「タクシードライバー」(1976)

 

ニューシネマの名作を早稲田松竹の35mmフィルム上映で観て来ました。

 

 

監督はマーティン・スコセッシ。予告編はコチラ

 

ベトナム戦争帰りの元海兵隊員だというトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)がニューヨークのタクシー会社の面接にやって来て、18時から翌朝6時までの夜勤でのタクシー運転手として働きはじめます。仕事が終わって不眠症で眠れないトラヴィスは、ポルノ映画館に行って時間を潰したり、街をうろつくダニ共全員がいなくなればいいのにと日記に書いてたりして、鬱屈は溜まりっぱなし。街で見かけた美女ベッツィ(シビル・シェパード)が気になって、彼女が勤めている次期大統領候補パランタイン上院議員の選挙事務所付近をタクシーで徘徊するようになったトラヴィスは、ストーキングに勘づかれたものの、大胆にも事務所に乗り込んでいってデートに誘います会食した後のデートでポルノ映画館に連れていってドン引きされて以降、ベッツィが電話に出てくれなくなると、また事務所に乗り込んで大声で罵ります。
 

深刻化する不眠症で気持ちもどんどん荒んでいく中、タクシーに逃げ込んできた12才の娼婦アイリス(ジョディ・フォスター)を見ると、何かを思い立って行動に出ます。同僚に紹介された売人から数挺の拳銃を購入。鈍った体を鍛えだして射撃の訓練にも励んでいくトラヴィス。鏡に向かって意味不明なコトバを口走って、不敵な笑みを浮かべます。その後、よく行く雑貨店に押し入った強盗に出くわして射殺した後、客を装ってアイリスに接触。性行為を拒んで、呼び出したカフェで説教をして、頼まれてもいないのにお前を救うと所信表明。さらに、次期大統領候補の集会にイメチェンしたモヒカン頭で現れたトラヴィスは、暗殺しようと近づくも失敗。夜になると、アイリスのヒモをしているスポーツ(ハーヴェイ・カイテル)を射殺して、アイリスの仕事現場に踏み込んで、売春斡旋業者や用心棒も射殺して・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Taxi Driver」。35mmフィルムでの上映ということで映画館のスクリーンで初めて観て来ました。世の中に絶望した男が一念発起して最後に暴れるポール・シュレイダーらしいストーリー。1970年代のニューヨークは少しざらついたフィルムに合ってます。ひさびさに観ると最後の殺戮シーンはやっぱりインパクト大で、ディック・スミスの特殊メイクは素晴らしいです。モヒカン頭もメーキャップには見えません。独りよがりのコミュニケーションをしている自覚のないデ・ニーロ。ガスコンロの火で腕をあぶるデ・ニーロ。独自の銃装備を手作りするデ・ニーロ。哀しくて頭のおかしい男なのに、ヒロイックに感じさせてしまうデ・ニーロの名演。華のあるシビル・シェパードの存在が暗い話を注視できる原動力になってるなと再認識。ジョディ・フォスター娼婦役が印象的なのは、のちに大女優になったからという面もあるかも。同じ映画を何度も観るタチではありませんが、本作はこれからもたまに観返すと思います。