「死人狩り」(1978)

 

ショーケン主演の刑事ドラマを観ました。初見。

 

 

監督は工藤栄一と田中徳三。DVD発売の予告編はコチラ

 

福島県警二本松署の浦上刑事(萩原健一)が実家の喜多方に妻和子(丘みつ子)と娘を連れ帰って、ひさびさの休日を満喫していました。しかし、署から電話が来て休暇は中断。浦上だけが先に二本松に戻ります。翌日、実家付近で起きたバスの転落事故の一報を聞いた浦上は、数時間前、仕事中にかかってきた妻子からの電話でそのバスに乗って帰ると言っていたことを思い出します。同僚たちと転落現場に向かうと、バスの残骸と共に外に放り出された多くの死体の中に妻子の変わり果てた姿がありました。妻子の葬儀を終えた頃、バス転落は不慮の事故でなく、何者かの猟銃による犯行だということが判明。二本松署に設けられた特捜本部入りを志願した浦上は、大先輩の伊集院(常田富士男)捜査を開始

 

バス転落の被害者は27人。うち1人だけは一命を取り留めますが昏睡状態のまま。現場の目撃証言も乏しく、被害者全員の身辺の洗い出しから犯行動機を探るしかない警察陣。不倫カップルや総会屋の関係者など怪しそうな人物も、昏睡状態だったヤクザもシロと判明。東北エリアの猟銃登録者にも疑わしい者はおらず。焦りを抑えることができず、時には強引な捜査方法で暴走してしまう浦上。手がかりが全く掴めないでいるうちに、ひょっとして自分の妻が事件に関係してるのではと疑念を抱きます。その推理は間違ってなく、の過去を知る滝沢(小林稔侍)岩崎(宇津宮雅代)の証言から意外な事実が浮かび上がってきて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

笹沢佐保原作の同名小説の2度目のドラマ化。1978年12月16日から1979年1月13日まで、フジテレビ系で毎週土曜22:00~22:54に全5話放送。当時28才のショーケン「太陽にほえろ!」のマカロニ以来の刑事役を演じた一品です。ドラマの中身はというと、いたって地味な捜査モノ。「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」シリーズ、「祭ばやしが聞こえる」と続いていた出演作品群の中でも目立たないですが、「君は海を見たか」のサラリーマン役に近いフツーの人間像を静かに演じてるのが印象的。規格外のスケールを感じさせる松田優作のカリスマ性よりも、等身大の人間味とカリスマ性が両立するショーケンの方がカッコイイと思う派なので、ただ、画面をウロチョロしているだけで満足。柳ジョージ&レイニーウッドによる主題歌『雨に泣いている Weeping In the Rain』もCOOL。

 

脇役陣では、ベテランの万年ヒラ刑事役の常田富士男によるしょぼくれた中年風情とショーケンとのコンビネーションがバツグンに良いです。こんな見てくれにはあまりなりたくないですが、たまにカッコ良く思えるのが不思議。ほぼヤクザな見た目の中村嘉葎雄が特捜本部を仕切る役どころ。画面左下には最近話題に上がった指名手配犯の写真が見えます。小林稔侍はいかにも犯人らしい役柄で登場。孤高の猟師役で山崎努も第2話に特別出演。浦上の義父役の岡田英次はセリフもなく、ただ出てるだけ。そんな男臭い登場人物の中で、すぐ死んでしまう丘みつ子の代わりに後半の出番が多くなる宇津宮雅代の華やかさが一際輝いてます。喪服姿笑顔も素敵。ロケ撮影シーンには昭和っぽい看板もありました。ちなみに、犯人この人です。