「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」(2024)

 

NYを凍りつかせたゴーストと闘うシリーズ第5弾をグランドシネマサンシャイン池袋のDolbyAtmos版で観て来ました。客入りは少なめ。

 

 

監督はギル・キーナン。予告編はコチラ

 

前作で初代ゴーストバスターズの面々と共にゴースト退治をしたスペングラー一家は、ニューヨークに拠点を移して、かつてのゴースト研究所を住居として使いながら、ゴーストバスター稼業を行っています。母キャリー(キャリー・クーン)と兄トレヴァー(フィン・ウルフハード)、妹フィービー(マッケナ・グレイス)、そして、キャリーが再婚した科学教師のゲイリー(ポール・ラッド)秀才リケジョでメガネ美少女のフィービーゴーストバスターズをやる気マンマンですが、15才なんだからもっと別のことに打ち込んで青春を謳歌しろと母から説教されています。ドラゴンのゴーストを退治した際に市街地の施設をいろいろ破壊したことで、自分だけ謹慎扱いとなってご立腹。再婚したゲイリーをまだ父と呼べないでいる微妙なお年頃で、本作の実質的な主人公でもあります。

 

初代バスターズはというと、レイ(ダン・エイクロイド)はオカルトショップを経営。少年助手ポッドキャスト(ローガン・キム)とオカルト系ユーチューバーとても活動中ウィンストン(アーニー・ハドソン)は事業で成功したお金で慈善事業を行いながら、新しく設立したゴースト研究所を運用してたりもします。ヴェンクマン(ビル・マーレイ)の活動状況は不明。ある日、レイの店にナディーム(クメイル・ナンジアニ)というパキスタン系米国人が祖母の遺品を売りに来ます。彼が持ち込んだ真鍮製のボールにゴースト探知機をかざすと、ビンビンに反応したことに驚くレイ。図書館職員のラヴクラフト研究家に問い合わせすると、1904年に氷結事件を起こしたゴーストが封印された代物だと判明します。しかし、フィービーが仲良くなった少女のゴーストに騙されて封印を解いてしまったことで、一帯を氷結させてしまう魔力を持つ"ガラッカ"が目覚めて、ニューヨークが凍りついた世界になってしまって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Ghostbusters: Frozen Empire」。周囲がオトナ扱いしてくれずに悩むフィービーの青春物要素がメイン。火事で早世した少女のままのゴーストとの友情と裏切りがあって、最恐のゴーストを呼び覚ます原因にもなっていく展開。社会人を卒業して生き甲斐を求める老人(主にレイ)との対比にもなっています。マッケナ・グレイスは主役を張るにふさわしい美しさがあるのに、ティーンムービーらしい恋愛要素が全くないのは珍しいです。初代バスターズの面々、再婚夫婦のゲイリーとキャリー、兄貴のトレヴァー、レイの助手ポッドキャストといった人たちのエピソードは詰め込み気味で、物語の中でうまく消化しきれてない感じがあります。小出しに出てくるゴーストが本格的に暴れるのも終盤に入ってからで、絶体絶命のピンチに陥ってから攻勢に転じる部分の"貯め"がない分、その後のカタルシスも少し薄味になってるかも。それでも、新生バスターズ初代バスターズそれぞれに活躍の場があって、十分に楽しめる内容にはなっています。

 

懐かし要素としては、ゴーストバスターズに理解のない市長役で、"分からず屋"を演じたらハリウッドでも屈指のウィリアム・アザートンが1作目以来の登場。いつだってやる気のないビル・マーレイもクライマックスのバトルに参戦。受付嬢だったジャニーン(アニー・ポッツ)もバスターズ入りして、旧キャストが再集結。賑やかし要員としてのミニ・マシュマロマンや他のゴーストキャラもコミカルに機能しています。新キャラとしては、かつてニューヨークに出没して、ある部屋を氷結させた(そのエピソード自体がショボすぎ)というゴースト"ガラッカ"がラスボスとして登場。そして、かつて祖母がガラッカを退治したのと同じく、急造の"ファイアーマスター"となって最後のバトルで活躍するのが、パキスタン系コメディアンのクメイル・ナンジアニ。思った以上にアッサリと大騒動は収束して、ゴキゲンなテーマソングが流れて映画は終わります。子供騙しなテイストは相変わらずで、ちっとも世界が破滅しそうな感じがしない楽しさのある陽気な映画でございました。