「一日だけの恋人」(2016)

 

北海道でロケ撮影されたタイのロマンチック・コメディをU-NEXTで観ました。

 

 

監督・脚本はバンジョン・ピサンタナクーン。予告編はコチラ

 

デンチャイ(チャンタウィット・タナセーウィー)は食品会社のIT部門に勤める29才の独身男。周囲のほとんどの人に名前を覚えてもらえてないことを自覚していて、会社のコスプレイベントでも"部屋の壁"キャラを自虐的に演じています。彼にとってのマドンナは、別部署にいる28才独身美女のヌイ(ニッター・ジラヤンユン)自分の名前を呼んでくれたことから熱烈ファンになって以来、こっそりと彼女の行動を監視しているデンチャイ。ヌイの会社でのルーティン、好きな食べ物、過去の交際人数まで何でも知っている気持ち悪い男です。かといって、告白する勇気は全くなく、それどころか、ヌイが妻子持ちイケメン社長の愛人であることは公然の秘密で、デンチャイはそんな彼女を黙って眺めるしかありません。そんなある日、社員旅行の行先が日本の北海道に決定。というのにもウラがあって、札幌の雪まつりに行くのが憧れのヌイと社員旅行後も延長滞在して不倫旅行を楽しむ企みが社長にありました。いずれ離婚すると言ってズルズルと関係を延ばしている典型的な不倫男です。

 

で、北海道に着いて観光を楽しむ社員たち。団体行動中にもイチャつく二人をじっと見つめているデンチャイは、「鳴らすと願いが叶う」という"ニイサの鐘"で、「1日だけヌイと恋人になりたい」と一人でお祈りします。だからなのか分かりませんが、事態は急変。北海道にサプライズでやって来た妻子と東京旅行をする羽目になった社長。北海道に一人で延長滞在になったヌイは、スキーで暴走して病院送り。一方、存在を忘れられて空港行きのバスに乗りそびれたデンチャイもホテルに居残っていたため、病院で眠っているヌイを介抱します。幸い大きなケガもなく、無事に意識を戻したヌイは一時的な記憶喪失になっていました。最長でも1日程度は元に戻るまで時間がかかること、記憶を戻した場合、記憶を失っていた時間帯の出来事は全て忘れてしまうことを医師から知らされたデンチャイ。この時がチャンスとばかりに、実はあなたの彼氏はボクですと偽って、1日だけ恋人になりすまそうとするのでしたが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「แฟนเดย์ แฟนกันแค่วันเดียว」。"彼氏の日、一日だけの彼氏。"という意味。「女神の継承」の監督さんの作品。撮影地が北海道(キロロリゾート周辺)というのがユニーク。タイでは2013年に訪日ビザが免除されたことが背景にあるようです。本国タイで大ヒットしたというロマコメで、デンチャイのイケてなさ具合ヌイのキュートさが絶妙です。観光映画としての側面もあるため、二人現地をめぐる場面がちょっと長めなのは仕方ないかも。イケメン社長が社内一の美女を不倫相手にしている胸クソ悪いシチュエーション。そんなヒトに恋心を寄せても、ヒラ社員では太刀打ちできません。遅刻気味の彼女のために、毎朝早起きして駐車スペースを確保してあげて、さりげなく駐車できるようにしていたデンチャイ。彼女が帰社した後に、こっそりデスクに行って整理整頓していたデンチャイ。彼女がプレイしているPCゲームに彼女のアカウントで勝手にアクセスしてゲームを攻略しやすいようにお膳立てしていたデンチャイ。ここまですると、もはやストーキング行為です。

 

北海道で彼氏だと言われても全く信用できないヌイですが、ちょうどデンチャイの誕生日でもある1日を一緒に過ごすことによって、誠実な人柄と自分を知ってくれている思いに触れてデンチャイを信じて好きになっていくヌイ。夜、ベッドを共にしようとした時、デンチャイはウソであることを告白怒ったヌイに部屋を追い出されます。そこからもう少し展開があって、本当は叶わぬ恋をしていることを知ったヌイがデンチャイと仲直りのキスをして、今日起きたことを忘れないためのメッセージ動画をケータイに録画して、次の日を迎えます。そして、終盤のネタバレは・・・、前日の記憶を全て失くしたヌイが帰国して、普段の生活に戻ります。社長との不倫は清算するも、職場でデンチャイと再会するシーンはなく、(回想シーンとして)録画データを実はデンチャイが削除していて、雪まつりではしゃぐヌイの映像を見て微笑むデンチャイの切ない表情で映画は終わります。結ばれんのかーい!と突っ込んでしまいました。 YouTubeにUPされていた別エンディングも大差ありません。

 

2016年のさっぽろ雪まつりデートのクライマックスになっていて、翌日帰国の途に着く二人が取り壊される雪像をバスから眺めるシーンもあり。あと、フチ子さんみたいカプセルトイがキーアイテムの一つになっていました。