「温泉こんにゃく芸者」(1970)

 

温泉芸者シリーズ第三弾をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督は中島貞夫。予告編はコチラ

 

戦争で妻子を亡くしたこんにゃく屋の徳助(殿山泰司)は、終戦後に孤児の珠枝を引き取って育てます。一方で、性的不能に苦しむ徳助は同じ悩みを持つ男たちを救うべく、仕事をしながら性具の研究に生涯を捧げています。大きくなった珠枝(女屋実和子)は勤めていたコンドーム工場が倒産したことを契機に地元金沢を出て、ひと稼ぎするために片山津温泉にやって来ます。ヌードスタジオ店主の荒川(荒木一郎)に騙されて一夜を共にした後、置屋に出向いて臨時芸者として1日働いてみると、最初の客であるお寺の和尚(田中小実昌)に見初められて一夜を共にすることに。置屋の女将(武智豊子)に芸者の資質を見込まれて勧誘されるも拒否。ところが、父の徳助が勝手に片山津にやって来て、女将から芸者の仕度金を前借り。性具の開発費に充てる徳助を止めることができず、芸者稼業をしながらアパートで父と同居することに。そこに珠枝を忘れられない荒川が押しかけると、なぜか父に気に入られた荒川は一緒に性具の開発を開始。

 

さらに、製薬会社社長の田中(上田吉二郎)という上客に気に入られた珠枝。すると、徳助がしゃしゃり出て、田中社長が用意した身請け金をまたしても性具開発費用に回します。仕方なく、田中の妾になって別宅に住むことになった珠枝。当然、徳助も同居。荒川だけでなく、複数の芸者ヒモをしている池永(小池朝雄)性具開発仲間に加わった頃、田中社長が急死。ちょうどその頃、不能だった徳助のムスコが復活。アパートの隣室のツタ子(山内康子)と恋に落ちます。これに怒ったのは彼女のヒモをしている池永。慰謝料を要求された徳助は、またもや珠枝に泣きつきます。"ミミズ千匹"の名器と評判になっていた珠枝は、東京からやって来た芸者のスカウトと関西財界の大物の使いでやって来た西川(本作では小松芳正とクレジット)のどちらかに身請けすることになって、身請け金の吊り上げ合戦の軍配は西川に上がります。しかし、珠枝は拒否。西川とSEX合戦で決着をつけることになって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1970年8月14日。同時上映は「新網走番外地 大森林の決斗」。監督がインテリの中島貞夫に代わって、少し理屈っぽい内容になるかと思いきや、玉音放送から始まるオープニングとカッコいいタイトルこそ神妙ですが、トータルではアホな展開が続きます。主演が橘ますみから新人の女屋実和子に変更しているのが残念。整った顔立ちの美女ではあるものの、無口なのか、無気力なのか、意思表示もハッキリしない感じがあり、役どころだけでなく、演技自体も"やらされてる感"が強い印象を受けます。周囲のセリフで名器と呼ばれているだけで、そういう風に思えないところ(どうしたら、そう思えるのかは分かりません)が難点。彼女よりも、彼女から無自覚に金をむしり取って性具の開発に命を賭けるオヤジ役の殿山泰司にフォーカスが当たっています。徳助が研究を重ねているのは『こんにゃく風呂』なる代物。単に風呂場の床にこんにゃくを敷き詰めただけで、珠枝の愛人はこんにゃく風呂で滑って死亡します。

 

クライマックスは珠枝の運命をかけたSEX合戦。珠枝陣営西川陣営が見守る中、竹林にある一室厳かに開催。先に果てたほうが負けというルールで、2本先取の3本勝負で競われました。1本目は、ミミズ千匹の珠枝に攻め込まれた西川が惨敗。2本目は、まむしドリンクや(ロッキーに先んじた)生卵一気飲みで精力を回復した西川が反撃して珠枝の負け。そして、3本目の真剣勝負を思わせる死闘を制したのは・・・、観てのお楽しみ。ポスターにあるように、武蔵と小次郎の対決をしのぐかどうかは個人の判断によると思います。脇役陣としては、コンドーム工場の部長に大泉滉、製薬会社社長秘書に常田富士男、社長の妻に菅井きん、温泉客に石堂淑朗石橋蓮司ヌードグラビアのカメラマンに曽根晴美などが出演。この年に創刊された『anan』がチラッと映ります。あと、蓑和田良太は珠枝を片山津温泉まで乗せてあげるトラック運転手役で序盤に登場。お礼にコンドームをもらいます