「温泉ポン引女中」(1969)

 

温泉芸者シリーズ第2弾をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督は荒井美三雄。予告編はコチラ

 

南紀白浜の温泉旅館「望海楼」が舞台。女中のリーダー格のイク代(葵三津子)が切り盛りして、ブルーフィルム上映会セクシーなポン引女中による売春で繁盛しています。そんなある日、関東昇龍会の三郎(林真一郎)が白浜に乗り込んで、キャバレー「ニューナポリ」を開業。ヌードダンサー目当ての客が殺到して、望海楼の客を全て奪います。三郎の傍らには子持ちの情婦ミミ(橘ますみ)がいますが、彼女はイク代の実妹。十代の頃に家出してヤクザの情婦として故郷に戻ってきたミミイク代久々の再会。「オンナは体を使ってのし上がってナンボよ」とイク代に講釈を垂れます。女中も引き抜かれて、旅館存続のピンチに陥るイク代。秘湯ルポライターとして有名な山之辺(南原宏冶)に「体を売るなら秘策を教えてやる」と吹き込まれて、身を委ねてしまいます。それを知ったイク代の彼氏である秀男(岡田真澄)激怒されて失恋する羽目に。

 

山之辺のアイデアで東京から若い娘を大量に連れ込んで、新たに展開したエロサービスが大好評で、再び活気を取り戻した望海楼。しかし、「ニューナポリ」陣営も黙っていません。サブのボスである関東昇龍会幹部の阿久津(高橋昌也)が白浜に参上。裸三昧の"野獣パーティー"開催して望海楼に戻った客を再奪還。上昇志向のミミは愛人の相手を三郎から阿久津にちゃっかり鞍替え。で、怪しげなパーティーの存在を嗅ぎつけたイク代が警察に密告して摘発されてしまうと、ミミはイク代のスパイじゃないかと疑われて火あぶりの拷問受けます。その姿を見ていられなくなった三郎自分の命と引き換えにミミを救出。そこから、さらにいろんなことが起きて、ほとんどの人が死亡して、最終的に生き延びたミミが愛する子供と共に立派な売春婦として生きていくことになりましたとさ・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1969年6月27日。同時上映は石井輝男監督の「やくざ刑罰史 私刑!」。本作は石井輝男の弟子である荒井美三雄が初監督。いきなりオッパイの陳列でスタート。主演格の葵三津子も惜しみなく全裸になって、序盤からエロは大開放。「美人薄命。私はパンティー履くめぇー」という女中の名言も炸裂。合法スレスレ(たぶん違法)のサービスで奮闘するイク代の行く手を関東ヤクザが阻みます。敵の情婦になっている妹ミミとも対立。愛する者のために体を売るイク代と、自分が成り上がるために体を有効利用するミミのコントラストが物語を牽引。後半には、温泉に突っ込んだモーターボート入浴中女中たちを皆殺しにするスプラッターシーンが突然勃発。暴力と権力にたった1人で立ち向かうイク代と最後に手を組んだのは、組織に裏切られたミミ。姉妹で悪をやっつけて一件落着とはならず、赤ん坊殺されそうになったところを助けたイク代が犠牲になってしまうやるせない結末。

 

報われない美女を演じる葵三津子には華があります。自ら先頭を切って脱ぐキャプテンシーも存分に発揮。橘ますみは前作と打って変わって、不良少女上がりの悪女役。一流の娼婦になるんだと有言実行。残念ながら、オッパイは吹き替え。東映性愛路線に初出演となる岡田眞澄がトラックの運ちゃん役で登場。ゆでたまごを口にしたままのキスシーンが印象的。セクハラ野郎をノリノリで演じる南原宏治は水中本番ショー企画して、イク代を抱いた借りを返します。観光客のお笑い要員は中田ダイマル・ラケット清水正二郎がスケベな観光客で再登場。ヤクザに便宜を図る財界の大物として安部徹も出演。野獣パーティーの舞踊を指揮するのは土方巽。ラストで子連れのミミをムリヤリ買わされる観光客として、なぜか小池朝雄がカメオ出演。あと、関東昇龍会の下っ端ヤクザで蓑和田良太も出演。ミミの子供のオムツを取り替えたり女中のスカートの中を覗いたり、細かい活躍を見せてくれます。