倦怠期が続く主婦とのその周囲を描いたホームドラマをAmazonプライムビデオで観ました。初見。
監督は小津安二郎。予告編はありません。
姪の節子(津島恵子)と銀座に遊びに来た有閑マダムの妙子(木暮実千代)。学生時代の友人アヤ(淡島千景)の働くオフィスで女子トークをしていると、夫に内緒で温泉旅行に行こうと盛り上がります。いったん帰宅して夫の茂吉(佐分利信)にウソを突き通して、翌日からアヤ、節子、そして親友の高子(上原葉子)の4人で修善寺の夜を満喫。丸の内の企業で機械部部長として働く茂吉の鈍感ぶりを酒のネタにして楽しむご一行。その後、後楽園で野球観戦してる時にアヤの夫が夜の女性とこっそりデートしているのを見ても、アヤは余裕のご様子。最近見合いの話が来ている節子は、見合い結婚をした妙子の夫への愚痴をいつも聞いているため、乗り気じゃないようです。一方の茂吉は、戦死した戦友の弟で身元保証人になっている登(鶴田浩二)と仕事帰りに会うとか、たまたま2人で行ったパチンコ屋の主人が戦友の軍隊時代の部下だった平山(笠智衆)だったんでビールをご馳走になるとかいった程度で、いたって地味な暮らしぶりをしています。
ある日、見合い中の節子が歌舞伎座で観劇中に脱走して、突然茂吉の家を訪問。登と競輪観戦に行こうとしていた茂吉は節子を歌舞伎座まで送り返します。しかし、競輪場にいる茂吉の元に舞い戻ってくると、その帰りのパチンコにまで付き合う始末。茂吉はパチンコ屋に登と節子を置いてそそくさと帰宅。自宅では見合いの付き添いをしていた妙子がカンカンに怒っていました。茂吉が何も知らない素振りをしてるところにまた節子が現れたもんですから、妙子にその日の行動がバレてしまいます。その日以来、口を利かなくなった妙子。やがて、ねこまんまを食べる茂吉に愛想が尽きて、とうとう家出してしまいます。茂吉はウルグアイ出張の話を言うことができず、妙子不在のままで海外へと旅立つことに。その夜、行き違いで帰京した妙子がポツンとしていると、飛行機トラブルで出国できなかった茂吉が戻ってきます。あり合わせの食材で夜食を摂ることになった2人はお互いの胸の内を吐露し合って・・・というのが大まかなあらすじ。
劇場公開は1952年10月1日。夫の海外出張を機に夫婦が仲直りするまでの一幕を描いたホームドラマ。固定カメラで有名な小津映画なのに、部屋の様子をドリー・アウト(またはドリー・イン)する映像がたまにあってドキッとします。上流階級出身の妙子には信州の田舎出身の茂吉の愚鈍で下衆さがチラつく言動がいちいち気に食わないようで、ダメ亭主であることを友人にボヤいてます。温泉場の池でノソノソと泳いでいる黒い柄の鯉を茂吉になぞらえてからかうシーンがユニーク。なんやかんやありつつも、お茶漬という汁物をすすり合うことで夫婦円満になります。そして、後年の「日本の首領」シリーズで佐分利信とは組長と若頭の関係だった鶴田浩二が戦友の弟の保証人という関係で登場。ひょんなことで知り合った節子と親しくなって、結婚まで行きそうなことを匂わせて映画は終わります。こちらもラーメンという汁物をすすり合う描写があり。あと、茂吉がたまに行くバーの女給として松竹時代の北原三枝がチョイ役出演しているのも貴重。パチンコ屋の"甘辛人生教室"という提灯に趣きがありました。あっさり具合が心地よいホームドラマでございました。





