもつかの間、おばちゃんの口から超難題が
突きつけられてしまった。
「ココ、濡らさんようにね。」
エエ?! いや、そらそうか。 し、しかし・・・!
恐る恐る尋ねる筆者
「濡らしたらどうなるんですか・・・?」
「そら濡らしたらバイキン入るし汚いし!」
さらに恐る恐る尋ねる筆者
「濡れてしまったらどうしたらいいですか・・・?」
おばちゃんは一瞬返答に困る。
こんなにも最初から濡らさない約束ができない患者は少ないのかもしれない。
「・・・濡らしたら~~~・・・消毒して絆創膏貼りなおして・・・・」
エエッ、コワイ。
こんな縫いたてのものを自分で見るなんて。
やっぱり濡らさないようにせねば。
レジが閉まっているため保証金五千円を支払い、帰路につく。
斜めに曲げなくて良くなったので、右手もほぼ普通に使えるようになった。
帰って実家の風呂掃除と自分の入浴を行ったところ、
どんなにガードしても濡らさないことなど所詮ムリであることが判明した。
翌日は同病院にて老母の診察日であったので、
ついでに
払いすぎた治療費を返してもらいに会計に行ったら
足りてなかった分をさらに取られてしまった。
よく考えたら外科手術したんだから当たり前だったかもしれないが、
医療費と言えば高齢障害者である母のよんひゃくえんとかしか
知らなかったもので、ショックであった。
そして、もらった診療明細書にはいろいろと興味深いことが
書かれてあった:
その一: 深夜料金
深夜料金!?!? まあ、そりゃそうか。
その二: 投薬料
抗生物質を飲まないとバイキンに勝てないから仕方ない。
その三: 深夜手術料金
手術料金て、「深夜料金」と「ノーマル料金」があるらしい。
いいけど、じゃ、”その一”の「深夜料金」てのはなんなのだ。
「深夜」という一要素で二回チャージしてあるようにしか見えないのは
筆者がド近眼で乱視で老眼だからだろうか。
その四: トリアージ実施料
これが全くの意味不明である。
トリアージって客が、あ、ケガ人が大量発生したときにやることではないのか。
あの夜、他に客いなかったのに、トリアージも何もないではないか。
もし、強いて誰かがトリアージらしきことをしたとすれば、誰がしたかというと、
このアタシだ。 このアタシが
1. このキズは病院での治療が必要
2. このキズは整形外科医でOK
ってこっちでもう決めてあげたではないか?!
だから、トリアージ実施料てのはこのアタシにくれないとな。
それとも、受付のおっちゃんと看護師のおばちゃんが
異口同音に尋ねてきた:
「何で切ったんですか。」
「いつ切ったんですか。」
「深かったらヨソへ・・・」
というやつがトリアージか?
もしそうだとすれば、そんなのは医療行為にあたりまえに含まれる部分としか
思えない。
満員のレストランで
「何名様ですか」
「おタバコ吸われますか?」
「すみません、お二人のお席がご用意できましたので
先にご案内いたします。」
と言ったことで
「席決定料金」
を加算したりしないのは、それがレストランのサービスに
必然的に付随するものだからなのだ。
それに、もし筆者があきらめてヨソの病院に行っていたら
トリアージしたのにトリアージ料を払ってくれるべき患者がいないことになる。
どうなっているのだ。
最近、医療費を支払うと明細書をくれるが、
どんなに内訳を詳しく書いてくれたって、内容が意味不明なので
あんまり意味がないような気がする。
まあしかし、全体としてはそりゃあもうゼンゼン感謝しているぞ。
この病院はとってもいい病院で、医師も看護師もスタッフも
病院でこんなにも違うものかと思うほど、みんな気持ちよくイキイキと働いているのだ。
筆者がコドモの頃はヤブ病院でとおっていたのに、いつの間にこんなに
良い病院になったものか。
去年たまたま母が救急車で運ばれて以来利用しているが、
近所のおばちゃんが
「なんであんた、あの病院だけはイヤです、て救急車のヒトに言わんかったん!」
と悔しそうに心配してくれたので、
「いや、それが知らんうちにものすごくイイ病院になってるんですよ。」
と啓蒙してあげたものである。
(なのになんだ、トリアージ料金て。 て、もうやめとけ?)
傷だが、防水シートを買ってきたり、いろいろ工夫したが、
ロン毛の筆者が手首を濡らさず洗髪し終えることはいかに努力しようと
不可能なので、あきらめて抜糸までの2週間、自分で処置をした。
最初怖かった縫い目もすぐ慣れた。
抜糸したら手首の外側がぷちキャプテンハーロックになってしまった。